使い始めが肝心! スマホの安全・安心な使い方
何かと便利なスマホですが、危険はいつも、すぐそばに潜んでいます。
進学や入学に合わせて、子供にスマホを持たせる方が多いと思いますが、どんなことに気をつけたらいいのか。
今回は「使い始めが肝心! スマホの安全・安心な使い方」というテーマでお話しました。
秋元 子供にスマホを持たせる時に、保護者の方が気を配ることと言えば、JOYくん、なんでしょうか。
JOY フィルタリングですよね。
この番組でも以前、取り上げたけど、子供たちが有害なサイトを見ないように、アクセスを自動でブロックする、フィルタリングを利用することが大切だと伝えてきたよね。
秋元 フィルタリングは子供の成長に合わせて設定を変えることができるので、親子で話し合ってフィルタリングを上手に使ってほしいなど、これまでも番組でお伝えしてきました。
JOY 昨年もSNSを利用し小学生を誘い出して自宅に監禁した事件があったよね。
秋元 そうだね。誘拐だけでなく買春や際どい写真を送らせるなど、SNSをきっかけに性犯罪に巻き込まれた18歳未満の被害児童数は、2019年には2095人で、過去最高の数なんだそうです。
JOY スマホは便利だけど危険と隣り合わせでもあるから、そうした事件を防ぐためにもフィルタリングは必要だと思うんだよね。
だからこそ保護者の方々には必ず使って貰いたいと思うな。
秋元 そうだよね。ところが、フィルタリングの利用率の推移を調査したところ、2012年度におよそ63%あった利用率が、2018年度には、なんと36%まで減ってしまっているんです。
JOY どうして減っているんだろう。
秋元 スマホの販売代理店でフィルタリングの説明を聞いたり、インストールや設定をしてもらったりすると、時間がかかって嫌だなあとか、内容が少し複雑だなあと、感じる方もいらっしゃるのかもしれませんね。
JOY ちなみにスマホを利用している子供たちってどれくらいいるのかな。
秋元 小学生、中学生、高校生を合わせた全体のスマホ利用率は2018年で、およそ7割です。
保護者の方もSNSを利用してお子さんと連絡をとっている方、多いですよね。
でも実はこの「SNSを利用したい」という使用目的が、フィルタリングの利用率が上がらない要因のひとつとも考えられているそうなんです。
JOY どういうこと。
秋元 保護者や子供たちの中には、フィルタリングを利用するとSNSができなくなると誤解されている方がいるようなんです。
でも、それはあくまでも誤解なんですって。
そこで、ここからは内閣府 青少年環境整備担当参事官 岸田憲夫さんにお話を伺っていきます。
岸田さん、フィルタリングの利用率が減っていると聞いて驚いたんですが、その理由のひとつにフィルタリングについて誤解されている方がいることが考えられるということですね。
岸田 はい。
フィルタリングを利用すると、全てのSNSが使えなくなると思っている方がいらっしゃるんですが、それは誤解です。
お子様の年齢に合わせて設定することで、SNSが使えるようになるタイプのフィルタリングもあるんです。
大手の携帯電話事業者のフィルタリングサービスとして、「あんしんフィルター」というものがありますが、具体的には、お子様の学齢によりカテゴリーが「小学生」「中学生」「高校生」「高校生プラス」と4つ設けられていて、このうち、「高校生プラス」を設定していただければ、アダルトサイトや出会い系サイトなど有害情報の利用は制限しつつ、一部のSNSを利用することができるようになる、ということなんです。
JOY どうして高校生向けは2つあるんですか。
岸田 はい。「高校生プラス」はSNSの利用のルールやマナー、危険性を理解したお子様向けで、「高校生」のカテゴリーでは利用できない一部のSNSを「高校生プラス」では利用することができます。
LINEなどのSNSは、保護者がカスタマイズしてあげることで利用できます。
秋元 保護者がお子さんの成長に合わせて、設定の選択やカスタマイズしてあげることでフィルタリングをしながらSNSを使うことができるんですね。
