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22.11.05
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やりたい!を後押しする 大人のひみつ基地「砂座」


宮城県南三陸町にある古民家を改装し、いま準備が進められている大人のひみつ基地『砂座』。
この「ひみつ基地・砂座」のいちばんの狙いは、若者が集える場所をつくり、「やりたい」を後押ししていくこと。今年クラウドファンディングを実施して資金を集め、現在準備中。11月20日にプレオープンする予定です。

仕掛け人、この町出身の佐藤慶治さん(29)にお話を伺いました。



―――入谷地区のこの場所には川が流れていますが、この川がさんさん商店街まで続いている?

「この八幡川が海沿いの志津川地区までつながっていて、その上流にあたります。」

―――その川沿いに、古民家がありますね。

「大家さんに聞いたら100年は経っていると。ここでやっているのは“アンダー35”と僕らは呼んでいるんですが、35歳以下で、町にゆかりのある若者たちが集える遊び場を作ろうと。震災前からだったんですが、なかなか遊び場というか、なんもなしに集まれる場所が圧倒的に少なかったんです。この古民家を掃除している時に出てきた「南三陸町」になる前の「志津川町」時代の町誌が出てきて読んでいたら、町民アンケートで“遊ぶ場所がない”と当時の若者が訴えているんです。30年経って変わってないであれば、作ってしまおうかなと思って。ここを借りたきっかけも、僕が震災前に住んでいた部屋が結構好きで、その時の雰囲気をもう一回味わいたいな〜と思って。無駄にでかい和室や、謎の客間といった、昭和建築的なのが欲しいんですよね。と言いながら物件探していたら、ココを紹介してもらったのがきっかけでした。」


ということで慶治さんとその仲間たちによって改装が進む、「砂座」にお邪魔しました。


「昔、酒屋を営んでいて、15畳の土間がそれを物語っていると思います。「佐藤商店」と呼ばれていたようで、酒屋さんだったけど、どんどん時代が変化する中で雑貨を置き始めたり、向かい側には昔バス停があって、バスの乗車券も売っていたみたいです。なのでバスを待つ人がここに来ていたみたいです。」

―――ここはちょっとリフォームしたらオシャレな空間になりますね、古民家風の。

「今まで、酒とかが置かれていた場所に、本や、色んなものを並べて。」

―――大人の秘密基地づくりですね!

「そうなんです。僕らはここを「秘密基地」と呼んでいて、秘密基地のバージョン1ということで、「砂座」と僕らは呼称しています。もともとこの入谷地区なんですが、昔は「砂」がつく名称だったみたいで、ここを当時使っていた60〜70代の方々からすると、この店を「砂座」と呼んでいたみたいで。僕らも気に入ったので「砂座」で通そうかと思っています。」

―――町の人もですが、県外など外の人も来やすくなるなとか、集まる場所があることで循環することを考えています?

「そこに関しては、地元出身や在住と区切っちゃうのはもったいないんじゃないかと議論が入って。定義としては、僕みたいに町出身で今も住んでいる子と、今は町外に住んでいるけど出身者、あとはこっちに移住して来た方、インターンとか、この町に“ゆかりがある人”が集まる場所がいいかなと思っています。」

―――私も“ゆかりある”! って思いました。アンダー35は引っかかりますが。

「震災後に結局オーバー35の人たちが町を作ったじゃないですが。僕らとしてもこの復興期と言われる中で感じたのは、当時、高校生くらいで、多感というか将来考える時期に、色んな人たちが町に来て、出会って、仕事を作っていくのを横で見て一緒に働いて。僕らはそれらの恩恵を受けているからこそ、可能性を知れているけど、その下というと、僕らが電波させていかないと、たぶん伝わらないんですよね。本当は、もっと、こういうことができるんだよ! というのを体現していくことが一番大事なんじゃないかなと。いま、復興し終わった町じゃないですか。じゃあその次は何が必要なの? というのを一緒に考えていける場所を作っておかないと、また戻っちゃうんじゃないかと。せっかく復興した町が衰退していくんじゃないかということが気がかりだったので、残り火をどう僕たちが木を継ぎ足して、別の火に移していって、彼らにそれらを渡していくのか。であればここにきて、駄菓子を食べるなり、本を読むなり、自分の時間を楽しんでいる学生の横で大人たちが面白いミーティングをしているとか。学校では出会えないデザインの仕事とか、コーディネートとか、聞いたことないぞ? というような仕事とか、興味あるけどこの町でそれで食っていけるか分からないから諦めよう、と思っていたことに対して、「え、できるかも! いいじゃん!」ていうのが生まれたら、その子の未来って変わるよね。この町から生まれることの選択肢をどれだけ広げられるか、みたいなことをやっていきたいなと思ってますね。」


―――震災の時は高校2年生。当時大工になろうとしていたと聞いたことがあったけど

「大工になろうと思った時が一瞬だけありました。じつは大学に行きたかったんですが、うちは工務店をしていて、町の復興を考えたら大工になった方が手っ取り早いんじゃないかと思って、避難所にいる頃に棟梁をしていたじいちゃんにそれを話したら浅はかな考えだと叱責されて。別にお前たちが今出しゃばる時間じゃないと、お前たちは10年後の復興が終わった後の、繁栄、発展の時にちゃんと自分がやりたい仕事でやりたいように、町に関われるチカラをまずつけなさいと。なので、自分たちが代わりに10年かけて、町を直しておくよと、当時いわれたんですよね。そこからずっと、復興が終わった後の町って、何が必要なんだろう? と思いながら大学生活を過ごす中で、自分の中で、スポーツが大事だと気づけて帰ってきて、こういう場所が必要だと気づいて。今になると結局、大工っぽいことをしているんですけどね。大工まがいなことを今、しているんですけど(笑)」


宮城県南三陸町、今月20日にプレオープンする大人のひみつ基地・砂座。先月、プレオープンに向けた報告会イベントを実施。年末年始には帰郷する町の若者が集えるイベントを実施する予定です。

砂座のクラファンはまだ実施中。詳しくはコチラをご覧ください。

「Hand in Hand」。来週は南三陸町に10月にオープンした、「あなたならどうする?」を問いかける震災伝承施設、「南三陸311メモリアル」のレポートをお送りします。

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