今は令和7年 春の全国交通安全運動の期間中。
来週火曜日、4月15日まで続きますが、先週に続いて 
警察庁 交通局 交通企画課 安全係 成田洋基さんにお話を伺い、
今週は大切なポイントをお伝えする後編でした。





今年の春の全国交通安全運動には重点ポイントが3つあります。

(1) こどもを始めとする歩行者が安全に通行できる道路交通環境の確保と正しい横断方法の実践

(2) 歩行者優先意識の徹底とながら運転等の根絶やシートベルト・チャイルドシートの適切な使用の促進

(3) 自転車・特定小型原動機付自転車利用時のヘルメット着用と交通ルールの遵守の徹底



まず1点目について。
横断歩道付近の横断歩道外の横断や車両等の直前直後の横断など
法令違反による歩行中死者が多いことがわかっています。

歩行者として道路を横断する時には横断歩道を渡る、
信号に従うという基本的な交通ルールを守りましょう。
特に高齢者は加齢に伴う身体機能の変化に応じて適切な行動をとる必要があります。

そして、歩きながらスマホを操作することは、
危ないことだという認識を持ちましょう。

子どもに対しては、日常生活や教育現場において、
保護者や教育関係者が正しい横断方法を始めとする
自らの安全を守るための交通行動を繰り返し指導することが大切です。





続いて2点目。
クルマは歩行者等がいないことが明らかな場合を除いて
横断歩道の直前で停止可能な速度で通行する義務があります。
横断歩道に近づく歩行者に横断する意思があるかどうか
明確でない場合でも横断歩道の前で一時停止して
横断の意思の有無を確認してから進行しましょう。

いかなる理由であってもドライバーは歩行者を危険に晒してはいけません。
お酒を飲んだら、絶対にクルマの運転はしないこと。
周囲も身近な人に飲酒運転を絶対にさせない環境づくりをしましょう。
携帯電話を使うなどの「ながら運転」もしてはいけません。

そして、クルマに乗車中、命を守るためには
後部座席を含めた全ての座席でシートベルトを着用する必要があります。

これは子供であっても同様。
チャイルドシートを体格に合わせて正しい姿勢で使用する必要があります。
使用義務は、法令上「6歳未満の幼児」となっていますが、大切なのは子どもを守ること。
6歳になっても体格等の理由でシートベルトを適切に着用できない場合はチャイルドシートを使用して下さい。





最後に3点目について。
自転車を利用している方は、乗る時にヘルメットをかぶっているでしょうか?
法令上、自転車利用者に着用の努力義務が課されていることでもありますが
それよりも、万が一の時に頭を保護し、被害を軽くしてくれる効果があるものです。

そして、自転車は法律上「車両」。
原則は車道を走らなければいけません。
道路交通法の一部改正が昨年11月から施行され、
自転車利用者による「ながらスマホ」や「酒気帯び運転」に対する
罰則ができたことも覚えておいて下さい。

また、最近ブームになっている特定小型原動機付自転車は、
歩道通行、右側通行、横断歩行者等妨害、歩行者に危険を及ぼす運転は法令違反です。
交通ルールを遵守して乗るようにして下さい。




あさって4月6日 日曜日から「令和7年 春の全国交通安全運動」が始まります。
期間は4月15日 火曜日までの10日間。

そこで、今週と来週は警察庁交通局 交通企画課 安全係の成田洋基さんをお迎えして
今回の「春の全国交通安全運動」について、お伝えします。





まずは去年の全国の交通事故状況について。
令和6年の交通事故による死者数は2,663人でした。
前年と比べると15人少なく、割合にすると0.6%の減少です。
重傷者数は27,285人で前年より351人少なく割合で1.3%減。

一方で65歳以上の死者数は1,513人。
これは前年より47人増えて、割合にして3.2%の上昇です。

また、状態別で見ると「自動車乗車中」が増加。
「歩行中」「二輪乗車中」「自転車乗用中」は減少しました。





もう少し細かくデータを見ると、気になることが2つ。
まずは自動車乗車中の死亡事故を見ると高齢運転者の死亡事故が増えていること。
75歳以上の高齢運転者による死亡事故が410件。
4年連続の増加で免許保有者10万人当たりの死亡事故件数を見ると75歳未満のほぼ2倍。
さらに車両単独事故の構成率は75歳未満の約2.5倍です。

