今からできる! 生物多様性を守ること
私たちが生きていく上で不可欠な「生物多様性」が、今、危機的な状況に直面しています。今回は、「生物多様性」を守るために私たちにできることについてお話しました。
秋元 JOY君は、「生物多様性」について説明できますか?
JOY 正直、まったくできないね。まあ、いろんな生物がいる・・・ということなのかな?
秋元 生物多様性は、私たちが暮らしていく上でとても大切なことですが、あまり馴染みがないという方も多いようなんです。ここからは環境省の長田啓さんに詳しく伺っていきます。長田さん、「生物多様性」とはどういうことなのか、教えていただけますか?
長田 はい、「生物多様性」とは、“個性をもった多様な生き物や自然が、それぞれつながりあって存在していること”を意味する言葉です。最近は、よく耳にするようになりましたが、言葉の認知度は半分にも満たないという調査結果もあり、日本は残念ながら、国際的にみても認知が進んでいるとはいえない状況です。
秋元 実際、私たちも知りませんでした。
長田 私たちが生きていく上で不可欠な酸素は、さまざまな植物が、数十億年にわたって行ってきた光合成によって作られたものです。それから水。地球上に水はたくさんありますが、私たちが利用できるのは、地上に降った雨が海に流れ出すまでの、ほんのわずかな水だけです。このわずかな水を森林が土の中に蓄えてくれるおかげで、私たちは美味しい水を飲むことができるんです。
JOY 酸素も水も、植物のおかげなんですね。
長田 食べ物についても考えてみましょう。米、野菜、魚、肉、小麦、牛乳など、これらはすべて「生物」から採れたものですよね。さらに、家や家具に使われる木材、洋服に使われている綿や麻も、もとは生き物です。私たちの暮らしは、さまざまな生き物のつながりの中で成り立っているんです。
秋元 生物多様性が、私たちの暮らしを支えているんですね。
長田 はい。ところがこの生物多様性が今、ピンチの状態です。地球上には3,000万種もの生き物がいると言われていますが、今は、恐竜が滅んだ時よりもはるかに速いスピードで絶滅が進み、一説では1日に100〜150種が地球上から姿を消しているとも言われています。
JOY そんなに!?
長田 日本でも、ニホンウナギ、メダカ、野生のキキョウなど、およそ3,600種が絶滅危惧種になっています。そしてその原因は、残念ながら私たち人間なんです。開発、乱獲、外来種の持ち込み、さらに地球温暖化の影響も大きいですね。私たちの生活によってCO2が大量に排出されることで、地球の平均気温が上昇し、海水も暖かくなってサンゴが死んでしまう。サンゴが死んでしまうと、海の生態系に大きな影響を与えます。
秋元 生物多様性を守るために、私たちは何をしたらいいんでしょうか?
長田 一人ひとりが日常の中で取り組むことが重要です。私たちは、「たべよう」「ふれよう」「つたえよう」「まもろう」「えらぼう」の5つのアクションを通じて、暮らしの中で生物多様性のためにできることをやっていこう、という『MY行動宣言』の活動を進めています。
例えば、「たべよう」は、地元でとれたものや旬のものを食べることです。地元でとれたものを食べれば、食材を運ぶエネルギーの使用を減らせますし、旬の食材の生産方法は省エネ・省資源と言われています。
JOY それならすぐにできそうです!
長田 「ふれよう」は、動物園や水族館、植物園などを訪ねたり、自然の中で遊んで、地球には色々な生きものが存在していることを実感することで、生物多様性のより深い理解につながります。「つたえよう」は、豊かな自然のすばらしさを、友人や周りの人たちに伝えてください。
秋元 SNSで発信することでもいいんですよね。他にはどんな取り組みがありますか?
長田 毎年5月22日は、国連が定めた【国際生物多様性の日】で、この日を中心に様々なイベントが行われます。例えば、世界各地の子供が学校や地域などで植樹などを行う「グリーンウェイブ」というイベントも開催されますので、ぜひ、多くの方に参加していただきたいと思います。
秋元 まずは、自分にできることから始めていくことが大切ですね。
JOY 僕らが生きているのは、いろんな生物がいるおかげなんだから、守っていかないとね!