2016年11月29日
11月29日 東北大学 今村文彦教授(2)
今日も昨日に引き続き、津波工学が専門、東北大学、今村文彦教授のインタビューです。
先週11月22日に発生した「福島県沖を震源とする地震」では太平洋沿岸の広い地域に津波注意報、津波警報が出されました。この内、津波注意報が出された宮城県仙台港では最大1.4メートルの津波を観測。津波の襲来後に「注意報」が「警報」に置き換えられる事態となりました。
ではそもそも「津波注意報」「津波警報」そして「大津波警報」の、それぞれの定義とは?
今村先生に伺いました。
◆津波注意報、津波警報、大津波警報の違い
まず「津波注意報」とは、推定される津波が20センチ以上1メートル以下。沿岸部にいると津波によって流されたり、小型の船舶が転倒したりする影響がある。
この1メートルを超え3メートル以下は「津波警報」になる。この場合、当然沿岸部や川沿いに津波が来襲して、場合によっては家や建物などにも被害が起きるくらいの規模になる。ただちに安全な場所に避難しなければいけない。
さらに3メートルを超えると「大津波警報」となる。311のように、非常に広範囲でしかも河川に沿って、内陸の奥にも押し寄せる。この場合は迅速に安全な場所に移動すること。また場合によっては、「安全な場所」のはずのところを津波が超えてくることもあるので、多くは一次避難ビルということで、安全な場所に指定または設置されているが、311のように、過去の状況を大きく上回るような津波が起こった場合、さらに安全な場所、標高においてはさらに高い場所に。二次的または三次的な避難行動をとる必要もある。
中でも、避難行動すべきかどうか、判断に迷ってしまいがちなのが、推定される津波が20センチ以上、1m以下の「津波注意報」。「津波注意報」に対して、わたしたちがとるべき行動とは?
◆正しくは地域のハザードマップを事前に確認
基本的には「津波注意報」の場合は、沿岸部、陸上部にいる場合は避難行動をとる必要はない。しかし、かなり地盤が非常に低いところ、川沿いのところは、津波の影響がある。そうすると、実は地域や自治体によって、津波注意報であっても避難しなければいけないところと、そうでないところが出てくる。じゃあ沿岸部でどういう状況になっているかというと、通常ハザードマップ、避難マップと呼ばれるものが作られていて、注意報レベルだったらこのぐらいの影響があるので避難してください、警報ではこうです、という情報がある。インターネット上でハザードマップ、浸水マップというのが出されているので、それをぜひ一度確認してほしい。
さらに正確にいうと、津波の高さ、破壊力、被害は「メートル(=津波の高さ)」だけで分類や評価することはできなくて、本当は流速や力そのものを評価していかなくてはいけない。いまのところ、「津波の高さ」ということで皆さんに情報として出しているが、その場合、陸上部でどんな地形なのか、平らなのか、急峻な山が迫っているのか、それによっても状況も違ってくる。
海抜ゼロメートルでは防潮堤を超えただけでも、すぐ浸水してくる。やはりマンションやビルの高いところに避難するのが対応としては一番いい。津波というのは非常に複雑な現象なので、「出された数字よりも高いところに移動する」という判断が必要になる。
津波注意報でも、状況によっては避難が必要な場合もあることがわかりました。ハザードマップなど事前に確認して「正しく恐れる」ことが大事なのではないでしょうか。
LOVE&HOPE、明日は防災のスペシャリスト、群馬大学大学院教授、片田敏孝さんのインタビューです。
先週11月22日に発生した「福島県沖を震源とする地震」では太平洋沿岸の広い地域に津波注意報、津波警報が出されました。この内、津波注意報が出された宮城県仙台港では最大1.4メートルの津波を観測。津波の襲来後に「注意報」が「警報」に置き換えられる事態となりました。
ではそもそも「津波注意報」「津波警報」そして「大津波警報」の、それぞれの定義とは?
今村先生に伺いました。
◆津波注意報、津波警報、大津波警報の違い
まず「津波注意報」とは、推定される津波が20センチ以上1メートル以下。沿岸部にいると津波によって流されたり、小型の船舶が転倒したりする影響がある。
この1メートルを超え3メートル以下は「津波警報」になる。この場合、当然沿岸部や川沿いに津波が来襲して、場合によっては家や建物などにも被害が起きるくらいの規模になる。ただちに安全な場所に避難しなければいけない。
さらに3メートルを超えると「大津波警報」となる。311のように、非常に広範囲でしかも河川に沿って、内陸の奥にも押し寄せる。この場合は迅速に安全な場所に移動すること。また場合によっては、「安全な場所」のはずのところを津波が超えてくることもあるので、多くは一次避難ビルということで、安全な場所に指定または設置されているが、311のように、過去の状況を大きく上回るような津波が起こった場合、さらに安全な場所、標高においてはさらに高い場所に。二次的または三次的な避難行動をとる必要もある。
中でも、避難行動すべきかどうか、判断に迷ってしまいがちなのが、推定される津波が20センチ以上、1m以下の「津波注意報」。「津波注意報」に対して、わたしたちがとるべき行動とは?
◆正しくは地域のハザードマップを事前に確認
基本的には「津波注意報」の場合は、沿岸部、陸上部にいる場合は避難行動をとる必要はない。しかし、かなり地盤が非常に低いところ、川沿いのところは、津波の影響がある。そうすると、実は地域や自治体によって、津波注意報であっても避難しなければいけないところと、そうでないところが出てくる。じゃあ沿岸部でどういう状況になっているかというと、通常ハザードマップ、避難マップと呼ばれるものが作られていて、注意報レベルだったらこのぐらいの影響があるので避難してください、警報ではこうです、という情報がある。インターネット上でハザードマップ、浸水マップというのが出されているので、それをぜひ一度確認してほしい。
さらに正確にいうと、津波の高さ、破壊力、被害は「メートル(=津波の高さ)」だけで分類や評価することはできなくて、本当は流速や力そのものを評価していかなくてはいけない。いまのところ、「津波の高さ」ということで皆さんに情報として出しているが、その場合、陸上部でどんな地形なのか、平らなのか、急峻な山が迫っているのか、それによっても状況も違ってくる。
海抜ゼロメートルでは防潮堤を超えただけでも、すぐ浸水してくる。やはりマンションやビルの高いところに避難するのが対応としては一番いい。津波というのは非常に複雑な現象なので、「出された数字よりも高いところに移動する」という判断が必要になる。
津波注意報でも、状況によっては避難が必要な場合もあることがわかりました。ハザードマップなど事前に確認して「正しく恐れる」ことが大事なのではないでしょうか。
LOVE&HOPE、明日は防災のスペシャリスト、群馬大学大学院教授、片田敏孝さんのインタビューです。