TOKYO FM サンデースペシャル やさしい日本語 Supported by ヒューマンアカデミー

  • 2018年3月11日(日)19:00-19:55 ON AIR

パーソナリティ 坂本 美雨

3月11日。東日本大地震から丸7年が経ちました。

女の子震災以降、日本における防災減災の取り組みはとても盛んになっています。その一方で、防災減災を考える上で、7年前と今では、大きく違うことがあります。
ひとつは、外国人の数です。日本に暮らす外国人の数…昨年末時点でおよそ250万人!また、昨年1年間で日本を訪れた外国人2869万人で、あと少しで3000万人に届く勢いです。もうひとつは、SNSの爆発的な普及です。以前からあったTwitter、Facebookに加え、LINEやInstagramも普及。大きな災害があったとき、SNSから得られる情報は本当に大切になりました。
一方で、いわゆるネット上のデマが混乱をもたらすというデメリットも生まれています。
この番組では、この2つの大きな変化に視点を置いて、これからの防災減災を考えていきます。


外国人と「やさしい日本語」で理解し合い、助け合う関係へ。

女の子この番組のタイトルでもある 「やさしい日本語」。この、「やさしい日本語」とは、普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のことです。
1995年1月の阪神・淡路大震災では、日本人だけでなく日本にいた多くの外国人も被害を受けました。その中には、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない人もいました。そこで、そうした人達が災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりです。
そして、「やさしい日本語」は、災害時のみならず平時における外国人への情報提供手段としても研究され、行政情報や生活情報、毎日のニュース発信など、全国的に様々な分野で取組が広がっています。

なぜ、「やさしい日本語」なのでしょうか。
国立研究所「生活のための日本語:全国調査」によれば

  • 国内に住む外国人で
    英語ができる人 44.0% 日本語ができる人 62.6%

~つまり、共通言語は英語とは限らない!のです!

国際交流基金・電通による台湾・香港・韓国 日本語学習者調査によれば

  • 今日本語を勉強している人数
    台湾 240万人 香港 52万人 韓国654万人
  • 少しは日本語で離せます
    台湾 41.5% 香港 31.3% 韓国 40.7%
  • (日本語を勉強している人で)日本旅行では日本人と日本語を話したい
    台湾 66.1% 香港 65.8% 韓国 62.2%

~となっていて、
つまり、台湾・韓国・香港の人が2~3人集まれば、80%の確率で日本語を話す人がいるというのが現実。

例えば「高台へ避難してください」という言葉を、「高い場所に逃げてください」というやさしい日本語に言い換えたり、「体育館に避難してください」を、外国人はまさか体育館で寝泊まりするとは思っていないという事例もありました。体育館は災害時の避難所になっていて、炊き出しもあるのですよ、など、その場所の詳しい説明をしてあげたほうがわかりやすかったりもします。
また、「ご自由にお持ちください」などの解釈の違いで、避難所に寄付される食べ物などを、分け合わず全部持っていかないようにするなど、避難所に張り出される情報の「やさしい日本語化」は重要なポイントです。
お互いがお互いを理解し合うことで、外国人の方を災害時に「助ける」だけじゃなく、助け合う関係になれるというものですよね。


