児童虐待を防ぐ! 愛の鞭ゼロ作戦
「児童虐待」の種類は様々で、親にとっては“愛の鞭”のつもりでも、それが虐待になってしまうこともあるそうです。今回は、年々増え続ける「児童虐待」の問題についてお話しました。
秋元 今年、東京都・目黒区で5歳の女の子が虐待で亡くなった事件は、まだ記憶に新しいですよね。
JOY そうだね。子育てのつらさ、大変さはあると思うけど、それで子供が傷つくのは本当に悲しいことだよ。
秋元 ここからは厚生労働省・子ども家庭局家庭福祉課・虐待防止対策推進室長の宮腰奏子さんに伺います。児童虐待というのはどのくらい起きているのでしょうか?
宮腰 残念ながら、虐待により亡くなる18歳未満の子供は毎年いて、平成28年度は77人の子供が何らかの虐待により死亡しています。また、平成29年度に児童相談所が児童虐待に関する相談を受けて対応した件数は約13万4000件で、過去最多となっています。
JOY これだけ多いと、自分たちの近くでも起きているかもしれないよね。
秋元 どういったことが児童虐待になるのですか?
宮腰 児童虐待は、「身体的虐待」「心理的虐待」「ネグレクト」「性的虐待」の4種類に分けられています。身体的虐待とは、殴る、蹴る、叩く、やけどを負わせるなど、身体的な暴力です。心理的虐待とは、言葉で脅かしたり、無視したり、兄弟の間で著しく差別的な扱いをする、子供の目の前で激しい夫婦げんかやDVをするなど、子供の心をひどく傷つける行為です。
JOY 夫婦げんかを子供に見せることも虐待に当たるんですね。
宮腰 はい。そして「ネグレクト」は、乳幼児を家に残して外出する、食事を与えない、ひどく不潔なままにする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かないなどの行為で、子供を適切に保護しないことです。さらに、子供への性的行為や性的行為を見せること、性的興奮を目的とする写真や映像の被写体にすることなどが「性的虐待」です。
秋元 いろんな種類の虐待があるんですね。
宮腰 こうした行為はすべて児童虐待に当たりますが、中には“しつけ”という名目でこうした虐待をする人がいます。自分では“愛の鞭”のつもりでも、いつの間にかエスカレートして“虐待”につながってしまうことがあるんです。このため厚生労働省では、虐待にエスカレートしかねない“愛の鞭”は捨てましょうということで、児童虐待防止のキャンペーン「愛の鞭ゼロ作戦」を展開しています。
JOY 「しつけのためにやった」というのはよく聞きます。
宮腰 しつけとは、子供が自分で考えて行動できるようにするために、大人が社会のルールやマナーを理解できるように教えることで、虐待とはまったく異なるものです。体罰や暴言によって子供が親に恐怖心を持つと、親の顔色を窺って行動したり、心配事があっても打ち明けられなくなります。また、親による体罰など子供の時につらい体験をした人は、脳の萎縮など様々な変化が生じていることや、親子関係の悪化、精神的な問題の発生など、望ましくない影響が大きいということが研究でも明らかになっています。
秋元 いけないとわかっていても、子育てのストレスから、つい怒鳴ってしまうなんてこともあったりするんでしょうか?
宮腰 そうですね。子供が言うことを聞いてくれないなどでイライラして、子供に当たってしまうこともあるかもしれません。そうならないためにも、イライラしたら“深呼吸する”“数を数える”“窓を開けて風に当たる”“子供の安全を確保した上で、少しその場を離れる”など、日頃からクールダウンするための、自分なりの方法を見つけておくといいと思います。
秋元 他にも子供を虐待しないために心がけておくことはありますか?
宮腰 親自身がSOSを出すことも大切です。子育てで悩みや不安を抱えた時は、家族や周りの人に相談したり、助けを求めるようにしてください。SOSを出すことは決して恥ずかしいことではありません。家族に育児を分担してもらったり、家事代行や子供の一時預かり保育といった支援サービスを利用することも検討していただければと思います。また、児童相談所全国共通ダイヤル【189(いちはやく)】番では、子育てに関する相談を24時間365日受け付けています。
秋元 児童虐待を防ぐために、私たちに出来ることはありますか?
宮腰 はい。児童虐待は社会全体で解決しなければならない問題です。近所で「もしかして児童虐待かも?」と思うことがあれば、【189(いちはやく)】番へお電話下さい。連絡は匿名で行うことも可能ですし、連絡者や連絡内容に関する秘密は守られます。おせっかいかも…とは思わず、ためらわずにご相談ください。あなたの1本の電話で救われる子供がいます。
秋元 子育てにはいろんな苦労やストレスがあると思いますが、虐待する理由にはならないですからね。
JOY 早めにSOSを出すことが大事だね!恥ずかしいことだと思わずに、周りの人や窓口に相談してほしいな。