2010.03.27 社団法人・財団法人が設立しやすくなりました!

今週のキーワード「身近になった公益法人」について解説してくださるのは、内閣府・大臣官房公益法人行政担当室・企画官の堺井啓公さん。
平成20年12月に施行された新公益法人制度を広く知ってもらうために、広報の場を企画し、運営している、広報マンです。


中山 「早速、公益法人とはどういうものなのか確認させて頂けますか?」

堺井 「大きく、社団法人と財団法人の2種類があります。」

中山 「では、社団法人とはどういったものでしょうか?」

堺井 「一定の目的の為に集まった人の集団が、不特定多数の方の利益を実現するために作られた法人です。」

中山 「つづいて、財団法人とは?」

堺井 「一定の目的の為に提供された財産を運営する為に作られた法人のことになります。」

中山 「一般企業とは何がどう違うのでしょうか?」

堺井 「利益を求めず、公益性の高い事業を中心に行っていくもので、そのための税制優遇措置などがついております。」

中山 「私たちの社会へのメリットというものは具体的にどんなものがあるのでしょう?」

堺井 「生活に密着して活動していることが多いんです。行政や企業じゃ必ずしも満たせない社会のニーズに対応するような、きめこまやかなサービスに対応することもあると思います。」

中山 「売り上げ重視だとそこまでフォロー出来ないところもあるけれど、それを補う、そういったところがメリットなんですね。といっても色々とあると思うのですが…」

堺井 「例えば学校に行く為の奨学金を出すような事業をしていたり、これから社会を変えていこうとする研究開発に助成するということもありますし、2月にありましたオリンピックでも注目のフィギュアスケートの強化、といったスポーツを振興する法人も財団法人であったり、公園整備による環境整備や盲導犬を育成する法人、身近なところでサービスを提供している団体が多いです。」

中山 「なじみのあるところが多いのですね。それから、最近話題になっていますが、事業仕分けの対象によりかわったことってあるんですか?」

堺井 「強調したいのは、公益法人というのは民間の法人なんですね。民間の発意でユニークな活動をしているところが多数あるんですね。今回の事業仕分けはそういった公益法人に対して、国から支出をしますよね、その支出が妥当かといったところを見ていくのであって、その法人を残すか、なくすか、そういった話ではないんです。」

中山 「違うようにとらえられてしまった部分もあるということで、なくなるということじゃないですよね。」

堺井 「はい。大多数の法人は身近な良いことをやって頂いている法人が多いです。そういったところを身近に感じて頂けたらいいと思います。」

中山 「公益法人制度が新たになり、身近になったというのですが、どういったことがかわったのですか?」

堺井 「これまでは 主務官庁の許可が、役所の許可が公益法人の設立に必要だったんです。それが平成20年12月空新しい制度になって、一般財団法人あるいは一般社団法人の設立は非常に簡単になりました。法律の条件を満たせば、登記をするだけで作れるようになったんです。それと、公益財団法人、公益社団法人については、民間の有識者の方が作る委員会で、公益性の判断が出るような審査がある、そういう形になりました。」

中山 「いわゆる一般財団法人、一般社団法人と公益財団法人、公益社団法人の違いはなんでしょう?」

堺井 「一般の財団法人、社団法人は法律の要件さえ満たせば登記だけで設立できる、メリットは17事業の展開が可能になり、役所の監督を受けることがないです。一方で税制優遇がそんなにありません。そして、公益の社団法人、財団法人は半分以上公益目的の事業を行うといったような基準を満たしていて、民間の委員から公益性があると認められた団体がそうなるのですが、法人税が非課税になります。法人へ寄付を行う個人や団体税制優遇措置がありまして、寄付金が集め易くなります。その分、透明性をはかっていく説明責任、そういったものを非常に求められます。」

中山 「今ですと手を挙げるとどれくらいの期間でできるのですか?」

堺井 「早い場合は一般の財団法人、社団法人は法務局で登記をすればできてしまうんです。公益の判断は、3〜4ヶ月くらいかかるのですが、それくらいの期間で公益の審査をしているところです。」

中山 「例えば、新しい制度になって我々の身近へどういった影響が出て来ていますか?」

堺井 「例えば事業費が年間50万円程度といった小さな規模の公益法人も誕生したり、役所の省庁をまたがるようなかたちで事業を拡大していく、というような活動をする公益法人の例も出て来ています。個人の価値観が多様化し、社会のニーズが多岐に渡っている今の時代で、行政や企業が満たすことができない困難な課題を解決するような事業をする民間の公益法人が出来てくるのが期待されるのかなと思います。」

中山 「これから増えて行きますか?」

堺井 「はい、増えて行くと思います。制度が始まって1年4ヶ月くらいですが、現在までで3000くらい、一般、社団・財団法人が誕生したんですね。それは非常に大きなことで、この流れがどんどん広がって行くことが期待されるのではないかと思います。」

中山 「公益法人の理想像というのはあるのでしょうか?」

堺井 「身近な行政や民間が手が届きにくいサービス、例えば自然環境の大切さを次世代に伝えたい、障害者の生活を支援したい、地域の伝統文化を後世に伝えたい、アジアの留学生を支援したい、そういった想いを実現する為に、公益法人を使って人を支え、役に立ちたい、といったことが実現可能性があると思います。ある人が公益法人に寄付を行いますとその寄付をした人にとって、公益法人への活動に対する共感が増して来て、社会への絆が深まってきます。寄付を受けた公益法人はこれを原動力として、新たな公益活動の領域を切り開いていくことも考えられるわけです。それが定着することで、社会に好循環が生まれてこと、それが期待するところであります。」

中山 「気持ちが豊かになるっていうことですね。」

堺井 「自分は一人じゃない、人が助け合っていく、それが公益法人を通じてサービスが提供される、そうすると世の中が温かい世の中になっていく、そういうことを期待しています。」


◇感想◇
お知らせがあります!中山秀征のビューティフル・ジャパンは今日をもって最終回となってしまいます。
みなさまこれまで応援して下さりありがとうございました。
非常に残念ではありますが、一部の放送局では装い新たに、"中山秀征のジャパリズム"として放送することになっています。
ビューティフル・ジャパンのホームページはまだ見れますので、是非チェックしてみて下さい♪