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24.11.01
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福島県川内村のクラフトジンの蒸留所「naturadistill」レポート


今週は福島県川内村から、11月2日に開所するクラフトジンの蒸留所、「naturadistill」のレポートでした。「自然」と「蒸留」を掛け合わせた造語である「naturadistill」。手掛けたのは大島草太さん28歳。

大島さんは栃木県宇都宮市出身。福島大学在学時に、川内村の名産品だった“蕎麦”を使った“そば粉ワッフル”の製造販売をする「Kokage Kitchen」を立ち上げ起業。その後も、田村市のクラフトビール製造に携わったり、フルーツハーブティーのブランドを大学の仲間や地元の高校生と立ち上げたり、大学卒業後も川内村を含む阿武隈地域での活動を続けています。

Hand in Handではこれまでもそんな大島草太さんの歩みを折にふれてお伝えしてきました。当時は大学生。それがいまご結婚もされて、すっかり川内村に根を張って頑張っていらっしゃいます。

そんな大島さんの新たな挑戦が「naturadistill」ですが、まずはあらためて、大島さんと川内村との関わりについて伺いました。

◆◆

「出身は栃木の宇都宮。大学進学で初めて福島に来て、福島大学で教育学部に入り、一応免許は取ったんですけど、たまたまその福島大学の授業で“村の大学”というフィールドワークの授業がありまして、そこで川内村に夏休みに行き、2週間滞在。川内村はもともと原発事故で全員一度避難になっていたので“けっこう落ち込んでるんではないか”とかイメージはあったんですけど、じっさい来てみるとそんなことはなくて、すごく熱意のある大人がたくさんいて、住んでいて避難して戻ってきた方だったり、外から移住してきて村の文化を残そうという方だったり、そういった今まで出会ったことがない“かっこいい大人”がたくさんいたっていうのがかなり衝撃であり、そこから川内の、どちらかというとやっぱり“人が好き”でどんどん通うようになったっていうのが最初ですね。

で、そこから(大学)3年の時に1年間カナダに行く機会がありまして、そこで“福島から来ました”って話に対して、“ひと住めるのか”であったり、“お前も汚い”みたいなことを言われてしまったことがありまして、そういったまだまだ世界からの福島への見え方が悪い方向、ネガティブな方向にあるというところを体感として知りまして、自分が福島で見てきたもの、良さもまだ自分の言葉では伝えられず、であれば外にもちゃんと認められる、誇れるようなものを作ろうっていうことを少しずつ自分の心の中で思うようになりました。で、帰国後、徐々にもともとの教員の道ではなく、起業の方に行ったっていうのが、川内にもっとどっぷり浸かるようになったきっかけではあります。

今ですと学生起業が応援されるという雰囲気が出来上がってきてるんですけど、当時はそんなことはなくて。まず不思議がられたりだとか、親は大学3年の時に事業を立ち上げたので、“やるんであれば学生のうちにやめなさい”と。“ちゃんと就活もするんであればやっていいです”みたいなところで、当時は“わかりました”と言いつつ。でもやっぱやっていくうちに、おかげさまで結構いろんなメディアの方に取り上げて頂いて、そういったのがあると、親であったり大学の方々も少し見え方が変わってくると言いますか。今ではというか卒業前ぐらいからはかなり応援してくれているようなところですね。」


大学時代のフィールドワークで縁あって川内村へ。そこでの様々な出会いと、海外留学時に感じたフクシマへのネガティブなイメージが大島さんに火をつけ、人生を変えることになったという大島さん。

そば粉ワッフルのKokage Kitchenとしては、11月2日(土)3日(日)に新宿御苑で開催される「GTFグリーンチャレンジデー2024」に参加。日曜日に出店するということなので、ぜひそば粉ワッフルを味わって、大島さんにもお声かけをお願いします。

GTFグリーンチャレンジデー2024
Kokage Kitchen

全ての家庭が地下水という名水の里でもある川内村。豊かな自然に育まれたこの地で大島さんが新たに挑むのが“クラフトジン”づくり。そこに着目した経緯とはどういったものなんでしょうか。

◆◆

「そのKokage Kitchenっていう事業の延長で、もう一つフルーツハーブティーの販売ということやっていたんですけど、県内の規格外のフルーツとあとはハーブを自分たちで栽培して、それをブレンドしてカフェに卸したり自分たちでイベントで販売したりオンラインで売ったり。けっこうそれが、何というか、自然の香りだけのバランスで、これだけ面白いものが作れる、美味しいものが作れる、というところにどんどんハマっていきまして。その延長で『クラフトジン』を知っていきました。ジンもハーブであったりフルーツであったり、あとは樹木とか、いろんなものを材料として使えて、そこの組み合わせ、バランスによって味を作っていくみたいなところがあって、そういった味の面白さと、あとクラフトビールですと消費期限が半年ぐらいだったり、配送する時も提供して頂くときも常に冷蔵で、それは福島のものを例えば世界に届けて評価してもらうところに行くまでに、相当な生産量であったり設備が必要なので、であれば蒸留酒であるジンにすると、常温で保管できますし賞味期限もないので、例えば川内村でつけた香りを地球の裏側でも同じ香りをかけたりとか、別の場所でも楽しめる。これはもともとやりたかった、“福島のものを海外に届ける”ってところにもすごくつながるものではあったので、そういったものがいろいろつながって始まっていきました。」


様々な素材で香りづけをするクラフトジン。「naturadistill」は、“日本の固有植物”にこだわり、香りの元になるキーボタニカルには、「かやの実」を使い、「タチバナ」や「クロモジ」「ニオイコブシ」など、川内村や福島県内で採れた素材を使って仕込んでいます。

試作をくりかえし出来上がったクラフトジンは、“想像を超える美味しいジンに仕上がった”とのこと!とくにジントニックで飲むと感動的に美味しいそうです。

11月2日(土)にクラファン支援者を中心に開所記念のパーティーを行ない、今月から徐々に販売もスタート。今後販路も広げていくということなので、ぜひ味わってみて欲しいと思います。そして来年2月には蒸留所の2階にレストランバーもオープン予定とか。

ちなみに11月3日(日)に川内村で行なわれる「かわうち祭り」では、会場でカップ販売、ボトル販売も行われるそうです。近隣の方は是非足を運んでみてください。

かわうち祭り

大島さんが愛してやまない川内村の魅力がギュッとつまった「naturadistill」のクラフトジン。この商品を通じて、大島さん込めた地域への思いが、世界中に広がっていくことを願っています。

naturadistill

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