相談しよう! 暮らしの中の公害
ご近所からの騒音や悪臭などで困ったことはありませんか?今回は、そんな“暮らしの中の公害”を解決へと導く制度について伺いました。
秋元 生活していれば、いろんな困り事がありますよね。ここからは総務省・公害等調整委員会事務局・総務課長の城戸亮さんに伺います。まず、“暮らしの中の公害”とはどういったものですか?
城戸 “公害”と聞くと、水俣病や四日市ぜんそくなど、大規模な工場から出た煙や排水による汚染のイメージがあるかと思いますが、日常生活の中でも、騒音や悪臭などに悩まされている場合もありますよね。これも“公害”にあたります。
秋元 具体的にはどんな例がありますか?
城戸 例えば「家の前の深夜営業のお店の音がうるさくて、夜眠れない」、「隣の飲食店からの臭いがひどくて、洗濯物も干せないし、窓も開けられない」といった困り事などです。また、都市部以外の地域では、「田畑で野焼きをしていて、煙で困っている」「近くの養豚場や養鶏場などからの臭いに悩んでいる」といったことや、「近くを工事車両が出入りして、砂ぼこりや騒音で迷惑している」などといった相談もあります。
JOY なるほど、例えば隣にスナックができてカラオケの音が漏れてるとか、そういうのもあるかもね。
城戸 そういった公害でお悩みの方は、お住まいの市区町村・都道府県の【公害苦情相談窓口】へ相談してください。
JOY ちゃんと相談できるところがあるんだね!これは知っていくといいね。
城戸 はい。全国の相談窓口で直接相談できるほか、電話や手紙でも無料で相談を受け付けています。相談員が詳しくお話を聞いて、現場を訪問して実際の被害の状況などを調べたりします。また、相手方に話をして改善してもらったりします。毎年およそ7万件の相談に対応していますが、その9割以上が一旦解決に至っています。また、全体の3分の2が1週間以内、全体の4分の3が1カ月以内に解決に繋がっています。
秋元 そんなに早いんですか!
JOY でも、問題によって解決の仕方は違いますよね?
城戸 例えば騒音ですと、24時間営業しているコンビニエンスストアの駐車場からの音や、大型の空調の室外機の音などがよく相談されます。この場合、相談員が現場に行って、周辺の方に被害の状況を聞いたり、機械を使って騒音を測定したりして、被害の状況をつかみます。また、お店にも苦情が出ている状況を説明して、改善に向けて相談します。解決例としては、車止めに対して「前向き駐車」することで近隣の住宅へのエンジン音を抑える、アイドリングストップを呼びかける看板を設置してもらうなどがあります。室外機の場合は、お店の前側など近隣住宅から離れた場所に移してもらったりしています。
JOY 室外機の騒音は僕も経験あります!コンビニの上の部屋に引っ越したら、寝室の真下に大型の室外機があって、夜うるさくて眠れないから半年ぐらいで引っ越しましたよ。このときもし相談してたら、変わってたかもしれないな。
城戸 そうですね。また、カラオケスナックの騒音の場合は、店内に防音の工夫してもらうことが基本になりますが、お客さんの協力も必要になります。そこで常連客の方にも協力いただいて、実際に歌ってもらって音量を確認し、ボリュームの位置をここまでと決めて、改善した例もあります。費用の問題もありますので、相手方と実情に応じた対応策を相談していきます。
秋元 もし、それでも解決しない場合はどうなるのですか?
城戸 その場合は、専門家が双方の間に入って、話し合いで解決を図る【公害紛争処理制度】というものもあります。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、こういった次の段階があるということを知っておいていただければと思います。例えば、隣の家の室外機の低周波音に悩まされているという相談がありました。そこで、この公害紛争処理制度を利用し、専門家が間に入って話し合いを行った結果、相談者側が室外機を移設するための費用を負担することで工事を行い、解決できたというケースもあります。専門家の中には、メーカーや設置業者の方にも入っていただくこともあり、解決のために様々な工夫を行っています。
JOY 思った以上に、解決できるケースが多いんだね!身近な公害を我慢しちゃっている人はたくさんいると思うから、相談できることをぜひ知ってほしいよね。僕ももっと早く知りたかったよ!
秋元 そうだね。暮らしの中の公害でお困りの方は、まずは、お住まいの市区町村や都道府県の公害苦情相談窓口に相談してください。