2018年11月7日

北海道厚真町のハスカップ農家・山口善紀さん2

今朝は引き続き、北海道厚真町「ハスカップファーム山口農園」の代表、山口善紀さんのお話し。

ジャムやワインなどに加工される厚真町の特産品「ハスカップ」。甘酸っぱくて香りが良い果実で、町には約100軒のハスカップ農家がいるといいます。

9月の震災では、山口さんの農園をはじめ、多くのハスカップ畑が、土砂に埋まるなどの被害を受けました。しかもハスカップは、きちんと実をつけるまでには長い時間がかかる果実なんだそうで、生産の継続には赤信号が点滅する事態となっています。

そんな中、じつは山口さんのハスカップづくりの師匠でもある、お母さんの美紀子さんが細々と続けてきたことが、
いま希望の光になっているといいます。


◆“そんなの売れるのかい?”と言われながらも続けたこと

「まだハスカップって40年ぐらいしか経ってないんですよ。北海道で栽培が始まって。うち40年ぐらいやってんですけど例えば苗木として植えるのに挿し木で増やすんですね。で、だいたい5〜6年のものを、僕ら挿し木として土地に植えるんですよ。で、そこから1キロくらいになるのに、10年ぐらいかかるんで。僕はたまたま、ハスカップの苗木を積極的に作って販売してるので、苗木は何千本かあるし、2年とか3年とか経ってるのが何万本かあるので、それがほとんど大丈夫だったので、植えられる苗は確保できてることはできてる感じですね。ウチのお袋に、“なんで毎年・・・何千本も挿すんですけど、毎年よくバカにしてたんですね。“そんなの売れるのかい?”みたいな。でもなんかずっとこの農園を2005年に継いでハスカップ農家になったんですけど、その日からずっと苗木を挿すっていうのをやってて、余してる苗木がいっぱいあるのにまだ挿してるみたいなことを・・・だからいま思ってるのは、これからどんな復旧支援になるかわからないですけど、どっちにしてもハスカップ農家100軒以上あるんですね厚真町って。その人たちが土地が整備されて土砂取り除いてもらって植えられる状態なっても、すぐには苗木、植えられるものは手に入れるの難しいと思うんです。あまり皆さんやってないので。そういう意味では、苗木の供給がすぐに出来そうなので、まあ苗木を少し積極的に生産した方がいいかなっていうのは、いま思ってますけどね。」




もともと勇払原野に群生していたハスカップから、苦みやエグミが少ない優秀な木を挿し木しては苗木を作り続けた美紀子さん。“売れもしないのに”と言われながらも、地道に作りつづけました。それを受け継いで、善紀さんはとりわけ苦みやエグミが少なく、甘く香りのよい奇跡的に美味しいハスカップを見つけ出して苗木の確保を繰り返し、「あつまみらい」と「ゆうしげ」という2種を、品種登録しました。

いま多くの畑が被災する中、山口農園が多くの苗木を確保していたことが、あらためて見直されているといいます。母から子へ受け継がれ続けられてきた地道な活動、それが皮肉にも震災によって“間違いではなかった”と証明されることになったわけです。

『LOVE & HOPE』、明日も北海道厚真町のハスカップ農家、山口善紀さんのお話しです。


ハスカップファーム山口農園

2018年11月5日

北海道厚真町のハスカップ農家・山口善紀さん1

今朝は「北海道胆振東部地震」で大きな被害を受けた震源地の町、厚真町でハスカップ農園を営む「ハスカップファーム山口農園」の代表、山口善紀さんのお話しです。

「ハスカップ」はスイカズラ科の木で、1センチほどの小さな紫色の実は、ジャムやお菓子、ジェラートやワインなどに加工されて、北海道の空港や産直店などで扱われていますので、味わったことがある!という方もいるのではないでしょうか。

じつは厚真町、栽培面積日本一になったこともあるハスカップの一大産地でもあって、町の中にも“ハスカップの町”という看板が立っていたりします。

9月6日に起きた震災では、そんなハスカップ畑にも、大きな被害が及びました。


◆「被害は500本、500キロ」
「9月5日の日の深夜、とにかくあまりにも振動にびっくりして飛び起きて、食器棚というか茶ダンスがバンと開いて、もうがっちゃんがっちゃんがっちゃんって、ずっと目の前でどうすることもできずに食器が割れてくんですね。だからめちゃめちゃやばいなあと思って、で、まず一回出て、薄くぼやと空がちょっと明るくなってきてから、近所の安否確認しなきゃなと思って、安否確認して、で、途中にすごい土砂崩れ。田んぼがほとんど埋まってるような。で、とんでもない地震だったっていうのを本当でそこで感じながら、安否確認して皆の無事を確認して、戻ってくる途中に道路からあの木が見えたんですよね。“畑の真ん中に木がある!”と思ったんですね。で、この山崩たな・・・ということを確認して。これハスカップです。これ列、1列2列って数えていくと、こっから上にあと15列あったんで、これだけの面積が埋まったことになるんです。ここは「ハスカップ狩り」用なんですよ。だから開放する面積が減る。だいたい約500本くらい。僕らが「成木」って呼んでるこれくらいの大きさになると、1キロ以上(実が)なるんですよね。で単純に500本ぐらいいったら500キロぐらいは、来年から取れなくなるのが確定したので、もうため息も出ないぐらい、愕然としましたね。」




山口さんは代々農家を営んできた家の5代目。地域の自警団もしていて、9月5日は地域の祭りで走り回っていたのだそうです。そして帰宅し疲れて居間で寝てたら、深夜の6日未明、震度7の地震が起きました。自宅のすぐ裏がハスカップ畑になっていて一部が土砂にのまれましたが、その時はまだ暗かったので自宅周辺がどうなっていたかは分からなかったといいます。ガラスの割れる音で土砂崩れの音や地鳴りも分からなかったとか。その後、近所の安否確認をして、明るくなって初めて、町や自宅裏の畑の土砂崩れを見て愕然としたということ。

そのあと、自宅と畑がある宇隆地区は「危険」ということで強制避難になりました。お母さんは町指定の避難所に入ったんですが、山口さんと奥さんは、猫がいたので避難所には入らず、18日に避難指示が解除になるまで車中泊を続けたんだとか。

町に約100人いるハスカップ農家は、大なり小なり地震の被害を受けましたが、避難指示が解除されたあと再建に向けて歩み始めます。

「LOVE & HOPE」明日も北海道厚真町のハスカップ農家、山口善紀さんのお話しです。




「ハスカップファーム山口農園」
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パーソナリティ 鈴村健一

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