食中毒菌を、付けない、増やさない、やっつける!
気温が高く、湿気が多いこの季節になると増えるのが“食中毒”です。今回は、特に注意が必要なキャンプやバーベキューなど、アウトドアでの調理・飲食のケースを中心に伺いました。
秋元 JOY君は、バーベキューとかしたりする?
JOY この時期になると、みんなSNSに海や山でのバーベキューなんかの写真を載せ始めるから、そういうのを見るとやりたいと思うよね!
秋元 そんな楽しいバーベキューですが、食品の扱い方を間違えると食中毒になることがあるそうなんです。ここからは、国立医薬品食品衛生研究所・衛生微生物部長の工藤由起子さんにお話を伺います。食中毒はどんなところで発生しているんでしょうか?
工藤 飲食店での発生が全体の6割と最も多いのですが、実は、その次に多いのが家庭で1割ほどを占めています。少ないと思われるかもしれませんが、家庭での食中毒は医療機関にかからなかったり、食品以外による家族内感染が否定できないなど、食中毒として報告されないケースもあるため、実際にはもっと多いと推測されています。
JOY 家でも気を付けなきゃね。
秋元 また、これからの季節は、バーベキューなど屋外で食べる機会も増えてきますよね。
工藤 そうですね。食中毒菌は高温多湿を好むので、まさにバーベキューなどの屋外のイベントが増えるこれからの季節は、注意が必要です。お肉だけでなく、卵や魚、野菜などにも食中毒菌は存在しているので注意しましょう。
秋元 では、食中毒を予防するために、私たちはどんなことに気を付けなければいけないんでしょうか?
工藤 食中毒予防の3原則、【食中毒菌を“付けない”“増やさない”“やっつける”】を覚えて実行していただきたいと思います。まず、食中毒菌を【付けない】ために、あたりまえのことですが、肉や魚に触れた手やまな板、包丁などはよく洗うことです。肉や魚を切ったまな板や包丁をしっかり洗わずに、そのままサラダなどに使う野菜を切ると、食中毒菌が野菜に付着します。そしてそれを生で食べてしまうと食中毒を引き起こす可能性があります。
JOY バーベキューだと場所も限られるし、面倒だからそのままっていう人もいるかもね。
工藤 バーベキュー場などの場合は、あらかじめ食材を切った状態で持ち込めば、洗い物も少なく衛生的にもいいですね。事前に切るのが難しい場合は、お肉と野菜を切るまな板をそれぞれ分けるなどの工夫をして、生野菜と、切った肉や魚はそれぞれ別の袋に入れておきましょう。そうすることで、他の食品とくっつかず、細菌が移るのを防ぎます。また、お肉を焼くときは、生の肉を挟んだトングと、焼いた肉や野菜を挟むトングをきちんと使い分けることも大切です。
秋元 では、食中毒予防3原則の【増やさない】は、具体的にどんなことに注意すればいいですか?
工藤 細菌を増やさないためには、保存方法に注意が必要です。冷蔵や冷凍などの温度管理が必要な食品を購入したら、できるだけ早く冷蔵庫や冷凍庫に保存してください。購入してからあちこち寄り道すると、常温の時間が長くなって細菌を増やすことにつながります。バーベキューなどの場合は、クーラーボックスを用意して、保冷剤でしっかり冷やしましょう。
JOY 常温でもちょっとくらいなら大丈夫とか、焼けば菌は死ぬだろうって思ってたけど、そうじゃないんですね。
工藤 食中毒菌の中には熱に強い菌もいるため、加熱しても、食品中に残ってしまうことがあります。それを常温で長時間放置すると、増殖してしまい、食中毒が起こることがあるんです。屋外では特に常温で放置する場合が多いと思いますので、少しでも怪しいと思ったら、思い切って捨てることも大切です。
秋元 では食中毒予防3原則の【やっつける】は、どうすればいいですか?
工藤 調理する時、加熱は十分に行ってください。肉は中心の色が白くなるまで焼いてから食べましょう。また、使い終わった調理器具は、洗剤で隅々まで洗うことはもちろん、熱湯をかけると殺菌効果があるので、ぜひやってみましょう。食中毒を防ぐには、食材や調理器具を扱う皆さんの心がけが大切です。【食中毒菌を付けない、増やさない、やっつける!】という3原則を守って下さい。
JOY どれも難しいことじゃないから、そのひと手間を面倒だと思わずに、しっかりやることが大事だね。
秋元 いい思い出づくりのはずが、お腹が痛くなっちゃったら残念ですからね!ほんの少しの知識と心がけで、安全にアウトドアを楽しんでいただきたいですね。