オンエアブログ

2020年01月25日

2020年1月25日のオンエアレポート

今夜は宇宙生物学者の藤島皓介さんにお越しいただきました!

藤島さんは、NASAのエイムズ研究センターを経て、現在は東京工業大学 地球生命研究所の特任准教授として、“地球と宇宙の生命の起源” について研究していらっしゃいます☆

藤島さんがご専門の「宇宙生物学=アストロバイオロジー」。
宇宙好きの方は最近耳にすることが多くなった言葉かもしれませんが、一体どんな学問なんでしょう?

「アストロバイオロジー」の「アストロ」は宇宙、「バイオロジー」は生物学。
単に「生物学」だと、“地球の生物学” になりますが、それを宇宙まで広げていくのがテーマだそう。

具体的には
「そもそも地球でどうやって生命が誕生したのか?」
「地球以外に生命がいるとしたら、どういう星にどういう形態の生命がいそうか?」
「生命を生む環境(ハビタビリティ)は何なのか?」
「最終的に生命が行き着く先はどこなのか?」
などの研究があるといいます。

要は「比較したいんですよ、やっぱり」と藤島さん。
現状、私たちは地球と地球上の生命しか知りません。
地球のような惑星は他にあるのか?
地球が特殊だとわかった場合、そんな特殊な環境がないと生命は誕生しないのか?
といった探求をしながら「地球外の生命を見つけて、地球のものと比較するのが夢」だと語ります。

藤島さんはもともとは生物学のご出身。
すべての生命が持っている普遍的なシステム=「セントラルドグマ」に関わる分子の研究をされていたそう。

セントラルドグマとは、遺伝子(DNA)を次の世代に受け渡し、かつその情報をもとに色んな仕事をしてくれるタンパク質を作るシステムのこと。

今の地球上の生命の祖先が誕生したのは、38〜40億年前。
面白いのは、その時すでにご先祖様はセントラルドグマを持っていたということ!

藤島さんは、この生命システムを支える分子のことを知れば知るほど、その分子はどこからきたんだろう?と興味を持ったといいます。

確かにDNAからタンパク質を作るようなややこしいシステムがどこからきたのか…考えてみるととても不思議!
地球上で偶然生まれたのか? 宇宙からやってきたのか?
このシステムは宇宙にいる生命が共通で持っているのものなのか? 地球独自のものなのか?

そんなことを含めて「セントラルドグマを崩したい!」という思いが、藤島さんを宇宙へ駆り立てたのだそう。
生命の根本を突き詰めていったら宇宙へ…ミクロからマクロへの広がりを感じます+*:.。.*:+☆

そして、藤島さんが「宇宙生命がいるのではないか?」と注目している星が土星の衛星「エンケラドス」!

実はエンケラドスはNOMAさんも大好きな星☆
今回は藤島さんに見せたいと、エンケラドスにいる生命体の想像図も描いてきちゃってました♫

イカがアンモナイトをかぶったような姿だそうですが…藤島さんも興味津々!

藤島さんによると、エンケラドスは中心部分が熱く、熱水噴出孔のような温泉の湧き出ているような場所もあると考えられているそう。
地表に近くなればなるほど冷たくなるので、生命がいるとしたらそこなのかな?と藤島さん。

エンケラドスとともに、生命がいる可能性が指摘されている星に、木星の衛星「エウロパ」がありますが、こちらは探査機がまだ近くを飛んでおらず、遠くからの観察のみで水蒸気が出ていることが確認されています。

エウロパの表面にはクレータの跡がなく、どんどん表面が入れ替わっているそう。
赤い色がついている領域もあり、この色は塩の成分、または有機物の可能性もあると言われているんだとか☆

一方エンケラドスは、2005年に土星探査機カッシーニが「プリューム」と呼ばれる水が噴出する間欠泉を発見。
さらにプリュームの中を飛び、搭載していた質量分析装置が有機物を検出!

