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25.02.14
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地域の魅力を掘り起こして、能登らしい復興を目指す「のと復耕ラボ」


今回取材したのは、「のと復耕ラボ」代表の山本亮さん。石川県輪島市三井町にある、築170年の茅葺の古民家を拠点に地域の復興のためにさまざまな活動を続けています。

※拠点となっている古民家(震災前)

山本さんは東京出身のいわゆるIターン。震災前は里山の暮らしをまるごと楽しめる宿泊施設「里山まるごとホテル」を運営していました。


「東京出身で、10年前に能登に移住して、この能登の里山の暮らしっていうのが本当に美しくて豊かで、その里山の暮らしを紹介する入口を作ろうということで、6年前から『里山まるごとホテル』という、地域を1つのホテルに見立てて、宿と飲食と体験プログラムをやっていました。震災後は、その施設がどれも被害を受けて地域の人たちの暮らしが本当に大きく傷ついてしまったので、まずは少しでも復旧、復興に向かう手助けをしようということで、今も宿自体は柱も斜めになってる状態ですけれども、仮復旧させて、ボランティアさんや災害対策の方の受け入れ場所として開放して、新たに『のと復耕ラボ』という団体を立ち上げて1年間活動を行っています。」


のと復耕ラボは、輪島市三井町の民間ボランティアセンターを運営。もともとレストランにしていた古民家を、休憩・宿泊拠点として提供しています。番組でも、復旧作業に関わる人の「泊まる場所問題」は伝えてきましたが、かなり早い段階でのと復耕ラボはそれに対応してきました。

また、のと復耕ラボは、未来を見据えた新たな取り組みも進めています。

「今までは復旧、なんならまだまだ復旧途上であるのが今の能登の状況であるし、復興がなかなか進んでないっていう状況だと思うんです。けど僕らはこの地域に住み続けたいと思ったメンバーが中心に始めたので、やはり「住み続けたい地域を作る」ためには、復興の部分をどうやって作るか。そのひとつが「古材レスキュープロジェクト」。能登は築100年から200年の古民家が多いエリアで、だから美しい里山の風景、漁村の風景が残っていて来た人が喜んでくれましたが、その多くが倒壊、半壊の被害を受けてしまって、3万棟が解体の対象になると言われているんです。その古民家が失われた後にどういう風景になるかと思った時に、更地やハウスメーカーが作ったお家が増えてしまう。僕が好きだった能登ではなくなっちゃうと思ったんです。

長野で「リビルディングセンタージャパン」という古材、古い材をレスキューして、家具や内装材でアップサイクルすることによって良い空間作りをしていて、良い空間作りをすると、それが好きな人が集まる。僕は震災前からそこが好きでよく通っていたんですけど、それがこの震災下でもできたらいいなって思ったんですね。建物は解体されてしまっても、太い柱や梁だったり、この地域の古民家には漆がいろんなとこに塗られていて。そうした漆が塗られた大切な古材をレスキューして家具や内装材に活用したいなと。

もう一つは、ボランティアに入るといろんな話を聞くんですが、地域の人はみな、家に対してめちゃくちゃ思い入れがある。「この材はじいちゃんが山から切ってきて使ったものだ」とか。ある人は「柱1本でも次のお家に持っていきたい」と言っていて。そういう声をあげる人がいるので、その方たちにもレスキューしたものとして、いまはフォトフレームを作って、次の場所に持ってけるようにお渡しできたらなと思っています。

実際に作業をしていると輪島塗りが出てきたりするし、寛永何年の箱が出てきて、これ江戸時代だよねと(笑)。そういうことでテンションが上がったり、やはりそれを引き継いで繋いでいこうという気持ちをもってくださったり。

僕らベースにあるのは、復興の興を「耕」にしているが、復興=新しいものをやる、というイメージがあるけどそうではなくて、「耕」は、地域を掘り起こすということ。地域資源を掘り起こすと、掘ることで空気が入ってきますよね。だから耕すと土壌が豊かになる。
「新しい空気を入れてアップデートしていこう。地域の元々ある魅力にフォーカスをしよう」それが能登らしい復興につながるんじゃないか。」


「それに加えて循環型社会に近づくことをやっていきたい。ひとつは森作り。改めて森と人の暮らしと近づけていこう。具体的には自伐型林業っていう、自分たちで自分たちの山を守って生かしていこう。その先にその循環型の暮らしを楽しんで学べる場みたいなことが、里山まるごとホテルも含めて、より進化した状況で、森もあります。今までなかった森のフィールドもある、新しく借りた古民家もある。そこに一緒にこうフィールド作りをしていく仲間もいるっていうことが、もしかしたら3年後、より楽しい、里山のレジャーランドではないですけど、里山の空間がこの場所に作れるかもしれないって思うので、そっちの未来に向けて走っていきたいなとは思ってますね。」


「のと復耕ラボ」は今後もこうしたボランティア・復旧作業のニーズに柔軟に対応していくということです。ホームページでぜひチェックしてみてください。

のと復耕ラボ ホームページ

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