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■第1話
立花ひなみは、思い出していた。
ちょうど一年前、沖縄の宮富島で過ごした日々を。
彼女は、援農ネットワークのサイトで見つけた
サトウキビ畑を刈る「キビ刈り隊」に参加したのだ。
若者が都会に出て行ってしまい、
働き手のいない島にいってキビを刈る。
島の港に着いた7人の若者たち。
みんな「平良家」のキビ刈り隊だ。
中でも目をひくのが、全身ブランドに身を包んだ女性、川野悦子。
そして、何処か影のある微笑をたたえた男性、
池永修一。ひなみは、これから始まる35日間に不安を隠せない。
おばぁに温かく迎えられた若者たち。
でも皆、わけありな様子。
自己紹介も名前だけで終わる。
おばぁは言う。
「言いたくないことは言わなくていい。
それがこの家のルールだよ」
そして見る、サトウキビ畑。
何処までも続くジャングルのような畑に一同、圧倒される。
「無理だよ。こんなの刈れっこない!!」
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