今夜も東京まちかど☆天文台をお聞き頂きまして
ありがとうございました。

今週は、宇宙ライターの林公代さんをお迎えしました。

大学卒業後、フリーペーパーの営業職に就かれたのですが
本当は編集に携わりたいと思っていたそう。
そんな時、日本宇宙少年団（青少年への宇宙の普及を目的した団体）の
機関紙の編集に声をかけられ、軽い気持ちで受けたのがきっかけだったそうです。
宇宙については、子どもたちと一緒に学んでいったという感じだったとか。

当時の出来事で印象に残っているのは
毛利さんから電話で「記事が間違っています」と指摘を受けたこと。
記事を細かく読まれていることに驚き、自ら指摘してくださることに感激。
それとともに反省し、すぐ訂正記事を出したのだとか。
その後、お会いした時にお礼を言ったところ、
とてもさわやかな笑顔で応えてくれ、仲良くなったのだそうです。
まだ宇宙開発がどうなっていくのか分からなかった頃から
２０年以上のお付き合いに。

なんと、林さんはISSに滞在中の若田光一さんから直々に電話を
受けたことがあるのだそう！
ある時、携帯が鳴り、電話に出ると「若田です」と宇宙からの電話が！
「宇宙ステーションはすごく広くて、どこに何をしまったか
覚えておかないと忘れてしまうんですよ」など、たわいもない会話をされたそう。

林さんに日本人ならではの宇宙飛行士に選定される理由を伺ってみました。
昨年打ち上げの取材に行った際、一緒に搭乗したパイロットに
「若田さんはどんな船長ですか？」と聞いたところ、
ロシア人宇宙飛行士は「人間としても素晴らしいし、友人としても尊敬できる
パーフェクトコマンダー」と評価！
そして、アメリカ人宇宙飛行士も「彼はグレートワーカーだ！」と太鼓判を押していたそう！

若田さんは指示をするだけではなく、自らも働き「一緒にやろう」という
和を重んじるところが、林さんの思う日本人らしいところ。
宇宙飛行士だけでなく、世界中の訓練官やエンジニアから
「若田の為ならひと肌脱ぐ」と厚い信頼を得ているのだとか。
そして、若田さんは自分たち宇宙飛行士のことを「課長」と仰っています。
地上にマネジメントがいて、自分たちは現場を取り仕切る「課長」と考えていて
「船長」は部下を扱う「中間管理職」だと知ってほしいと
おっしゃっていたのが印象的だそう。

宇宙飛行士のスケジュールは5分刻み！
世界中の人の思いを持って行き、研究者やエンジニアが提案した実験や研究を
協力しながら実施する「チームの一員」という意識がないと仕事ができないという点は林さんが皆さんに知ってほしいこと。
これは、他の職業にもリンクすることでもありますね。

林さんがお書きになった『宇宙飛行士の仕事力』という本にも書かれていますが
宇宙飛行士を選ぶ時には、
コミュニケーション能力、チームワーク、リーダーシップなど
必要な資質が８つ程あるのだそう。
そして、その一つが「フォロワーシップ」＝「部下力」です。
「どんなリーダーでも、間違うことがある」という考え方に基づき、
リーダーが操作ミスをしそうだったり、判断に迷った時には
きちんと指摘できなければいけないという能力のことなのだそう。
命が関わる現場では、チームの目的を達成するために、
複数の目で見て指摘し合うことがとても大事！
そして、これも他のビジネスの現場でも言えることですね。

林さんには、来週もお話をうかがいます！



★　★　★　本日のオンエア曲　★　★　★
♪僕の大好きな場所　／　吉田拓郎　
♪You’re A Star　／　プリシラ・アーン　　

★　★　★　星空インフォメーション　★　★　★
夜9時頃、夜空のてっぺんを見上げると・・・白く輝くこと座のベガと、
オレンジ色に光るうしかい座のアルクトゥルスを結んだ
ちょうど真ん中あたりに、アルファベットの「H」の形をした
星の並びを見つけることが出来ます。

ギリシャ神話で、恐ろしい化け物を次から次へと退治した勇者
ヘルクレスの姿です。

目立つ星はありませんが、ヘルクレス座のイニシャル「H」の並び、
と覚えれば見つけやすいですよ。

ヘルクレスは、生まれたときから力持ち。
お母さんのお乳を力いっぱい吸ったところ、
ミルクがあふれ出て、川のように流れてしまったほどなんです。
この流れた跡が「Milky Way」天の川になったと言われています。

天の川は、国や地域によってさまざまなものに例えられます。
日本、中国、インドなどアジアの地域では川。
ヨーロッパやモンゴルではミルクの跡。
また、エジプトでは、女神が落とした麦の穂に例えられているんだそうです。

今年の夏は、ぜひ、星のよく見える場所へ出かけて
私たちが住む銀河の姿・天の川を感じてみてはいかがでしょうか？