災害時のSNS、ソーシャルメディアの役割

番組では、Twitter、Facebook、LINE、各社の担当の方に、「災害時の役割」について、伺いました。

Facebook
世界最大規模のユーザー数を持つFacebookは、「安否を知る、知らせる機能」が災害時に発動するようになっています。災害時に自分の無事をFacebookでつながっている家族や友人に知らせたり、災害の影響を受けている地域にいる人の安否を確認することができます。これは世界各国の災害やテロでこれまでに600回以上発動しています。この機能は東日本大震災のとき、米国の大学Facebookでインターンをしていた日本人学生が「なにかできることはないか」とのプロトタイプを開発。これがその後マーク・ザッカーバーグの目に触れて実用化し熊本地震でも活用されました。
また、災害が発生した時に、支援物資などを必要とする人と、支援できる人をマッチングする「コミュニティヘルプ」という機能も2017年に追加されています。
LINE
そもそもLINEは東日本大震災をきっかけに、身近な人と簡単に連絡をとりあうことができるツールとして生まれたもの。「既読」は相手が返信できない状況でも、簡単な安否が伝えられる機能として考え出され、スタンプも文字を打てない状況で簡単に意思を伝えられるという特徴を持っています。また、LINEのグループ機能は「普段から使える機能」なので、災害があった時に特別な操作がいらないというメリットがあり、一般利用者だけでなく、行政の防災担当者のあいだでも、日常で使いつつ災害時にも活用するという動きが進み、LINEを利用した防災訓練も盛んになっています。
さらに2017年3月からは、LINE災害連絡サービスという、LINEで繋がる友達や家族と自分の安否を知らせあう機能が追加されています。
そして3月1日からは、電子コミックサービス「LINEマンガ」上にて、「マンガでわかる 緊急時のLINE活用法」を無料で公開、特定のスタンプを購入することで寄付ができる「災害復興支援特別基金」への寄付の受付も開始しています。
Twitter
Twitterの♯(ハッシュタグ)はそもそも、2007年カリフォルニア山火事をきっかけに被災地の情報を市民と行政が共有する機能として生まれたもの。東日本大震災の後には日本語のハッシュタグも追加されました。これまで国内で発生した災害でも、行政の呼びかけで市民がハッシュタグつきで被災状況をツイートし、自治体の救助要請に結びついた事例があります。ハッシュタグは「♯地震」「♯大雨」ではなく、「♯(自分たちが住んでいる自治体の名前)+ 大雨・災害・大雪」など、より具体的な名称をつけることで有効な情報になります。これは自治体が音頭を取り、常日頃から地元住民に伝える必要があります。
一方、Twitterの情報は、問題が解決した後も拡散を続けてしまうリスクがあるため、ツイートした本人が問題解決後に「削除する」ことも求められています。

一方で、SNSには怖い面もあります。いわゆる「デマ」「フェイクニュース」の拡散。熊本地震では外国人差別ニュースがSNSを通じて拡散したそう。ニュースソースや、発信時間の確認など、SNSを災害時に使用するには、気をつけないこともありますね。
また、SNSでは「キツイ表現」が多くなってしまいがち。文字でも「やさしい日本語」を使うように、心がけていきたいですね。


収録風景 坂本美雨 土井佳彦 藤代裕之

取材協力
土井佳彦さん NPO法人「多文化共生リソースセンター東海」代表理事(写真/中央)
藤代裕之さん 法政大学准教授(写真/右)

災害時「ラジオ」の力を最大限に発揮するために

TOKYO FMをはじめとする全国38局のネットワークを有する全国FM放送協議会(JFN)は、災害時に、支援を必要とする被災地と全国のリスナーを結び、地域住民の安全の確保や復旧のための支援に役立てることを目指し、日本郵便株式会社とは「災害時における地域情報ネットワーク協定」を2013年9月1日に。イオン株式会社とは、「災害時における総合防災ネットワーク構築に関する協定」を2013年11月1日に。
また、2014年1月17日には、JCBA(日本コミュニティ放送協会)と、「災害時における地域情報ネットワーク構築に関する協定」、2014年8月1日には、東京海上日動火災保険株式会社と、「災害時における地域情報ネットワーク協定」を締結しました。
詳しくは下記をご覧ください(画像をクリックすると拡大表示されます)。

  • 日本郵便株式会社との「災害時における地域情報ネットワーク協定」
  • JCBA(日本コミュニティ放送協会)との「災害時における地域情報ネットワーク構築に関する協定」
  • イオン株式会社との「災害時における総合防災ネットワーク構築に関する協定」
  • 東京海上日動火災保険株式会社との「災害時における地域情報ネットワーク協定」

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