多様な働き方を実現! 働き方改革
『働き方改革』で、私たちの働き方はどのように変わっていくのでしょうか?今回は、今年4月から順次施行される『働き方改革』に関する新しい法律について伺いました。
秋元 私は仕事が終わったらすぐに帰るタイプなんだけど(笑)。会社だと周りの空気もあって、難しいかもしれないな。
JOY 有給休暇が取りづらいっていう話も聞くね。
秋元 ここからは厚生労働省・労働基準局・労働条件政策課の高橋亮さんに伺います。まずは改めて、『働き方改革』がどういったものか教えていただけますか?
高橋 『働き方改革』とは、働く方々がそれぞれの事情に応じて、多様な働き方を自分で選択できるようにするために国がすすめている改革です。
秋元 なぜ改革が必要なんですか?
高橋 今、日本は少子高齢化が進んでいて、働き手の数が少なくなっています。そこで、育児や介護などを抱えている方も、それぞれの事情に合わせて働ける社会を目指す必要があります。
秋元 改革を進めていかないとどうなるんですか?
高橋 働き手が減り続けると経済の成長が鈍って、賃金は減り、国全体の力も弱まってしまいます。そういった状況を変えれば、賃金も上がり、私たちの意欲や能力がきちんと発揮できるので、社会全体にとっても個人とっても、メリットがあります。こうした考え方を踏まえ、昨年7月に【働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律】が公布されました。今年の4月から順次施行されます。
秋元 これは、私たちにも直接関係してくることなんですか?
高橋 すごく大きく変わります。今日はその中から、《時間外労働の上限が規制されること》と、《毎年、有給休暇の確実な取得が必要になること》についてお話しさせていただきます。まず時間外労働についてですが、今回、残業時間に初めて上限が設けられることになりました。
JOY 今までは残業時間に上限がなかったんですか?
高橋 はい。これまでは法的な上限がなく、労働者側と会社側が合意していれば、取り決めに従って何時間でも残業が可能でした。これからは合意があった場合でも、1か月で100時間を超える残業や、2か月連続で80時間を超えるような残業はできません。これに違反した会社に科される罰則も設けられました。
秋元 そんな状況にならないように、会社側は仕事量を調整したり、もっと効率的に働けるように環境を整えないといけないということですね。では、有給休暇の取得についてはどう変わるのでしょうか?
高橋 10日以上有給休暇を持っている方について、年5日の有給休暇を必ず取得させることが義務付けられます。有給休暇は一般的に、働く方が自ら申し出て取得するものですが、実際には遠慮などがあって言い出しにくい状況もあるかと思います。でもこれからは、年5日休めそうにない方については、申し出がない場合、会社側が希望を聞き休暇日を指定することになります。
JOY これはいい改革ですね!しっかり休んだ方が、仕事でもいいパフォーマンスができるんじゃないかな。でも、仕事がたまるから休みたくないという人もいるんじゃないですか?
高橋 そういったことにならないように、働き方改革では、会社が業務量を調整したり、みんなで仕事をシェアすることができる体制を整えることが重要になります。そのために企業では今、新しい取組を行っていて、例えば、20時を超えて残業する場合はあらかじめ役員の承認を受ける仕組みを設けたり、削減した分の残業代で新しい報奨の制度を導入した企業もあります。あるいは、ワールドカップやオリンピック期間中に“サッカー休暇制度”を設けて、日本代表が決勝トーナメントに進出した場合は、試合の翌日を休暇にしている企業もあります。
JOY それはめちゃくちゃいいですね!その会社に就職します!(笑)そうやって楽しみながら、働き方改革に取り組んでいる会社が増えてきているんですね。
高橋 そうなんです。「法律だから…」という義務感だけでなく、様々な取組をすることで、その会社に興味を持つ人が増えれば、いろんな人材が集まってきます。法改正をきっかけに、そういったいい意味での競争をしながら、日本全体で働き方改革が盛り上がってくれればいいなと思います。また、正規雇用労働者とパートやアルバイトなどの非正規雇用労働者の不合理な待遇差についても禁止されるようになります。今年4月から順次施行されますが、中小企業は1年長く準備期間を設けて、来年4月からのスタートになります。これを機に、みなさんもご自身の働き方を見直してみて下さい。
JOY 変わることで始めは戸惑うこともあると思うけど、より良くしていくために必要なことだからね。いい循環が生まれていくんじゃないかな。
秋元 『働き方改革』で社会全体も、働く人も、みんながハッピーになるといいですね!