2019年5月3日

ホヤの聖地・宮城県牡鹿半島、鮫浦の漁師、阿部誠二さん?

今朝は引き続き、宮城県牡鹿半島・鮫浦湾のホヤ漁師、阿部誠二さんのお話しです。

ホヤの種苗のシェア7割以上を誇るホヤの聖地・鮫浦湾。どこよりも美味しいホヤを育てている!と胸を張る阿部さんですが、先日のWTO最終審による日本逆転敗訴で、宮城県産ホヤの震災前の最大の輸出先・韓国への輸出再開が閉ざされた今、どうしていいか分からないという胸中を語ってくれました。

かすかな希望としては、震災前よりも国内の販売が伸びていること。食わず嫌いの人も多い“ホヤ”という食材の魅力が、少しずつ伝わり始めていることに、ささやかな可能性を感じているといいます。

◆「活魚で届けられればもっと食べてもらえるはず」
「ホヤを PRしたり国内でいろんなイベントに参加してやろうっていうのも、とりあえずホヤでメシが食えないとできないことなんですよ。そこら辺をみんなでけっこう話ししたりしてするんですけど、第一にメシが食えなきゃホヤについていろいろな活動できなくなるねっていうのは、敗訴が決まった時からは、救済措置があんのかな・・・とかいう話は毎日のように言っています。本当にどうすればいいでしょうね、俺らもどうすればいいのかわからないというのが正直なんですけど。ただやっぱりやれる範囲ではぎりぎりでやって今月も来月も俺らが行って販売するみたいなのは、小さいですけどやっていくんですけど、たとえば関東とか、あっちの方にホヤを加工というか、むき身処理までしてくれるような所が増えれば、かなり変わるとは思っています。やっぱり鮮度落ちが早いので、でも韓国までは活魚で行ってるので、であれば途中で下ろしてすぐ加工してくれるところが増えれば、今は冷凍技術も凄いので、間違いなく今まで食べられなかった人たちがかなりの割合で食べられるなるんじゃないかなと思ってますけどね。俺らが色んなボランティアさんとか全国から来る人達に食べさせた結果がそれだったので。」






韓国ではホヤは「活魚」として生きたまま海水に入れて出荷されますが、日本では「鮮魚」として氷を入れて出荷されることが多いのだそうです。真水に弱いホヤはそれで鮮度落ちしてしまう。鮮度のいい美味しいホヤを多くの人が口にしたことが無い最大の理由がそこにあります。

今後その流通の問題をクリアしていけば、日本でももっとホヤを食べる人が増えるはず!と阿部さんはいいます。さらに少し前に話題となった、アルツハイマー症の予防に役立つとされる栄養素、「プラズマローゲン」をホヤはたくさん含んでいて、超高齢化社会の日本ではもっと食べられるべき食材でもあるはず・・・

そんなホヤをもっと普及させようと今はいろんな団体が料理レシピを発表したり、加工品もどんどん増えてきています。じつはこれから夏にかけてがホヤのいちばん美味しい時期でもあります。もし食わず嫌いだったり、新鮮なホヤを味わったことが無いという方は、ぜひ東北に出掛けてホヤ本来の味を試してみてください。きっと大ハマりすると思います!



2019年5月2日

ホヤの聖地・宮城県牡鹿半島、鮫浦の漁師、阿部誠二さん?

今朝は引き続き、宮城県牡鹿半島・鮫浦湾のホヤ漁師、阿部誠二さんのお話しです。

日本有数のホヤ産地である宮城県。このホヤをキムチなどにして食べる韓国への輸出は、宮城県産ホヤ全体の水揚げ量の7〜8割を占め、大きな収入源となっていました。東日本大震災による原発事故のあと、韓国は宮城県を含む8県の水産物輸入を停止。日本は安全性を確認したうえ、韓国の主張を不当としてWTOに提訴。一審では日本の主張が認められていましたが、先日の最終審では、禁輸を妥当とする判断が下され、日本の逆転敗訴というカタチになってしまいました。しかもこれは、“食品の安全性は否定されていないものの、1審でのパネル(紛争処理小委員会)の手続きが問題視されての判断”ということで、日本側、とくにホヤ養殖に携わる漁師の方にとっては納得のいかない判断でもありました。

しかし最終審の判断は覆すことが出来ません。この結果を受けて、ホヤ漁師の一人である阿部さんは、今どんな思いの中にいるのでしょうか。

◆「厳しくて廃業する漁師も出てくるだろう」

「いや正直かなり輸出には期待をしてたので、期待というかそれしてもらわないとっていうところが本当にあったので、もうみんなガッカリはしましたね。ホヤの安全性とかそういうところに関しては俺らが毎日見て検査も漁連でちゃんとして、そうやって出してるものなので、納得いかないって言ったらおかしいんですけど、時間をかけてやっと震災後も震災前より倍以上、国内率は増えてきているので、だんだん増えていくだろうとは思ってるんですけど、俺だがそこまでも我慢できない状態にはなってます。厳しくて多分廃業して他のことをやる漁師がかなり出てくるだろうと思いますね。」



去年もホヤの大量廃棄がニュースになりました。ただそれはホヤの市場価格を維持するための生産調整の一環であって、心ならずも漁師にとっては必要なことでありました。丹精込めて育てたホヤを捨てたい漁師などいるはずはありません。それを続けていたのは、一審の判断から、“輸出が再開するだろう”という見込みがあったから。今回のWTO最終審の判断でそれが難しいとなった今、阿部さんをはじめ、東北のホヤ漁師の未来は見通せない状況にあるといいます。

明日はそんな東北のホヤ漁師、阿部誠二さんがかすかな望みをつなぐ、“国内消費を増やす可能性”について伺います。


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