オンエアブログ

2020年03月21日

2020年3月21日のオンエアレポート

今夜は、理論物理学者の佐治晴夫先生にお越しいただきました!

佐治先生は1935年東京生まれ。
宇宙誕生に関わる「ゆらぎ」研究の第一人者で、NASAのボイジャー計画などにも関わったご経験をお持ちです。
現在は教育や講演活動に力を入れる傍ら、北海道美瑛町にある、丘のまち美宙(MISORA)天文台の台長としてもご活躍中!

現在「コスモプラネタリウム渋谷」で投影中のプラネタリウム番組『宇宙のカケラ〜星から生まれた私たち〜』の監修も手がけられている佐治先生。
実は昨年この番組を鑑賞したNOMAさん、「プラネタリウムで初めて泣きました」というほど感動したそう!

佐治先生とプラネタリウムの出会いは戦争中のこと。

すべての始まりは、昭和16(1941)年の開戦直後、情報統制があり日本中が戦勝ムードで沸いていた翌4月18日、小学校から下校中の先生の前に突如見たことのない飛行機が現れたことだといいます。

操縦席に乗っていたのは外国人。
わけもわからぬまま森の中にあった高射砲が鳴り、慌てて家に駆け込んだ直後に空襲警報が…それが東京初空襲だったのだそう。

そこから「日本全土が火の海になる」という危機感が生まれた、と振り返る佐治先生。
この出来事を受けて、担任の先生が当時まだ日本に2つしかなかったプラネタリウムに連れていってくれたといいます。

推測するに、担任の先生は仙台出身。
宮沢賢治を尊敬し、平和や人間の生き方について深く考えていたからこそ、プラネタリウムが燃えてしまう前に…と子どもたちを連れてってくれたのではないか…とのこと。

しかし、なぜ戦時中に娯楽ともいえるプラネタリウムが上映されていたのでしょうか?
それは、星の知識は戦争の役に立つから。
当時日本の飛行士たちは南に行くとき、星を見て自分の飛んでいる位置を計算していたのだそうです。

初めてプラネタリウムを見て、「こんなに星はいっぱいあるのか」と驚き、夢見心地だったという佐治先生ですが、今度は、お父様に「日本に数台しかないパイプオルガンがある。たぶん焼けてしまうだろうから聴いてこい」と言われ、お兄様と一緒に日本橋三越本店まで出かけたそう。

すると軍歌ばかりの演奏の中に、ちょっと趣の違う1曲が…
お兄様に「あれがバッハだよ」と教わったことで、バッハとパイプオルガン、プラネタリウムがひとつの線となってつながり「僕の一生が決まっちゃった」といいます。

人生を決定づけた星と音楽…
キラキラとした輝きの中にも、戦争の負の側面が反映されていた…そんな歴史も多くの人に知ってもらいたいと先生は語ります。

そしてこのバッハとの出会いが、なんとNASAのボイジャー計画につながることに!

ボイジャーは星を調べる探査機というだけでなく、「地球文明のタイムカプセル」であったと佐治先生。
現在は、宇宙から来る電波を調べると命のもとがたくさんあることがわかり、地球だけに生き物がいると考えるのは不自然な状況。
未知なる生命に出会った時に「地球人がいた」ということを知ってほしい、という願いから、ボイジャーには地球生命の記録がレコードとして搭載されることになったのだそう。

このとき、言葉だと違う言語を話す人の間では意思の疎通ができないけど、音楽なら言葉の壁を越えて伝わる…ということで、メッセージを送るなら音にしようということに。
そして、雑音ではない数学に基づいた音がいい、と選ばれたのがバッハの音楽なのだとか!
(バッハをNASAに提案したのは他でもない佐治先生ご本人!)

バッハの音楽はジャズにも歌謡曲にもアレンジされ、現在の「ドレミ…」の音階を作ったのもバッハ。
現代における音楽のルーツであり、これならデタラメの雑音ではなく「何かの信号かもしれない」と地球外生命体に思ってもらえるのでは…ということでボイジャーのレコードの収録曲のひとつとなったそう。

戦争中の運命的な出会いを果たしたバッハの音楽が、はるか未来、もしかしたら宇宙人の耳に届くかも…!?
ロマンに満ちた壮大な物語ですよね+*:.。.*:+☆

太陽系を飛び出して、今も宇宙を旅しているボイジャー。
現在は地球から距離にして210億km、光の速さでも20時間かかるほどの遠さにいるといいます。

私たちから見たら1号はへびつかい座の奥のあたりに、そしてボイジャーのほうが振り返ったら、太陽はオリオン座の左下に見えるそう!
「プラネタリウムだとそういうことが出来る」という先生。
「ぜひそういう番組を作りたい」と意欲も見せてくださいました☆彡

佐治晴夫先生が監修されたプラネタリウム番組『宇宙のカケラ〜星から生まれた私たち〜』は、4月中旬までコスモプラネタリウム渋谷で投影中。
歴史と星、生命と宇宙のつながりに思いを馳せられる作品、ぜひ足を運んでご覧になってみては☆彡

NOMAさんが「生きる図書館のよう!」と形容するほど、宇宙、歴史、音楽…様々なジャンルにわたる深い知識をお持ちの佐治先生。
その貴重なお話を伺えることが本当に光栄であるとともに、星の持つ様々な側面についても考えさせられたスター☆パーティでした+゚:。*+

★ ★ ★

1年間にわたって、星の魅力を届けてくれたNOMAさんですが、実は3月いっぱいでこの番組のパーソナリティを卒業となります。
来週も佐治晴夫先生をお迎えして、心ゆくまで宇宙の不思議に迫りますよ☆

佐治先生が台長を務める「美宙」天文台については→コチラをチェック♪

★ ★ ★ 本日のオンエア曲 ★ ★ ★
♪ ハレルヤ/宮本浩次
♪ Across the Universe/The Beatles

★ ★ ★ スターレシピ ★ ★ ★
夜9時頃。きらびやかな冬の1等星は、大きく西の空に傾き、夜空には春の星座が登場する季節です。

冬から春へと星座たちが入れ替わるこの時期、明るい星が少なく、ちょっと寂しい真南の空に、ぽつりと輝く赤い2等星があります。

うみへび座の「アルファルド」です。
「アルファルド」は、アラビア語で「孤独なもの」という意味。
南の夜空にぽつんと輝く様子を、うまく表している名前ですね。

うみへび座は全天で最も大きく、頭の星が昇りはじめてからすべての星が昇りきるまで、7時間以上もかかる、とてもとても長い星座。

アルファルドは、うみへびの心臓の位置にあることから、「蛇の心臓」という意味のラテン語「コル・ヒドラエ」という別名でも呼ばれています。
赤く輝く孤高の星は、春の訪れを告げてくれる星でもあるんですね。
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月別アーカーブ

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