2019年1月16日

新成人の声5 福島県浪江町・横山和佳奈さん

今週は、福島県浪江町の新成人、横山和佳奈さんの声をお届けしています。

東日本大震災のとき、和佳奈さんは中学入学の直前でした。自宅を津波に流され、さらに、原発事故の影響で郡山に避難。現在は仙台の大学に通っています。

◆「将来どこかで震災があったら、今度は聴く側に回ろう」カウンセラー目指す
いまは東北福祉大学で心理学の勉強をしています。将来はカウンセラーの仕事に就きたいと中学校1年のときから思っていて、去年受験も無事成功して、心理学を勉強して二年目になります。中学のときスクールカウンセラーの先生とお話をする機会があって、いつのまにか「浪江と郡山ってこう違うんですよねー」など愚痴っぽいことをぽろぽろと話すようになって、ふっと気持ちが楽になったんです。なので、そのとき将来どこかで震災があったら、今度は聴く側に回ろう、聴く側に回って誰かの心を楽にできるような仕事がしたいと思ったのがカウンセラーを目指すようになったきっかけです。でもいざ勉強してみると、心理学って難しいと実感している。どこかしらつらい思いをしたお話を聴くお仕事なので、自分が被災したからこそ、ほかのカウンセラーの人よりも、被災した方の気持ちに寄り添えるんじゃないかという想いはあるので、そこを活かせるようなカウンセラーになりたいと思っています。


和佳奈さんは津波で、祖父母を亡くしています。

◆「祖父母に成人を報告したい」
とくにわたしのじいちゃんは周りから「このじいちゃん元気だから100歳まで生きるわ!」と言われていた。だから自分の中でも高校の制服姿だったり、成人した振袖姿を当たり前に見せられると思っていたので。それを見せることができないのがとても悲しいし、今日も式典の冒頭で黙とうの時間があったんですけど、その時は自然と頭に祖父母の姿が浮かんできた。帰ったらすぐに仏壇に行って「成人しました!」と報告したいと思います。


和佳奈さん、帰宅後振袖のまま、真っ先に仏壇に向かって祖父母の遺影に手をあわせたそう。

先週から、東北各地の新成人の声をお届けしてきましたが、復興の道のりと共に、自分自身のこれからを模索する8年だったと思います。和佳奈さんは被災経験を活かして、カウンセラーになるとおっしゃっていましたが、成人の皆さん、これからはふるさとへの思いを胸にそれぞれの道で活躍してほしいと思います。

2019年1月15日

新成人の声4 福島県浪江町・横山和佳奈さん

今週は、福島県浪江町の新成人、横山和佳奈さんの声をお届けしています。

和佳奈さんは、浪江町・請戸地区の出身。東日本大震災の津波と原発事故の影響で、ふるさとを離れ、郡山市で育ちました。
そんな和佳奈さんが大事にしているのが、地域の伝統行事「請戸・田植え踊り」です。
和佳奈さんは、踊り手の一人として、いまも活動を続けています。

◆「私は浪江じゃなくて、請戸の人間」
植え踊りは震災後ずっと続いてはいるんですけど、昨年2月に初めて請戸に戻って、苕野神社の土地で田植え踊りが無事にできて、東日本大震災から7年経って、ようやく夢がかなったというというか、本来の形に戻ったというか。ただ周りにお客さんがあまりいなくて、マスコミの方だったりとかなので、そこはちょっと複雑でした。ずっと「自分と浪江を繋いでいるのは田植え踊り」という想いがあったが、今回成人式や同窓会に参加してみると、ここが自分の故郷なんだなって改めて感じたというか、踊りがなくても繋がり続けていたんだな、と感じました。

今回成人式で改めて浪江町と自分のつながりを再認識したんですけど、もともとは浪江じゃなくて「自分は請戸の人間」という想いが強かったので、浪江が(避難解除になって)帰れるようになっても、自分は請戸に住みたいけど浪江町に住みたいわけではない。請戸の繋がりってすごく強くて、知らないおばちゃんに「どこどこの孫だべ?」と言われる。悪いことをしたらすぐに広まるような繋がりの強い地域なので、それもあって、請戸にこだわりが強いのかもしれないです。
でも踊りも仮設で踊らなくなってしまったし、同世代の請戸の子とは会えても、当時(震災前に)挨拶していたおじいちゃんおばあちゃんとは会う機会が減ってしまうのは悲しい。請戸で踊るのも大事だとは思うけど、復興公営住宅とか、避難した方が多く住んでいる地域に行って踊れる機会もあったらいいのかなと思います。


福島県浪江町の新成人、横山和佳奈さんの声をお届けしました。

「請戸の田植え踊り」は毎年2月の第三日曜日に行われる「安波祭」で披露されます。和佳奈さんは、今年も踊り手として参加する予定です。
地域の伝統行事が、和佳奈さんとふるさと請戸を繋いでいます。

明日も横山和佳奈さんの声をお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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