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24.07.12
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営業を開始した奥能登の宿、「真脇ポーレポーレ」を訪ねて


「令和6年能登半島地震」の被災地の中でも、とりわけ被害の大きかった奥能登エリア。地震の揺れによる建物への被害はもちろん、水道や電気などインフラへの被害、さらにスタッフが市外や県外に避難するなど人手不足も重なって、奥能登では、多くの宿泊施設が休業を余儀なくされています。

復旧工事の現場はそんな奥能登エリアに多いのが現状ですが、元々宿泊施設が少なく、復旧工事の作業員や全国の自治体からの支援者の多くは、金沢市などから車で片道3時間以上かけて日帰りで現地を往復していました。石川県は輪島市の能登空港の敷地にカプセルタイプの宿泊所を整備したり、空港近くの高校の学生寮を自治体の支援者向けに借り上げるなど、“宿泊施設不足”という課題に対応してきました。

半年以上が経ち、県内各地の宿泊施設は徐々に再開。まだ数は少ないですが奥能登エリアでも幾つかのホテルや旅館、民宿が営業を再開しています。そのうちの一つが、今回訪ねた能登町にある「縄文温泉の宿・真脇ポーレポーレ」です。

支配人の野村真也さんにお話を伺いました。

◆◆

「1月1日ですが、4時以降ぐらいに大きな揺れがあり、宿泊施設ですのでお客様かなり多いという状況で、まずは避難。館内に居るより外の方がいいかと思い、駐車場の方に避難誘導させて頂いて、皆さんの安全を確認した段階で、次、避難所、という形になったんですが、真脇ポーレポーレに関しては高台にある施設になり、施設の被害の方も他の場所に比べて少なかったので、津波の恐れもありましたので皆さんこちらの方に逆に誘導して、こちらを避難所という形で、1日、2日は民間の方が皆さん上がって来られたような形になっておりました。

地震の影響によって水道、電気が全く来ない状態になり、電気に関しては4〜5日経った1月5日ぐらいからようやく来たような形。被害にあった方達、復興作業される方やボランティアの方、そういう方も多く来られていたので、その方たちの受け入れ先がどこにもなかったので、こちらにそういった形を先に優先に止まって頂き、復興を早めるという形で対応させて頂いた。水に関しても他の地域はなかなか来なかったが、こちらは2月中旬ぐらいから水が来まして、3月から外来入浴の対応をさせて頂くような形で、当分の間は町としても“支援として無料で皆様に入って頂く形で対応してください”ってことでもありましたので、対応させて頂いておりました。皆さま自宅の方では入浴できない状況で、ようやくこちらの方で入浴、ゆっくり入れるということで、喜ばれてたくさんの方がご利用されたという形になります」


震災直後は臨時の避難所として住民を受け入れ、休館中も被災された方のため温泉を無料開放していたという「真脇ポーレポーレ」。避難所にいる方や、電気水道が止まった自宅で自主避難する方にとって、ゆっくり温泉につかることがどれほど嬉しいひとときだったか。まさにポーレポーレ・・・(スワヒリ語で“ゆっくり”という意味)。

そんな「真脇ポーレポーレ」、被災された住民の方への温泉無料開放を続けながら、一般宿泊者の受け入れも再開しました。

◆◆

「一般の宿泊に関しましては5月から再開。ちょうど石川県の『北陸旅行割』もありましたので、それで一般の方を多く受け入れ出来るよう運行しております。宿泊するお部屋もそうなんですがお食事の提供のほう、港など地元の物の食材等の流通の方がなかなか無いもので、それを確保するのが大変な作業だったと思います。今は落ち着いて、なんとか供給の方も入ってきた感じになります。とくに能登牛。私どもの方でもメインで出させて頂いています。あとは海の幸。こちらは“イカの駅”ということでモニュメントもあるほどイカが多く獲れますので、そういった海産物も。あとこちらの方は縄文遺跡がございますので、そちらも見ていて頂ければ。ここにしかないものになりますので。あとはやはり自然ですね。自然豊かな場所。実際には今回の震災の影響で津波とかでかなり地形も変わりましたが、それでもやはり海、山ありますので、やはりその自然を体験できるような場所になりますので、楽しんで頂ければと思います。

今この状況を考えますと“観光で来てください”という状態ではないのは間違いないと思います。ただなにぶん私たちこういった旅館業をしている限り、お客様来て頂きたいという気持ちはやはりあります。来られたお客様に“じゃあ今何をおもてなしできるのか”、やはりかなり厳しい状況になっております。来られた際にはやはりゆっくりできる、ちゃんとしたお食事を提供できるような空間、それを何とかしていきたいという思いもあります。“じゃあ宿泊できる、ただお食事できる”だけでお客様が喜ばれるか?そうではないと思います。ただやはりこういった地震の影響があって、現在復興に進んでいるその状況は、出来れば皆さんに見て頂きたいという思いはあります。どうしても交通の便も悪くなっていますが、能登空港を利用したりレンタカーを利用して頂きながら、また多くの方にご利用頂ければと思います。」


(取材で訪ねた時の献立)

今も多くの地域が復興の途上にある奥能登、“観光で訪ねてもいいのか?”という疑問は誰でも思い浮かぶと思いますが、その質問に対して、“旅館業をしている限り、お客様に来て頂きたい”、そして“地震の影響から復興に進んでいるその状況を見て欲しい”という、野村支配人の言葉でした。営業を再開してもお客さんが来ないことには経営が成り立ちません。泊って楽しむことが復興の応援にもつながります。

旅行代金が最大50%割引になる北陸4県で実施中の「北陸応援割」は、7月いっぱいまで。「真脇ポーレポーレ」はもちろん、営業を再開している宿を探して、これから夏秋の行楽で奥能登を訪ねてみてはいかがでしょうか。

参考までに今回取材で宿泊したスタッフによると・・・

しゃぶしゃぶとステーキで味わった能登牛は、うま味いっぱいの肉汁がじゅわじゅわ口に広がる最高の逸品。そしてお造りに煮魚に天ぷら、お話しにあったイカ刺しは朝ごはんで出てきて、海の幸もふんだんに味わえ、「真脇ポーレポーレ」の食事は大満足の一言だったとか。海を見下ろす高台からの景色も美しい。歩いてすぐの縄文遺跡は幻想的で映えるスポット。そして舐めるとしょっぱいナトリウム塩化物強塩温泉の「縄文の湯」は、冷え性や神経痛、関節痛に効果があるのだそうです。

そんな「真脇ポーレポーレ」を運営する「能登町ふれあい公社」では、他に体験交流施設「ラブロ恋路」、そして「能登うしつ荘」「能登やなぎだ荘」、ふたつの国民宿舎を手掛けていますが、

能登うしつ荘」→ 災害支援の方のみ受け入れ
能登やなぎだ荘」→ 災害支援の方のみ受け入れ
ラブロ恋路」→ 一般営業再開!

ということです。一般営業を再開している「真脇ポーレポーレ」と「ラブロ恋路」、ぜひ足を運んでみてください。

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