2019年1月14日

新成人の声3 福島県浪江町・横山和佳奈さん

今日は「成人の日」です。
福島県浪江町では、おととい、12日土曜日、ひとあし早く成人式が行われました。

原発事故による全町民避難が2017年一部で解除された浪江町ですが、新成人234人全員がいまも町外で暮らしています。このうち、成人式に参加したのは106人。式典で「成人の誓い」を述べたのは、請戸地区出身の、横山和佳奈さんです。

◆横山和佳奈「成人 誓いの言葉」
これまでの20年間を振り返えったとき脳裏に浮かぶものは、決して楽しいことばかりではありません。その中でも中学校進学に胸を弾ませていたわたしたちを襲った東日本大震災は、人生を変えるほどの出来事でした。
さらに命を救われたわたしたちを待ち受けていたのは、度重なる避難生活でした。突然の友人との別れ、慣れない土地での新生活に、不安と戸惑いを覚え、心のもやもやから周りに強くあたってしまうこともありました。そんなとき、厳しく叱りつつも、やさしく寄り添ってくれた両親や家族の存在はとても心強く、支えとなるものでした。今日わたしたちがこの場に立っていられるのは、決して自分ひとりだけの力ではないと、改めて感じさせられます。

浪江町を形作っているものは、土地や建物だけではありません。伝統や歴史、ひとびとの記憶といった、多くの無形のもので成り立っています。ひととひととのつながりがあってこそ、残すことのできるもの。それを受け継いでいくことこそが、わたしたちの使命なのではないかと思います。進学や就職によって浪江町の復興に直接かかわることができなくても、町のことを伝え、受け継いでいくことはできます。離れた土地に住んでいるからこそできることも、たくさんあるのではないでしょうか。

今後はわたしたちが経験した命の尊さやひとへの思いやり、ひとつひとつの出会いを大切にできる新成人を目指す決意を申し上げ、近いの言葉といたします。


福島県浪江町の成人式。横山和佳奈さんの「成人の誓い」でした。
浪江町請戸地区では、津波に原発事故の被害が重なりました。和佳奈さんも津波で自宅を流され、祖父母を亡くしています。和佳奈さんは式典の後、晴れ着姿のままで仏壇の祖父母に手を合わせたそうです。

「請戸 田植え踊り」の伝承、そして将来の夢について、明日も和佳奈さんの声をお届けします。

2019年1月11日

新成人の声3 南三陸町戸倉・須藤未帆さん

東北 「新成人たちの声」。
今朝は、宮城県の南三陸町戸倉地区から、仙台の薬科大学に通う新成人、須藤未帆さんの声をお届けします。

未帆さんが生まれ育った戸倉地区は、志津川湾に面した小さな港町。震災で20mを越す津波に襲われ、彼女が通っていた3階建ての小学校は屋上まで水没するなど壊滅的な被害にあっています。

当時小学6年生だった未帆さんは、小さい頃から体が弱く、避難時も喘息の薬が手放せなかったと言います。そして現在、「薬を学んで復興を医療の面で支えたい」と薬科大学で学んでいます。


◆「地元のために、薬剤師として何ができるか探していきたい」
今、東北医科薬科大学2年生で薬剤師になるための勉強をしています。成人を迎えることに関しては一応二十歳にはなったんですけど実感がなくて、やっぱり学生なのでまだ入学当初のような気持ちで毎日新しいことを学んでいる感じです。勉強と体調管理がなかなか大変で、ちょっと無理して頑張り過ぎてしまうと倒れてしまうことがあるので、正直大変です。でもみんな、大学へ行ってる人も働いている人もそうだしみんないろんな方面で大変なんだっていうのはたまに会って話聞いているので。私たちは震災を受けてというのがすごく大きく感じている世代だと思うので、地元のためにというのが根底にあって、それぞれの道へ行っているので、自分だけじゃないというところで毎日頑張っています。今は、南三陸が震災もあってですけど、過疎化で高齢の方が多くなって、病院に足を運んだり薬を貰いにいったりするのが大変になっているので、そんな中で私は薬剤師としてお宅に訪問したりとかいろんな形で自分にできることは何なのか探していきたいと思っています。


未帆さんは震災で、身体が弱い人にとっていかに薬が大事か、身をもって感じたそうです。
薬科大学は6年制なので、早ければあと4年で薬剤師の資格を取って、未帆さん戸倉に帰ってきます。現在、戸倉地区には病院や薬局はなく、隣町に行かなければなりません。「医療が充実していないと街が元気にならない。私がその力になれたらと思う。」と話してくれました。

『LOVE & HOPE』、来週も、東北の「新成人の声」をお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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