- 第70回 オンエアー
- [2016.11.06]
- 『Hellosmile Lounge』は20代、30代の女性に急増している子宮頸がんの予防啓発プロジェクト「ハロースマイル」の情報発信拠点。
女性の健康と笑顔を応援するさまざまなメッセージを、全国38局フルネットでお届けします。
今夜、ハロースマイル・ラウンジを訪れたゲストは、女優の古村比呂さん。
「ハロースマイル」の小巻亜矢さんがお話を伺います。
【古村比呂さん プロフィール】
1985年に女優としてデビュー。
1987年、NHK朝の連続テレビ小説「チョッちゃん」のヒロインに抜擢、一躍人気女優の仲間入りを果たす。
プライベートでは3人の息子さんに恵まれる。
(小巻さん)
2012年に子宮頸がんを罹患されたそうですが、どんな切っ掛けで分かったのでしょうか。
(古村さん)
たまたまアフリカのナミビアに行く仕事があって、旅に行くとお腹が痛くなる事があるので、その前に婦人科でお薬を処方してもらおうと思ったのが切っ掛けでした。その時の看護師さんが、「子宮頸がんの検診を長い間、受けていらっしゃらないようですから、ついでに受けてみてはいかがですか。」と勧めて下さって…。
(小巻さん)
どれくらい、受診されていなかったんでしょうか。
(古村さん)
三男の出産以来ですから、かれこれ14年くらいでしょうか・・
何かあれば、体がサインを送ると思っていたんですが、なんの自覚症状もなくて…。ところが検診を受けたら、私は5つのランクのうちの4!
精密検査を受けることになりました。
(小巻さん)
その時、どんな事を考えましたか?
(古村さん)
結果が間違っているとしか、思いませんでした。
それが再検査で子宮の写真を見せられて、明らかに色が変わっていて、「こんなに酷かったの?」って、ビックリしました。
その時は「癌=死」というイメージが浮かんでしまって、医師に向かって、「先生、私、まだ死ねません!」って言ったのを覚えています。
(小巻さん)
3人の息子さんたちもいらっしゃいますしね。
(古村さん)
そうなんです。私、シングルなので、まっさき息子たちのことが浮かびました。
それで、しばらくボーっとして、泣きはらして、落ち着いてから家に帰りました。でも、現実的には息子たちに伝えなくちゃいけないし、どうしようって…。
(小巻さん)
当時、息子さんたちはお幾つだったんでしょうか。
(古村さん)
長男が大学一年生、次男が高校三年生、三男が中学三年生だったでしょうか。
帰宅したら家に三男がいまして、まず三男に告げました。
「お母さんね、がんの検査で引っかかっちゃったみたい…。」
そんな事、母親から言われたら当然、びっくりしますよね。
でも三男が言ったんです。
「でも、悪いものをとれば、すっきりするんでしょ。」って。
私は「うん、多分、そうよ。」としか言えなかったんですけれど、三男が「良かったじゃん、早く見つかって。」って言ってくれて。
その言葉がスッと頭の中に入ってきて「そうだ、私は早く見つかったんだ。恵まれたと思って、早く対処すれば、いい方向に行くんじゃないか、よし!」って、前向きな気持ちになれました。
(小巻さん)
そんな古村さんが大切にしている曲があるそうですが…。
(古村さん)
手術のために入院しましたが、その翌日が三男の卒業式で、外出届を出して卒業式だけ行ったんです。本当はその後、謝恩会があったんですけれど、三男は「いいよ。後の事はフォローしとくから。」と言ってくれたので、病院に戻ったんです。
そうしたら、その後、知り合いのお母さんからメールが来て、「息子さんが、謝恩会でかりゆし58の『アンマー』を歌ったよ。」
って教えてくれて…。
三男は全然、そんな事、教えてくれなかったんですけれど、こっそり準備してサプライズで歌うつもりだったみたいなんです。
(小巻さん)
アンマーって、沖縄の方言で「お母さん」っていう意味ですよね。
(古村さん)
そうなんです。そのこと知って、病院で涙が止まりませんでした。
(小巻さん)
病気を経て、息子さんたちとの関わり合い方や日々に変化はありましたか?
(古村さん)
そうですね、何が起こるか分からない、って事が現実として突きつけられて、その後は、お互いため無くなりました。
例えば、喧嘩をしても、その日のうちに解決しようとか、『ごめん』『ありがとう』をちゃんと言おうとか。時間を大切にする意識が芽生えました。
(小巻さん)
今日、言える『ありがとう』は、今日、伝えておこう、っていう意識ですね。
私も癌を罹患しているんですけれど、同じように感じました。
病気になると、家族の絆をすごく感じるんじゃないかと思いますが…、
(古村さん)
命の繋がりをずっしり感じました。
私の場合は子宮頸がんになって、家族の有難さとか、命の大切さを後になって感じたので、その時、「もっとちゃんと検診を受けていれば、子宮を失わずに
生きてこれたのかな」、って、正直、後悔しました。
医師からも子宮頸がんは検診が大切で、いかに予防ができるか、って事を教えてもらいましたし、リスアーの皆さんには、本当に子宮頸がん検診に行って欲しいと思っています。
(小巻さん)
子宮頸がんは今、20代〜30代の女性に急増している癌ですが、とても忙しかったり、お子さんがいたら、つい自分の事が後回しになってしまう年齢でもあります。でも、癌体験者の私たちからすると、他人事とは思わずに、本当に検診を受けて欲しいと心から思います。
古村さん、まだまだ、おうかがいしたい事がたくさんあるので、来週も宜しくお願いします。
M 手のひらの東京タワー / 松任谷由実
M アンマー / かりゆし58