2カ月遅れの酒づくりスタート!珠洲市蛸島町 櫻田酒造
今週は能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市「櫻田酒造」のレポートです。
櫻田酒造は能登半島の先端、珠洲市・蛸島町にあり、酒飲みの漁師さん達に支えられ、大正3年から酒造りを続けてきた家族4人で営む小さな酒蔵です。
元日の地震では酒蔵、貯蔵庫、店舗、住居が全壊。再起不能な状況の中、4代目 櫻田博克さんは30年来の付き合いがある白山市の車多酒造の協力で、3月12日、2カ月遅れで酒づくりをスタートさせました。
「店舗兼住宅も全壊、仕込み蔵も、お酒を仕込む仕込み蔵も全壊で、終わったな…という感じで。家族だけで、私の両親と嫁さんの4人で酒づくりをしていたので、酒屋を廃業してどうやって暮らしていこうかなと考えていました。そんな時に、車多酒造さんが「タンクを空けて待っとるぞ」と言っていただいたんですが、ありがたいなと思いつつご迷惑をかけるので頼めないなと思っていたんです。でも1月12日か13日にあきらめていた酒米が瓦礫の中から出てきまして。地元の農家さんが作ったお米で、雪も雨も降って2週間経っていたので酒米は全部使えないだろうとあきらめていたんですけど、重機のボランティアさんにどかしてもらったら、白い米が出てきて。この米で本当は酒を造ろうと思ってたけどもう2度とないだろうなと思ってたものが出てきたので、車多さんに「助けてください!」ってお願いして「わかった!」ってことで。その瞬間、もう復興に向けていこうと、腹が決まったということですね。」
倒壊した建物の下から、3分の1の、135袋の酒米が無事だったそうで、仲間の再開を待ち望んでいた白山市の車多酒造のタンクを借りて、今年の酒づくりが再開しました。
「いや〜もう楽しみでしかないというか、泣いちゃうんだろうなと思いながら、ほんと感謝しかないですね。うちで残っていたお米を白山市まで運んでいただき、その米にまた会える。間違いなく同じ酒にはならないと思いますが、車多酒造さんの立派な設備で、どんなうまい酒になるのかなぁ、なんて楽しみでしかないですね今は。
うちの純米酒の「大慶(たいけい)」を仕込むんですけど、私は蛸島町という漁師町で創業していて、この大慶は大漁を意味していて、漁師さんたちが漁の後に飲んでもらったり、ほんとうに地元の皆さんに大事にしてもらって。避難所を引き払って出てきたんですけど、その時には皆さんに「がんばれよ」「必ず帰って来いよ」とか励ましの言葉を頂いたり、嬉しいのは「またここで作った酒をたくさん買うから、待っとるからな」とそんなことを言ってくれるんですよ皆さん。だからまた珠洲へ戻って酒造りを再開しなきゃなと思っています。
うちの父も90歳の高齢なんで、両親にはなんとか酒蔵が建つまでは健康でいろよ、とそんな話はしてて、「わかった〜!」って言ってましたけど(笑)
まだまだですね、2カ月前と全く変わらない状況にありますので、倒れたままで雨もあたってという感じで、でも早く再建の計画にも着手して、残念ながら珠洲を離れた方々がたまには珠洲に帰ってきたときに、うちの酒が同じ場所に建ってて販売している、そういった風景を目指したいなと思っていますし、能登のために復興の歯車の1つとなって地元で頑張っていきたいなと思っています。」
会社の垣根を越えて生み出される復興のお酒「大慶」は来月上旬に初しぼり、熟成させてから地元で販売されるとのこと。
また櫻田さんに、全国のリスナーに伝えたいメッセージを伺ったところ
「先が見えない、長い長い再建への道のりになる。5〜6年どころじゃないかもしれないので、復活したときに、ちゃんと覚えておいてほしいです」とお話されていました。
★櫻田酒造を支援する、クラウドファンディングが3月18日からスタート予定
応援したいという方は ぜひご覧ください!
能登半島地震で被災した櫻田酒造を支援したい クラウドファンディング