2019年6月14日

ラーメンディレクターが行く東北海鮮ラーメン五番勝負?

じつは東北沿岸の港町は美味しいラーメン屋さんが居並ぶラーメンパラダイスでもある!ということを知ってもらいたくて、今週は「ラーメンディレクターが行く東北海鮮ラーメン五番勝負!」、お届けしています。しかも今回は「海鮮系ラーメン」に絞って。

今日ご紹介するのは、岩手県宮古市「ひろや食堂」の看板メニュー「わかめラーメン」です。



「ひろや食堂」がある宮古市の津軽石という町は、津軽石川にサケが遡上する“サケの町”、そして肉厚で上質なわかめが採れる重茂半島が有名な町です。ただこの土地も津波では大きな被害を受けました。当時は山田線の横倒しになった車両の映像が幾度となく映し出されていました。「ひろや食堂」ご主人の木村広義さんは、当時のことをこう振り返ります。


◆「定年退職かなと思ったけど」

「津波でね、うちの店は全部流されて、何も残ってなかった。そしてもう、年齢も年齢だから、ちょうど定年退職になるのかなと思っていたら、3ヶ月ぐらい休んでいたらもう退屈しちゃって。もう一回食堂をやるかということになって。11月に再開へ向けて動きはじめて、翌年1月3日に開店したわけです。」

そして木村さんは知人の大工さんに依頼して自宅と店舗を再建しました。ただしその当時、周辺に建物はほとんどありません。津波が削り取った広大な荒れ地にポツンと新しい建物を建てたようなものです。周りの方には“頭がおかしくなったんじゃないか?”と言われたほど。それでも木村さんは奥さんと二人で40年暖簾を掲げてきたお店を再建し、そして震災後にこの看板メニューとなる「わかめラーメン」を産み出しました。


◆「暇だったから製麺を習った」

「ちょうど食堂を建てているときに何もやることがないから、東京の品川製麺さんのところに行って麺作りを習って、その時に重茂のわかめを、これを使ったらいいかなと思って、それを粉にして麺に入れてわかめラーメンを作って。色が綺麗で、味も良くてこれはいいなと。生まれが重茂なんですよ。だから重茂のわかめで慣れているからよそのわかめを食べれてもわかる。やっぱり重茂のわかめが一番。味のほうは磯味が一番良いんだけど、ラーメンだから鶏ベース、煮干し。この前、東京の人が三陸鉄道に乗って、津軽石で降りて店まで来てくれました。まさか来るとは思わなかったけど。そういう人もいました。」





ヒスイ色の美しい麺。のど越しがなめらかで重茂のわかめが醸す磯香がします。70歳を目前にして麺づくりを学んだ木村さんによる無添加の自家製麺。鶏と煮干しベースのスープに、そんなヒスイ色の麺と、トッピングにはチャーシュー、エビ、しうり貝、ふのり、メカブ、そしてわかめなどが乗ります。高級ブランドで知られる“重茂のわかめ”を贅沢に使った「ひろや食堂」の「わかめラーメン」。ほかでは食べられない一杯です。ちなみにもっと“ワカメ麺”を味わいたい人には、「ワカメざるラーメン」や「ワカメうどん」もあります。

噂を聞きつけて遠方から訪ねる人も多いといいますが、重茂半島や津軽石川の美しい景色、のどかな三陸鉄道の「津軽石駅」など、周辺には見どころもいろいろとあるので、ぜひ足を運んで頂きたいと思います。




2019年6月13日

ラーメンディレクターが行く東北海鮮ラーメン五番勝負?

じつは東北沿岸の港町は美味しいラーメン屋さんが居並ぶラーメンパラダイスでもある!ということを知ってもらいたくて、今週は「ラーメンディレクターが行く東北海鮮ラーメン五番勝負!」、お届けしています。しかも今回は「海鮮系ラーメン」に絞って。

今日ご紹介するのは、岩手県大船渡市の「黒船」というお店の看板メニュー「秋刀魚だしラーメン」です。



現在、大船渡では7つのお店がそれぞれオリジナルの「サンマラーメン」を提供して町おこしをしています。揚げたり煮たり焼いたり、いろんな方法でサンマを使ったラーメンを作っているのですが、「黒船」はそうした他のお店とまったく違った「秋刀魚だしラーメン」を町おこしの前から提供しています。サンマ節を出汁に使ったラーメンで人気が高く、開店前から行列のできる店です。ご主人の岩瀬龍三さんに伺いました。


◆「最初は店をたたもうかというくらい不人気だった

「きっかけは、いろいろラーメンを食べ歩いている中で、当時「麺屋武蔵」と言う新宿にあるお店がサンマ節を使っていたんです。それで大船渡はさんまの町だしなと。ホタテとかいろんな具材を当たったんですけれども、さんまに行き着いたんですね。イメージ的に生臭いんでしょうと見られていたんでしょうね。最初は。今月だめだったらお店をたたもうかなという所まで来ました。でも次の年が売り上げが上がったんです。不思議と。そこから上がっていきましたね」




店主の岩瀬さんは兵庫県明石市出身。奥様の故郷・大船渡で2002年にこのお店を開業しました。震災時は炊き出しも経験し、いまはすっかり地域の一員です。そんな岩瀬さんが手掛ける「秋刀魚だしラーメン」への思いを伺いました。


◆「大船渡でしか食べられないラーメンを」

「サンマだからというこだわりはないんです。さんまを使うことによって地元感を出そうという考えは当初ありましたけれども、おいしいし、風味が良いし、いろんな意味があってのサンマ。武器にしようと言うのは特にない。結果的にこうなっていますけど。正直言うと東京のラーメン屋さんのほうがおいしいと思いますよ。全国の食材を使えるんですよね。でもほら、例えば、うちでナゴヤコーチンとか秋田比内地鶏を使ってラーメンを出したところで、私はそこに意味を感じないんですよ。だったら多少は落ちるかもしれないけれども、地元の南部鶏を使いたいなと思っているので、本当のラーメンのマニアの方からすると、東京のラーメンには勝てないねと言われちゃうかもしれないです。そのかわりうちのラーメンは東京では食べられないよという」




こちらが黒船の「特製醤油」です。写真からも丁寧なつくりと豊かな味わいが伝わると思います。南部鶏と秋刀魚節のスープは旨み・甘味があり、かつすっきり。蒸し鶏、バラ、ロース、3種のチャーシューもそれぞれに別に味付けされている手のかけよう。しかも麺は、のど越し・香りが抜群の自家製麺です。“東京にはかなわない”と岩瀬さんは謙遜しますが、いやいや東京に黒船があったら連日売り切れ間違いなしです。地元食材の味を最大限に生かして丁寧なつくりをしているからこその味わいだと思います。取材させて頂いた日も他府県ナンバーの車が停まっていましたが、遠方からでもわざわざ食べに行く人の気持ちがよーく分かりました。また食べに行きたい・・・

「ラーメンディレクターが行く東北海鮮ラーメン五番勝負!」、明日は岩手県宮古市の「わかめラーメン」です。
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パーソナリティ 鈴村健一

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