しかしこのとき、カッシーニとエンケラドスとの相対速度は秒速6〜12km、マッハ20以上という超高速…
有機物をキャッチしたといっても、実は「壊すのが前提」だったとか。
つまり、検出した有機物は「バラバラ死骸」…(汗)、もとのものは何かよくわかっていないそう。
もしかしたら生命の由来の何かだったのかも!?とも考えられるといいます。

藤島さんは、現在このエンケラドスの生命を採取しよう!という計画を推進中☆
JAXAの矢野創さんと、はやぶさのような探査機を使ってサンプルリターンをできないかと考えている最中なんです。

もしエンケラドスのプリュームの近くを飛び、サンプルを地球まで持ってくることができたら、まさに前人未到の偉業!
できれば10年以内に形にして予算が取れれば…というのが希望だそう。

実はエウロパに関しては、NASAが「エウロパ・クリッパー」という探査機を打ち上げ予定!
その次にエンケラドスに目を向けたとき、JAXAが早いか、NASAが早いか…という勝負になってくるのだとか。

ぜひ日本の力でエンケラドスへ…そして地球外生命体の発見へとつなげてほしいですね+゚:。*+

この春には、そんなアストロバイオロジーに学生さんが触れられるイベントも!
3月22日〜24日には、高校生・大学生・修士課程学生を対象に、山形県鶴岡市で「慶應アストロバイオロジーキャンプ2020」が開催されます。
こちらは、学生さんとアストロバイオロジーに関わる先生方がみんなで2泊3日の合宿をするというワクワクのサイエンスキャンプ♪

応募締切は2020年1月31日正午まで。
宇宙生命に興味のある学生のみなさん、ぜひ参加してアストロバイオロジーの最先端を体感してみては☆彡

藤島さんのお話を聞いていると、「地球外生命体の発見」が単に宇宙人を発見することではなく、私たち生命のルーツを知ることだと実感を持って伝わってきます。
地球以外の場所に第二の生命を見つけ、私たちが何者なのかを知る…そんな日がもうすぐそこまで迫ってきているのかもしれませんね+*:.。.*:+☆

藤島皓介さんのWebサイトは→コチラ

★ ★ ★ 本日のオンエア曲 ★ ★ ★
♪ ベテルギウス/コブクロ
♪ 小さな惑星/King Gnu

★ ★ ★ スターレシピ ★ ★ ★
夜10時頃、南の空には、3つの1等星が形作る「冬の大三角」が見えています。

オリオン座の1等星・ベテルギウス、おおいぬ座の1等星・シリウス、そして、こいぬ座の1等星・プロキオン。

こいぬ座は、目立つ星が2つだけという小さくかわいらしい星座。
でも、白く美しいプロキオンの輝きは、とても目に付きます。

「プロキオン」とは、ギリシャ語で “犬の前に” という意味。
ぎらぎらと輝くおおいぬ座のシリウスに先だって、東の空から昇ってくるため、このような名前が付いています。

エジプトでは、シリウスはナイル川の氾濫の季節を知らせる星とされていました。
それに先駆けて昇ってくるプロキオンもまた、大切な役割を果たしていたのだそう。

南の空に輝く、2つの犬の星。
その白いきらめきは、澄んだ冬の夜空にとても似つかわしいですよね。
«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 186 | 187 | 188 |...| 389 | 390 | 391 || Next»

最近の記事

  • 2023年07月29日
    2023年7月29日 ゲスト☆崎山蒼志さん
  • 2023年07月22日
    2023年7月22日 ゲスト☆崎山蒼志さん
  • 2023年07月15日
    2023年7月15日 ゲスト☆鈴木蘭々さん
  • 2023年07月08日
    2023年7月8日 ゲスト☆鈴木蘭々さん
  • 2023年07月05日
    2023年8月5日(土)番組公開収録イベント開催決定!

月別アーカーブ

  • Twitter @tokyofm_spaceをフォローする
  • Vixen presents 東京まちかど☆天文台
  • 東京ガーデンテラス紀尾井町
  • Vixen