思い込みが危険! 正しい熱中症対策を知ろう!
毎年夏になると、多くの方が熱中症で救急搬送されています。しっかりと予防しているつもりでも、実はその対策が間違っていたということもあるそうです。今回は、正しい熱中症対策について伺いました。
秋元 JOY君はフットサルをやってるけど、熱中症の対策はしてる?
JOY とにかく水分を摂るようにしてるかな。あとは終わった後に冷たいビールをグイッと!体も冷えるしね。
秋元 それって本当に熱中症対策になってるのかな?ここからは環境省・環境安全課長の瀧口博明さんに詳しく伺います。毎年夏になると、熱中症で救急搬送される方々のニュースをよく目にしますが、どのくらいの方が熱中症にかかっているのでしょうか?
瀧口 ここ数年は、年間5万人から6万人が熱中症で救急搬送されています。また2016年には、約600人が熱中症で亡くなっています。多いのは65歳以上の高齢者ですが、働き盛りの成人、部活動などで激しい運動をする機会が多い15歳から19歳の若者も少なくありません。高齢者や小さなお子さんは体温の調整機能などが十分でなく、本人が熱中症の症状に気づきにくい場合もあるため、周りの人が特に注意してあげる必要があります。
秋元 みなさん熱中症にかからないように普段から気をつけていると思いますが、それでも発症してしまう方が後を絶たないのはどうしてですか?
瀧口 仕事やスポーツの場面では、暑くて辛い状況でも“つい無理をしてしまう”ということもひとつの要因だと思います。特にスポーツの場合は、一年生や新人の方が熱中症になりやすいです。
JOY 言い出せなくて、つい無理をしちゃうんでしょうね。
瀧口 また、高齢者は室内で熱中症を発症するケースが多いのですが、高齢になるとともに、暑さを感じる体の機能が鈍り、気づかないうちに暑い室内にいて発症してしまう場合があります。あるいは暑くても、エアコンの使用を我慢して発症するということもあるようです。
秋元 私もつい、エアコンは暑くてどうしても我慢ができない時だけでいいかなって思っちゃいます。
瀧口 実は、みなさんが熱中症対策だと思っているものが、勘違いだったということもあるかもしれません。ひとつは、エアコンの設定温度です。環境省が推奨している【クールビズ】では、室温28℃で快適に過ごせる軽装をお勧めしているため、“エアコンの設定温度が28℃でなければいけない”と勘違いしている方が少なからずいるようです。28℃はあくまでも室内温度の目安で、冷房の設定温度を28℃にしても、室内が必ずしも28℃になるとは限りません。
JOY これは勘違いしている人が多いんじゃないかな。エアコンの設定温度じゃなくて、温度計で計って何℃か?ということですよね。
瀧口 そうです。なので、できれば部屋に温度計を置いて、自分の過ごしやすい室温を保つようにしていただければと思います。また、室内の環境を快適にするには、エアコンだけではなく、風通しをよくしたり、ブラインドやすだれ、緑のカーテンなどを使って窓から差し込む日光を遮るなど工夫していただければと思います。
秋元 日光を遮るだけでもだいぶ涼しくなりますからね。他に、勘違いしやすい熱中症の対策はありますか?
瀧口 水分補給です。熱中症にならないためには、こまめな水分補給をすることがよく知られていますが、この場合の水分は、お水やお茶、スポーツドリンクなどです。ビールなどのアルコールではありません。
JOY えっ、本当ですか?
瀧口 アルコールは尿の量を増やし体内の水分を排泄してしまうため、汗で失われた水分をビールなどでは補えません。一旦吸収した水分も、それ以上の水分とともに後で尿として失われてしまいます。
JOY そうか、僕も勘違いしてました!気を付けます。
瀧口 熱中症について正しく知っていただくために、環境省では「熱中症予防情報サイト」を開設しています。気温以外にも、湿度・日差し・日差しの照り返し・風の要素を取り入れて出した指標【暑さ指数】と、それに応じた注意事項を公開していますので、こまめにチェックして、環境やご自身の体調に合わせた行動を心がけてください。
JOY 部活とかでも無理をせず、水分も摂って、体第一にね!
秋元 年齢によっても体は変わってきますからね。エアコンも適度に使って、しっかりと熱中症対策していきましょう!