オンエアブログ

2019年07月27日

2019年7月27日のオンエアレポート

今夜は生物学者の福岡伸一先生にお越しいただきました!

福岡先生は、“生命とは何か?” を、私たちにわかりやすく解説してくださる分子生物学者さん。
著書である『生物と無生物のあいだ』や『動的平衡』はベストセラーになっています。

NOMAさんは7年前に『生物と無生物のあいだ』を読んだことで先生を知り、今ではとっても仲良しに!
”ハカセ” と呼んで慕っているそう。

物心ついた頃から昆虫が大好きだったという福岡先生。
虫ばかりを追いかけ、友達は虫、人間の友達がいなかった…という息子を心配したのか、お母様が買ってくれたというのが顕微鏡。

しかし、顕微鏡を使って友達とコミュニケーションを取ってほしい、ということだっただろうお母様の期待とは裏腹に、先生はその顕微鏡で青い蝶々の羽を観察、宇宙に散らばる星のような鱗粉が貼り付いている様子に吸い込まれ、ますます友達がいらなくなってしまったのだとか(笑)

そして顕微鏡は小さなものを拡大する道具ですが、このレンズの組み合わせを逆にすると、遠くのものが近くに見える…つまり望遠鏡になる(!)と福岡先生。

顕微鏡に魅せられた少年時代の先生の関心は、「この素晴らしい装置を生み出したのはどこの誰なんだろう?」という方向へ。
図書館で『微生物の狩人』という微生物学の歴史を書いた本を探し当て、その生みの親は「アントニ・レーウェンフック」だったことを知ったといいます。

このレーウェンフックは、17世紀にオランダのデルフトという町に生まれた、”普通のおじさん”。
科学者ではなく一市民だった彼が、独自にレンズを磨いて顕微鏡を作り、ミクロな世界を次々と発見していったのだとか。

そんなミクロな世界が扉を開けたこの17世紀は、同時に、顕微鏡のレンズの組み合わせを逆にしたものである望遠鏡を使って ”マクロな世界=宇宙” を調べる人が現れた時代。
顕微鏡で見るミクロな世界も、望遠鏡見るマクロな世界も、「肉眼では見えないものをレンズの作用によって見る」という同じ思想のもとに、同時に広がっていったものだったといいます。

微生物の世界と天文学の世界、正反対のように見えて、歴史を紐解くと表裏一体なものだったんですね+゚:。*+

さらに、「もしタイムマシンに乗ることができたなら、行ってみたい時がある」と福岡先生。
それは「1604年、10月」だといいますが…?

実はこの1604年の10月は、夜空にある「へびつかい座」の足元に、急に明るい星が現れたときだといいます。
その名は「スーパーノヴァ1604(SN1604)」。

銀河系内で最後に観測された超新星爆発で、突然現れたと思いきやどんどん明るさを増し、ついには夜空で最も明るい星となってしまったのだそう。

それまで世界は、神が偉大なる計画のもとに作ったものであり、ちょっとやそっとのことでは変わらない、と思われていたものでしたが、急にこの星が現れたことにより、ケプラーやガリレオなどが望遠鏡で空を調べるように。
予測できない動きをする星(惑星)があることを発見し、実は空が回っているのではなく、自分のほうが回っているという確信を持っていったといいます。

そんな天動説から地動説へシフトするきっかけを作ったのが、このSN1604。
18か月間輝き続けたのに、また次第に暗くなって夜空へと消え、その様子を見て、科学的に世界を解明しようという人々が望遠鏡をより高度に作り、同時に顕微鏡も作られるようになった…
そういった意味で17世紀は人々が好奇心をかきたてられるようになった時代だった、と先生は教えて下さいました。

夜空に現れたひとつの星が、人間の好奇心を刺激し、今日につながる科学の端緒となっていった…
時代と科学のダイナミズムを感じるとともに、それを語る先生の博識ぶりにはただただ感嘆するばかり。
ミクロとマクロを結ぶ壮大な物語に、またひとつ心が豊かになったと感じるスター☆パーティでした+*:.。.*:+☆

福岡伸一先生の貴重なお話は、また来週もお届けしますよ♪

★ ★ ★ 本日のオンエア曲 ★ ★ ★
♪ Western Stars/Bruce Springsteen
♪ supernova/BUMP OF CHICKEN

★ ★ ★ スターレシピ ★ ★ ★
夜9時頃、南の空に2つの明るい惑星が見えています。
真南からすこし西に傾いたところに、明るく輝くのが「木星」。
そして、すこし東寄り、これから南の空高く昇ろうとしているのが、土星です。

金色に輝く木星に比べると、輝きはずっと控えめで、少し暗い黄色をした土星。
太陽系の中では、木星に次いで2番目に大きな惑星で、本体は地球のおよそ9倍もあります。

立派な環があることで知られていますが、この環はほとんどが、小さな氷の塊と塵(ちり)でできていて、厚さはわずか数十メートルと、とっても薄いんです。

天体望遠鏡を向けると、そんな環もしっかり見えることから、観望会では人気ナンバーワンの土星。
今年の夏は、木星とともにほぼ一晩中、夜空に見つけることができます。
夏のスターパーティの主役と言えますね。
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