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25.01.10
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木のぬくもりが感じられる輪島のギャラリーへ「四十沢木材工芸」


今週も能登半島地震からまる1年が経過した輪島市からのリポートです。
取材したのは輪島塗の木地屋さん、四十沢(あいざわ)木材工芸です。分業制で作られる漆器の工程の内、初期段階に当たるのが木をお椀などの形に加工する木地づくり。木地屋さんが木地を作れないとそもそも輪島塗は始まらない、とても大事な工程を担っています。

昨年元日の地震から数か月で製造を再開したという四十沢木材工芸、そこにはどんな想いがあったのか、代表の四十沢宏治さんに伺いました。



「元日の地震で、鉄骨4階建ての工場の2階、3階、4階の筋交いという構造部が全て破断してとても危険な状態になりました。とにかく製造優先で、倉庫の在庫を全て外に出して製造を再開しました。そんな中6月にようやく、市の建物被害判定が「半壊」になったので、しばらくの間でも従業員が安全に作業できるよう筋かいを交換し終えたのが8月でした」



「漆器店さんにも本当によく言われました。「四十沢さんが復活してもらわないと本当に困る」と皆さんから声をいただいて。輪島塗は震災後に応援で皆さん買ってくださることも増えて、漆器店さんも売り上げも上がっていく中で、木地が供給されないと次のものを販売できないということで、すごく心配されていました。

輪島は、もとの人口には戻らないと思いますし、仕事の絶対数も減るとは思うんですが、今回の地震で5年先、10年先に起こると予測していた問題点が一気に噴き出しました。
後継者の問題もあり産業自体どんどん衰退していきながら、今後どうやってつなげていくか、そういったことを本当に急いで考えなくてはいけない時期。ただ元に戻すのではなくて、前よりももっと良いものにしていけたらいいなと思いますね。」

現在は「半壊」の認定を受けた工場を仮復旧して製造を再開していますが、いずれ工場は解体して建て直しが必要とのこと。しかし作業員不足により、工場の再建に向けた見通しはまだたっていません。


四十沢木材工芸は、輪島塗にこだわらない「無垢の木」を使ったオリジナルのテーブルウェアも作っています。これを販売するギャラリーが工場に併設されていますがこちらは無傷でいちはやく営業を再開しました。このギャラリーから、四十沢さんは復興のメッセージを発信しています。

「今、うちの仕事は漆器の木地もありますが、輪島塗りの漆器は黒や赤の漆を塗り重ねていくので木が見えなくなるんですね。僕らは木が好きで、この肌触りも好きで、これをそのまま使えないかなと十数年前から木肌のまま直接使えるオリジナルブランドの製品づくりをはじめました。例えば花形のお盆、小皿、カトラリーのボックスなどもあります。」




「このギャラリーが地震の影響を受けず、びくともせずに立っていてくれたので、僕らとしては心のよりどころと言いますか、これがあってよかったなと。店を開いていて来られるお客さんは、観光の人は本当にわずかですがボランティアの方が来てくださいます。今輪島の中で何かを販売できるお店がほぼ無いんですね。ボランティアのあとで買って帰るものがない。お金を落としたくても場所がない。それじゃもったいないと思って、いま、お土産品の開発をしているところで、制作段階なのがこの「輪島のしずく」。

輪島の材料を使いたいので、解体された家の柱や古材を集めて、輪島の家に使われていた材料から作ったお土産の品だよと、帰ってからいろんな人に伝えてもらうためにお土産品づくりをしたいと思います。木地で販売するつもりですが、ここは輪島塗の産地なので、塗ったり絵を描いたりすることができる。なので、今度来た時はここに漆を塗ってみましょう、その次は加色をしてみませんかと繰り返し何かできる形になったらいいなと企画を考えているところです。」


輪島発着の航空便も元に戻り、アクセスも良くなりました。これから先は、ボランティアに限らず「足を運ぶ」ことが強力な支援になっていきます。

また四十沢木材工芸のテーブルウェアは全国の百貨店などでも購入できます。
詳しくは公式サイトでご確認ください。

四十沢木材工芸 公式サイト
四十沢木材工芸 Instagram

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