少しの知識が役に立つ! 救急車を呼ぶ前にできること!
9月9日は“救急の日”です。そこで今回は、急な病気やケガをしたとき、救急車を呼ぶべきかどうかの判断を手助けしてくれる便利なツールと、応急手当に必要な知識についてお話しました。
秋元 JOY君は、救急車で病院に運ばれたことってある?
JOY 実は20歳の頃、腹痛を限界まで我慢して、救急車で病院に運ばれたことがあるんだけど、盲腸であと少し遅かったら危険な状態だったらしくて、もっと早く呼んでおけばよかったと思ったよ。
秋元 どんな時に救急車を呼べばいいのか?っていうのは判断が難しいよね。ここからは、消防庁 救急企画室の守谷謙一さんにお話を伺います。まずは、最近の救急車の利用状況について教えていただけますか?
守谷 はい。救急車による出動件数は年々増えていて、平成29年は約634万件で過去最多を更新しました。10年前と比べると100万件以上も増えているんです。
秋元 そんなにですか!どうして、救急車を利用する人が増え続けているのでしょうか?
守谷 要因は色々ありますが、救急車を呼ぶべきかそうでないかの判断がつかず、とりあえず救急車を呼んでしまうという方が多くいらっしゃいます。また、高齢の方の搬送が増えていることも要因のひとつです。今のような状況で今後も救急車の利用が増え続けると、重症の方のところに救急車が到着するのが遅くなり、治療が遅れてしまうなどの事態が起こりかねません。
JOY 本当に必要としている人のところに救急車が行けない状況は一番怖いですもんね。
守谷 そこで、救急車を呼ぶかどうかの判断を手助けするツールを2つご紹介します。1つ目は、電話で専門家に相談できる短縮ダイヤル「#7119」です。地域ごとに限られた数しかない救急車を有効に活用し、緊急性の高い症状の方のところにできるだけ早く救急車が到着するように導入を進めています。看護師などの専門家がしっかり判断しますので、相談した方は適切なタイミングで医療機関を受診することができるようになります。
秋元 迷ったときに、専門家のアドバイスがもらえるのは心強いですね。
守谷 そうですね。昨年お話したときは、札幌市、東京都、横浜市、奈良県、大阪府、和歌山県田辺市、福岡県の7か所でしたが、今年から宮城県、埼玉県、新潟県、神戸市でも使えるようになりました。そして、今月から鳥取県でも利用可能となりますので、合わせて12の地域でご利用いただけます。今後は、茨城県や広島市周辺でも「#7119」が使えるようになる予定です。
JOY これ以外の地域の方はどうすればいいですか?
守谷 もう1つのツールとして、緊急性を判断する助けになる「Q助」というスマートフォンアプリがあります。急な病気やケガをした時に、該当する症状を画面上で選択していくと、緊急度に応じて必要な対応が表示されます。まず、最初の画面で「息がない」や「冷たくなっている」といった、最も緊急性の高い項目が表示されます。その後、“年齢”や“症状”の質問が表示され、最後に緊急度に応じて、「いますぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」、「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」、「引き続き、注意して様子をみてください」の4つのいずれかが表示されます。
JOY へえ!これは便利だから知っておくといいですよね。
守谷 また、民間事業者が行う「患者等搬送事業」というサービスもあります。寝たきりの方や身体が不自由な方などが、救急車を利用するほどの緊急性は無いものの、病院に行かなければならない時、自家用車や一般のタクシーでは移動に不安がある…という場合に利用できる有料の移動サービスで、講習を修了した乗務員と応急手当を行うために必要な機材を車に乗せているので、安心して病院まで向かうことができます。
秋元 最近は在宅介護をしている方も多いと思いますから、こうしたサービスがあることを知っておいていただきたいですね。この他に、救急車を呼ぶ前に私たちができることはありますか?
守谷 救急車を呼ぶ前、そして救急車が来るまでの間に応急手当が必要な場合があります。特に呼吸が止まり心臓も動いていない場合は、心臓マッサージを行ったり、AEDを使用したりなどの応急手当が必要です。応急手当をすることで1ヶ月後の生存率や、社会復帰率が高くなるというデータもあります。救急車が到着するのを待っている間、応急手当が必要な場合、119番を受けた通信指令員が指示をしますので、落ち着いてその指示に従ってください。
JOY 慌てずに指示通りにすればいいんですね。
守谷 はい。事前に具体的な流れを知っておくと指示を受けた時もスムーズに対応できますので、ぜひ一度、お近くの消防署で行っている講習会に参加していただければと思います。また、動画で応急手当の手順を学べる「応急手当WEB講習」もありますので、消防庁のホームページもご覧ください。
JOY イザという時のために、こういうのも見ておかなきゃいけないな。それに「Q助」もすぐに使えるようにしておくと安心だね。
秋元 適切な判断ができれば、本当に救急車が必要な人のためにもなりますからね!みなさんもぜひ活用してください。