あなたの街の相談パートナー 人権擁護委員
“人権”とは、誰もが生まれながらにして持っている「人間らしく生きる権利」のことです。今回は、“人権”に関する様々な相談に乗り、問題解決のお手伝いをしてくれる“人権擁護委員”について教えていただきました。
JOY 人権問題って、いじめとか、パワハラ、女性差別・・・。僕らで言えば、芸能人がネットでいろいろ書かれたりするのもそうなのかな?
秋元 そう考えると、身近なところにもいろんな人権問題があるよね。ここからは法務省・人権擁護局長の名執雅子さんと、人権擁護委員の中嶋正樹さんにお話を伺います。名執さん、人権に係る問題にはどんなものがあるのでしょうか?
名執 社会では、いじめ、虐待、差別、プライバシーの侵害、セクシュアル・ハラスメント、インターネット上での誹謗中傷など、たくさんの人権問題が発生しています。
秋元 こうした問題の相談に乗ってくれるのが、“人権擁護委員”なんですね。
名執 はい。人権擁護委員は、人権擁護について深い理解のある方々の中から、市町村長の推薦を受けて法務大臣が委嘱した民間のボランティアの方々です。現在は全国におよそ1万4000人いらっしゃいます。
中嶋 人権擁護委員は、地域の皆さんから人権相談を受け、問題解決のお手伝いをしたり、人権侵害されている被害者の救済に携わったり、人権を尊重することの大切さを伝える啓発活動を行っています。
秋元 いろんな活動をなさっているんですね。中嶋さんは、どんな経緯で人権擁護委員になられたのですか?
中嶋 私の場合は、公立の小中学校でPTA会長を6年間やらせていただきましたが、その3年目に区長から推薦していただき、委員になりました。人権擁護委員は4年目ですが、やりがいがあるとともに大変学ぶことが多い仕事だと思います。
JOY 人権擁護委員の方に相談したいときは、どうしたらいいですか?
名執 電話やインターネット、全国の法務局・地方法務局にある常設相談所で相談を受け付けています。また、市町村役場などに特設相談所を設けて相談を受けることもあります。
JOY でも、見ず知らずの人に相談するのは、なかなか勇気がいりますよね?特に、子供の場合は、保護者や学校の先生以外に相談できる人って思いつかないんじゃないかな。
中嶋 そうですよね。電話で相談したり、相談に行ったりするのは勇気のいることなので、小・中学生向けの相談方法として、【子どもの人権SOSミニレター】を実施しています。相談を書き込む便箋と送信用の封筒を一つにまとめたもので、切手も不要で、そのままポストに投函すれば法務局にいる人権擁護委員のところに届きます。これを全国の小中学校の全児童・生徒に配布しています。
秋元 返事は手紙がいいのか、電話がいいのか、手紙なら自宅宛なのか、学校宛なのかを選べるのはいいですね。このミニレターで、どのくらいの相談が寄せられているのですか?
名執 昨年度は、およそ1万6000件の相談が全国から寄せられました。
JOY そんなにたくさん来てるんですか!身近な人には相談しにくいことが、中嶋さんのような人に相談できるのはいいことですよね。
中嶋 中には、かなり深刻な問題で手紙を書いてくるケースもあります。親の虐待など緊急性がある場合は、警察や関係機関と連携して、事態を落ち着かせたという事案もあります。
秋元 ミニレターが解決の糸口になったんですね!
中嶋 いじめや差別など、人権を侵害された時は、誰かにSOSを発信し、誰かと話し合うことが大切です。人権擁護委員が悩み解決の手助けを出来ればと思っております。秘密は必ず守ります。
名執 小学生・中学生からの相談は、【子どもの人権SOSミニレター】のほか、電話やメールでも受け付けています。電話の場合は「子どもの人権110番」0120-007-110に相談してください。メールの場合は「インターネット人権相談」と検索してください。
秋元 まずは、我慢しないでSOSを発信することですね!
JOY 子供だけじゃなく、大人でもいろんなことを抱えて、誰に相談したらいいかわからないこともあるから、この制度を積極的に利用してほしいね。