2011年8月25日

8/25 震災復興に向けた法律のサポート 中間報告(4)

震災から5か月。被災された方の課題は、生活再建へ向けた、
より具体的な“お金の問題”にシフトしつつあるようです。
そこで今回は、被災地からの法律相談の現状、それに対する
弁護士側の回答をまとめてみました。

●岩手県は『2重ローン』について。
これについては、8月23日に詳しくお伝えしました。
8月23日のブログをご覧ください。

●宮城県は『相続問題』。
亡くなった方の相続はどうなるのか、というご相談を多く寄
せられている。相続についてはプラス財産もマイナス財産も
相続することになるので、「限定相続」や「相続放棄」など
の制度をご案内しています。
この相続については考える期間は3ヶ月と決まっていました
が震災後に3ヶ月で相続のことは考えられないという多くの
声があり、法律が変わりました。これによって、11月30日
まで考える期間が延長されました。それまでに考える必要が
あります。

相続についての主なQ&Aはこちらをご覧ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00092.html

●福島県は『原発の賠償問題』。
原発事故による賠償について、自分は対象になるのか、対象
になった場合いくら払ってもらえるのか、などの相談が多く
寄せられています。


現在、原発事故による個人への損害賠償は、東京電力による
「仮払い」がありますが、この「仮払い」とは別に、東電に
直接「請求」することができます。
ただし、ただ黙っていても賠償金は支払われません。東電を
相手に、自ら損害を主張しなければ、賠償は受けらません。

8月5日。文部科学省の下に作られた「原子力損害賠償紛争
審査会」が、賠償に対する「中間指針」を出しました。その
指針をふまえ、弁護士会では、今後の“請求”に備えて準備
しておくべきことを、相談会などでご案内しています。
ここで少しご紹介します。

≪どんなことで請求できるのか≫
例えば、避難費用(宿泊費、交通費)/精神的損害/農業・
漁業・会社経営などの営業損害/会社員などの就労不能に伴う
損害/いわゆる風評被害 など

≪請求に備えて、弁護士からのアドバイス≫
まずは「記録」をつける。「証拠」を残す。
いつどこで何をしていたか、その時の健康状態など、細かく
「記録」をつけてください。そして「証拠資料」となるレシ
ート、領収書は保管しておくこと。

弁護士会では今回の原発事故による賠償請求をするときに
必要であると思われる事項を書きまとめておきやすいよう、
「記録ノート」を作成しています。
記録ノートはこちらから、無料でダウンロードできます。
http://business3.plala.or.jp/fba/sinsai_soudan/hisaisya_note.html

≪損害賠償の第三者機関≫
福島原発に関連した損害賠償については、第三者機関が9月1日
に立ち上がります。
「原子力損害賠償紛争解決センター」が、被災者と東京電力の間
に立つことになります。


≪原発被災者弁護団≫
また、今後賠償を求める動きが本格化する見通しの中、東京
弁護士会の有志が、原発被害者の方の法的なサポートを行う
ため、「原発被災者弁護団」を結成。東電との賠償交渉など
に当たることにしています。
気になる弁護士への費用は、着手金は受け取らない方針との
こと。

※原発被災者弁護団の相談窓口
 フリーダイヤル:0120-730-750

※そのほか、東日本大震災に関連した相談は、各地域の弁護士会、
 または国の法律相談窓口「法テラス」に問い合わせてみて下さい。
 法テラス:0120−366−556

2011年8月24日

8/24 震災復興に向けた法律のサポート 中間報告(3)

震災から5か月が経過して、被災された方の生活再建に必要な法律のサポート、
様々な法整備が徐々に整いつつあります。

そこで今週は、被災された方の生活再建に必要な法律の知識、
知っておく必要のある新しい制度について、
日本弁護士連合会の災害復興支援委員会委員 中野明安弁護士に伺います。

◎今日は、「り災証明を巡る混乱」について。

被災された方が、自治体から支援を受けるために必要な「り災証明」。
り災証明は、市町村が、住宅の壊れた程度を「全壊」「大規模半壊」などに
段階わけして証明書を発行するものですが、いま、このり災証明をめぐって
混乱が生じているようです。

発効には、どの程度壊れているのか判断が必要ですが、当事者は「全壊」
と考えても、判定者が「一部損壊」や「半壊」と判定することがある。
この判断が不服だった場合、どうすればいいか、という制度が存在しないの
が問題で、自治体に再度判定をし直してほしいという申し入れが多い状況。

例えば津波による床上浸水が1mだと大規模半壊、1.8mだと全壊と判定
され、支援の内容が変わるが、修繕して使う場合は浸水の高さがどうだろうが
修繕費は同じ額。大規模半壊、全壊で支給額が変わるのはおかしい。
同じ金額がなされてしかるべきですが、現在の基準では高さで判定される
ので、混乱の原因になっている。

この場合、り災証明の発効、判定ともに自治体がやっていて、どの段階で
それが「確定」するのかというルールがないので、被災者は、納得がいかない
なら何度でも窓口を尋ねたほうがよい。泣き寝入りする必要はないんです。
り災証明の認定結果に不服がある場合は、やり直してほしい、としっかり主張
するべき。

ただし、り災証明がないと、様々な被災者支援の手続きが滞ったままになる、
ということも考えて対処する必要があります。

詳しくは、各地域の弁護士会、
または国の法律相談窓口「法テラス」にお問い合わせ下さい。
弁護士による東日本大震災の被災者を対象とした<無料>の電話相談です。
法テラス:0120−366−556
http://www.houterasu.or.jp/eastjapaneq/denwa_soudan.html
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パーソナリティ 鈴村健一

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