今、少子化などの影響によって、毎年多くの学校が廃校になっています。今回は、その使われなくなった学校施設を新たな事業に活用して生まれ変わらせる「廃校の活用」について伺いました。

JOY　　僕が通っていた学校も生徒の数が減ってるって聞くし、いつか廃校になっちゃうのかなって考えるとやっぱり寂しいよね。

秋元　　大事な場所だから、もしそうなったら上手く活用してほしいなと思うけど、どんな活用方法があるんだろう？ここからは、文部科学省 施設助成課長の浅野敦行さんにお話を伺います。廃校になる学校は、どれくらいあるのでしょうか？

浅野　　少子化などの影響で、毎年およそ500校が廃校になっていまして、文部科学省が調査を始めた平成14年度から平成27年度の間に、6811校が廃校になっています。

秋元　　そんなにですか！廃校になった建物はどうなるんですか？

浅野　　廃校施設のうち、8割ほどは公民館や高齢者の福祉施設などに活用されていますが、2割以上は活用されずに放置されている状態です。

秋元　　空き家問題と同じで、放置しておくとデメリットがありそうですね。

浅野　　そうなんです。放ったらかしにしてしまうと、建物としても危険ですし、不法投棄の場になるといったデメリットが考えられます。そのため、自治体はセキュリティ対策をして、事故が起きないように建物の修繕なども行う必要があります。学校の規模によっては、年間で約300万円の維持管理費がかかっている場合もあるんです。

JOY　　使ってない施設にそれだけのお金がかかるのは、もったいないですね。

浅野　　もったいないですし、廃校になると子供たちがいなくなって、その地域に元気がなくなってしまいます。そこで、文部科学省では【みんなの廃校プロジェクト】を立ち上げて、廃校施設の活用を積極的に支援しています。例えば、全国各地の廃校物件をまとめて紹介するサイトを作って、廃校を使ってほしい自治体と、廃校を使いたい企業やNPO法人などのマッチングを行っています。

JOY　　企業やNPO法人が廃校を活用するメリットってあるんですか？

浅野　　もちろんです！大きく4つのメリットがあって、1つは、既存の物件を利用するので、初期費用を安くおさえられます。2つめは、廃校利用という話題性があるので、宣伝効果が期待できます。3つめは、地域の人が愛着ある施設を使うことで、地域の人たちと密着して、雇用を生んだり連携ができるようになります。そして4つめは、使い勝手が良いということです。スペースも広いですし、いろんなことに活用できる可能性を持っていると思います。

秋元　　確かに、教室のようなスペースは使いやすそうですね。具体的には、どんな風に活用されているんですか？

浅野　　例えば、静岡県伊豆市の小学校は、手作りみそ工場として活用されています。食品製造業は、製造場所、保管庫、材料置場、資材置場など、さまざまなスペースを必要としますが、学校施設は教室ごとに区切られていますから、これらを上手く利用して、改修費用はわずか400万円で済んだそうです。

JOY　　新しく建物を建てるよりも安く済んで、作業スペースも広々と使えるのは便利だね！

浅野　　それから、グラウンドを利用したバーベキュー大会や納涼大会を開催して、地域の方々との交流を深めているそうです。その効果もあって、地元からのべ100人も雇用されています。

秋元　　雇用が生まれて、地域も活気づくのはいいですね。

浅野　　この他にも、茨城県行方市の小学校は、食品加工業者が茨城県の特産物のさつまいもをテーマに、加工工場・ミュージアム・レストランを設置した農業のテーマパークとして使っています。山梨県身延町にある中学校は、住宅地からほど遠い高台という立地を生かして、ドローンの研究施設として活用されています。グラウンドや体育館での飛行試験は、安全面や騒音問題などの心配がありませんし、バスケット用のゴールや跳び箱などの備品を飛行試験の仮想障害物に見立てて有効活用しているそうです。しかもこちらの改修費用は、たったの100万円だったそうです。

秋元　　学校の特長と企業が必要としている条件がマッチングすることで、どちらにとってもプラスの取組ができるんですね。

浅野　　廃校は＜終わり＞ではなく、新しく生まれ変われる＜始まり＞の場所だと考えています。ぜひ廃校の活用に興味を持っていただけたらうれしいです。

JOY　　廃校って寂しいイメージだったけど、こうして聞くと、いろんな可能性があっておもしろいね！
それに最近は、廃校が水族館になってるっていうニュースを見たよ！
小学校のプールでウミガメとかサメが泳いでるんだって。おもしろいし行ってみたいよね！

秋元　　私の地元の千葉県でも廃校が道の駅になっていて、校舎に宿泊できる施設もあるんだって。行ってみたいな！