岸田 はい。そういうことになります。
高校生のお子様にスマホを持たせる保護者の方は、フィルタリングの設定を、お子様の成長に合わせて「高校生」か「高校生プラス」、どちらかを選んでいただければと思います。
秋元 お子さんとよく話し合って決めてほしいですね。
岸田 はい。
フィルタリングの設定を決める時は、一方的に押し付けるのではなく、親子で話し合うことが大切です。
秋元 その他に、保護者の方が気を付けたいポイントはありますか。
岸田 はい。
保護者の方が使っていたスマホを子供専用として持たせる時には、改めてフィルタリングの設定をするようにしてください。
おさがりのスマホはフィルタリングを使っていない場合が多いですから、子供が知らず知らずのうちに有害情報に触れてしまうことがないよう、注意が必要です。
おさがりだけではなく、一時的にお子さんにスマホを貸すときも同じです。動画を見るときは、子供向けのアプリもありますので是非使ってほしいですね。
JOY そこは面倒がらずにやっていかないとダメだよね。
秋元 ただフィルタリングをしたからといって、全て安全・安心というわけではありませんよね。
岸田 そうです。18歳未満のお子様にスマホを持たせる場合には、フィルタリングを含めペアレンタルコントロールがとても大切です。
JOY ペアレンタルコントロール?これは、なんですか。
岸田 はい。
フィルタリングだけでなく、保護者がスマホの利用時間の制限やゲーム課金の管理などを積極的に行うことです。
そうした管理がしやすいように作られたツールのことを、ペアレンタルコントロールなどといいます。
お二人は小学生から高校生が1日に何分ぐらいインターネットを利用しているか、ご存知ですか。
JOY 多くて、1時間半くらいかな。
秋元 寝る前とか利用すると思うけど多くても2時間くらいかな。
岸田 平均で2時間48分です。
しかも1日2時間以上インターネットを利用している子供は、およそ6割もいるんです。
秋元 寝る間を惜しんで動画など見ているんですかね。
岸田 そうですね。
子供は自分を抑えることが難しい場合が多いので、保護者の方がペアレンタルコントロールを活用して利用時間を制限したり、管理したりすることも大切です。
またそれだけでなく、先ほど秋元さんがおっしゃっていたように、お子様と日頃からコミュニケーションをとり、なにかあればすぐ相談できる関係を築くことがより大切です。
JOY 関係性というのは大事ですよね。
ただ、だんだんと外の世界に興味を持つようになって来て、そういったときに、悪い人に騙されてしまったり、会ったこともない人の誘いにのってしまったりという事も結構、聞きますよね。
岸田 そうですね。
ですからSNSを利用する子供たちには日頃から“ネットでしか知らない人”は、まだ本当の友達とは言えないこと。
そうした人の誘いには「乗らない」、「絶対に会わない」ことを伝え、もし困ったことがあったら身近にいる信頼できる大人に相談するように伝えておかなければいけません。
秋元 子供だけのことではありませんよね。
岸田 そうですね。
大人ですら“ネットでしか知らない人”を信用して騙されてしまう事件もありますから、保護者の方も子供と話し合う時には、子供と同じ目線で“ネットでしか知らない人”に実際に会いに行くことは危険なのだと、自分にも言い聞かすように丁寧にわかりやすく伝えていくことが大切です。
秋元 フィルタリングを活用しながら、インターネットやSNSとの付き合い方を親子で学んでいってほしいですね。
JOY SNSをきっかけに性犯罪に巻き込まれた18歳未満の被害児童数が2019年には2095人もいたんだよね。そうやって犯罪に巻き込まれる数は増えているのに、フィルタリング率が減っているじゃない。
スマホやSNSがあることで便利になってきているけど、危険もすぐ近くにあるから、親子で話し合いながらベストな利用法を見つけていってほしいですね。
参考:ネットの危険から子供を守るために(内閣府)