大学などへの進学を支援する新しい制度
来年4月から、大学、専門学校などへの進学を支援する新しい制度が始まります。経済的な理由で進学をあきらめる前に、是非、知っていただきたい制度です。
今回は「学びたい気持ちを応援!大学などへの進学を支援する新しい制度」についてお話しました。
秋元 最近の高校生が大学や短大、専門学校などに進学する割合は、およそ8割ですが、生活保護を受給しているなど、経済的に困難な家庭の子供に限定した場合、大学などに進学する割合は、およそ4割と言われています。
JOY 進学したいんだけど、お金がないという理由で諦めなければならない子もきっといるんだね。
秋元 一人暮らしをして私立大学に通う場合、学費と生活費の全国平均は年間およそ250万円だそうです。大学4年間だと、およそ1,000万円。
JOYくんが言ったように、経済的な理由で進学をあきらめている子もいると思うんです。
でも、進学をあきらめるとなると、その先の夢や目標もあきらめなければならない場合も出てきますよね。
実は、来年4月から大学、短大、専門学校などでの学びを支援する新しい取組が始まるそうなんです。
今日は、高校生の学びたい気持ちを応援するこの制度について、文部科学省・高等教育局・主任大学改革官の鍋島豊さんにお話を伺っていきます。鍋島さん、新しい取組が始まるそうですね。
鍋島 今年5月に、「大学等における修学の支援に関する法律」が成立し、来年4月から、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校での学びを支援する新しい取組がスタートします。
経済的な理由で進学をあきらめることがないよう、現在行っている「給付型奨学金」の額を大幅に増やし、あわせて入学金や授業料の免除や減額も行います。
JOY 「給付型奨学金」って何ですか?
鍋島 国の奨学金制度には、「給付型」と「貸与型」の2つがあります。
「給付型」というのは、奨学金の返還の必要がないもの、「貸与型」というのは、社会に出てから少しずつ返していただき、次世代への奨学金として後輩につなぐものです。
この「給付型奨学金」は、平成29年度から始まったのですが、来年4月から支給金額が大幅に増えて、支給される対象者も広がることになりました。
秋元 より多くの方が給付型奨学金を受け取れるということですね?
鍋島 そうですね。今までは、高校ごとに推薦枠という人数の上限があって、希望しても奨学金を得られない場合もありました。
新しい制度では、対象となる方であれば、希望して、審査を通れば、給付型奨学金を得られるようになったんです。
秋元 あわせて入学金や授業料も、免除や減額をしてくれるんですね。
鍋島 これまではそれぞれ別の制度だったのですが、新しい制度では給付型奨学金とセットで、大学や専門学校等の入学金や授業料の免除、または減額が行われます。
JOY 金額はどのくらいなんですか?
鍋島 家族構成や世帯収入、一人暮らしをするかどうかなどで変わってきます。例えば、住民税非課税の世帯の学生で、私立大学に自宅外から通う場合、給付型奨学金が年額およそ91万円支給されます。入学金はおよそ26万円、授業料が年額およそ70万円を上限に免除又は減額されます。また、住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合は、支給や減額の水準がこれらの3分の2、または3分の1となります。
JOY 鍋島さんが今、言っていたのを合わせると、年間およそ187万円のサポートということになるね。大きいね。
秋元 その対象者になるためには、ある程度条件がありますよね?
鍋島 そうですね。この新制度は、「学びたい!」という意欲のある子供たちが、家庭の経済的事情に関わらず、大学などへ進学し、学ぶことができるようにするためのものです。
そのため、様々な事情で世帯収入が低く、住民税非課税の世帯か、これに準ずる世帯のお子さんが対象です。
その上で、明確な進路意識と強い学びの意欲があれば誰でも申し込めます。
JOY 例えば、将来の夢があっても、これまであまり勉強する時間が取れなくて学校の成績が良くなかった子はこの支援を受けられないんですか?
鍋島 確かにそういうお子さんもいらっしゃると思います。
現行の給付型奨学金では、高校1・2年で一定の学力などを満たした子供が支援の対象ですが、新しい制度では、高校の成績だけで否定的な判断はせず、レポートの提出や高校による面談などで、学修意欲や進学の目的が確認できれば、多少成績がふるわなくても申し込めます。
JOY レポートの提出や高校による面談などで判断してもらえるというのはいいですね。
秋元 進学をあきらめて就職を考えていた子でも、こういった経済的な支援があるなら、大学や専門学校などで学んでから社会に出ようと思うかもしれませんね。
JOY 当然、進学した後は、しっかり勉強しないといけないんですよね。
鍋島 新しい制度の目的は、支援を受けた学生が大学や専門学校などでしっかりと学んだ上で社会で自立し、活躍できるように応援することです。ですから、進学後もしっかり勉強してほしいなと思います。
例えば、出席率が5割以下など学修意欲が著しく低いと学校が判断した場合や、修業年限で卒業できないことが確定した場合などは直ちに支援が打ち切られます。
JOY 進学したら、しっかり勉強することが大事ですね。
秋元 支援を受けたいと思ったら、まずは何をしたらいいんですか?
鍋島 まずは、自分が支援の対象になるかを調べてみてください。
この制度の実施主体である日本学生支援機構のウェブサイトにある「進学資金シミュレーター」では、世帯の年収がどのくらいであれば、いくら支給が受けられるかを調べることができます。
そして自分が「対象かも」と思ったら、まずは高校の先生に相談し、申請書類を受け取って、給付型奨学金の予約採用の申請を行ってください。
来年4月に進学する高校3年生の予約採用の申込みは、7月末が締切です。
是非、早めに先生に相談してください。
秋元 自分の夢のためには、自分で動くことが大事ですね。
まずは、シミュレーションをしてほしいですね。
鍋島 経済的な理由で進学をあきらめないでください。
誰もが希望すれば、将来の夢に向かってチャレンジできる社会を、私たちは作っていきたいと考えています。
大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学して学びたい!
という強い気持ちがある方は、まずは先生など信頼できる大人に相談してください。
JOY 「この制度ができて、うれしい!」という学生さんはとても多いと思います。
秋元 新しい制度ができるのは、今後の未来に向けて良い流れですよね。
どんどん利用してほしいですね。あきらめないで、まず一歩!