そして2点目。
自動車 乗車中の運転手の状態にフォーカスすると大きな問題が2つ浮かび上がります。
1つは、相変わらずなくならない飲酒運転。もう1つが、携帯電話の使用です。

飲酒が引き金となった死亡事故は、前年比なんと25%増。
数にして28件増えた140件という結果でした。

携帯電話等使用による死亡・重傷事故件数は136件。
過去10年で最も多くなっており、増加傾向にあります。
ちなみに携帯電話等使用による死亡・重傷事故は、20代・30代が全体のほぼ半数。





歩行中に交通事故で亡くなった方は、65歳未満で増えていて、時間では夜間が増加、
事故類型別では65歳以上より路上で寝そべるなどの「路上横臥」の割合が高く、
夜間の事故の75%に飲酒がありました。

65歳以上では、65歳未満と比べて「横断中」、
特に「横断歩道以外横断中」の割合が高くなっています。
その7割が夜間の事故ですが、反射材の着用率はわずかに4.1%でした。





次に自転車乗車中に亡くなった方。
自転車乗用中の交通事故で亡くなった方は324人。
そのうちの8割に何らかの法令違反があり、ほぼ半数が頭部に致命傷を負いました。
自転車利用者のヘルメット着用率は、前年比で3.5ポイント上がっているものの、いまだ17%。
8割以上がヘルメットをかぶらずに自転車を利用しているというのが実情です。





こうした状況がある中で、
令和7年の「春の全国交通安全運動」の重点ポイントは3つ。
  

(1) こどもを始めとする歩行者が安全に通行できる道路交通環境の確保と正しい横断方法の実践

(2) 歩行者優先意識の徹底と、ながら運転等の根絶やシートベルト・チャイルドシートの適切な使用の促進

(3) 自転車・特定小型原動機付自転車利用時のヘルメット着用と交通ルールの遵守の徹底



次回は重点ポイントの解説です。


日本列島には、桜が咲き始めて、やってきた春。
クルマで遠出する機会も増えるでしょうが、高速道路では車線変更に注意して下さい。
時速100km前後で走っているので、万が一の時には大きな事故に繋がりかねません。





今回のコメントは、日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員菰田潔さんでした。

高速道路での車線変更は、約3秒前に合図を出すと道路交通法で定められています。
合図は一般的にはウインカーで、安全確認・ウィンカー・3秒後に車線変更開始が正しい順序。

菰田さんの印象だと3秒前にウインカーを出して車線変更するドライバーは稀。
ウインカーを出すのは、他の車に自分の行動予定を示すためです。
車線変更をしたいと思ったらすぐにウインカーを出すこと。
そして、3秒間に他車の動向を見て、安全ならゆっくり車線変更します。





高速道路での車線変更は後続車にも注意しましょう。
バックミラーで1回だけでなく複数回見て、続いて来る車の速さを予測します。
特に走行車線から追い越し車線に出る時には気をつけて下さい。
追い越し車線に出て走行車線の車を追い抜いた後で、
前方に車がいなければ走行車線に戻ることも大切。
戻るタイミングはドアミラーではなく
ルームミラーに追い抜いた車のフロント部分が見えた時です。

また、ハンドルの切り方も重要。
ハンドルには指1本分ぐらいの遊びがありますが
その遊びの範囲内で車線変更したい方向にハンドルをやや押す程度でいいそう。

100km/hで走るクルマは1秒間に28m、5秒間で140m進みます。
最近は一部で120キロの制限速度の区間もできました。
120km/hだと、1秒間に33.3m、5秒間に約167m進みます。

この走行距離を考えると、ほんの少しの車の角度の変化で、大きく横に移動してしまいます。
だから、より丁寧な運転が必要になるのです。





車線変更してはいけない、あるいは避けるべき状況もあります。
まず、道路交通法で、トンネル内での追い越しは、原則として禁止されています。

また、雨や雪が降っている時には、路面が滑りやすく、視界も悪くなりがち。
車線変更の時に急ハンドルを切るとスリップしてしまう可能性も大。
そうなると接触事故や追突事故となって、
どのクルマもかなりのスピードを出しているわけですから大惨事が生じかねません。
無茶は決してしないようにしましょう。
      
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