南三陸をひとつにつなぐ海と山のマリアージュ「南三陸ワイナリー」
近年、日本各地でワイン造りが盛んになっていますが、震災以降東北でも続々と設立し、地域の食産業を巻き込んで盛り上がっています。
中でも、海と山に囲まれた立地を生かして地域の食や自然、人々をワインでつなぐツーリズムを積極的に行っているのが、宮城県南三陸町の『南三陸ワイナリー』です。
南三陸ワイナリー代表の佐々木道彦さんにブドウ畑をご案内いただきました。
「このブドウ畑はシャルドネで500本植えています。他にも南三陸の田束山山頂付近にシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン・・・など7品種植樹しています。」
―――このシャルドネの収穫時期はいつですか?
「10月の頭に収穫できます。去年この畑から1トンを超えるブドウが収穫できて、とくに南三陸は牡蠣が美味しいので樽香が強いよりは、フレッシュなワインを作っているので牡蠣にもとてもよく合います。
実は10月9日にこのブドウ畑でワイン会を開催します。テーブルとイスとキッチーンカーを持ち込んで、フルコースのランチワイン会を、地元の食材と合わせて食べていただきます。いつも皆さん満足されて楽しまれています。」
◆10月9日(日)に開催される「ブドウ畑でワイン会2022」、詳しい情報はコチラから。
そして、ブドウ畑のもう1つの楽しみが、まもなく行われる収穫体験です!
「収穫は去年も一昨年も、ナイトハーベストと言って、真夜中の3時にここに集合してボランティアの方も18名参加されて20数名で真っ暗の中、ヘッドライトを付けて摘んでいきます。全て摘み終わる頃には日の出の時間になって、最高の朝陽がここから見られます。」
―――でもなぜ夜中に収穫するのですか?
「人間と同じで、ブドウも日が昇ると活動が活発になって身に溜まった栄養が分散されて使われるそうなんです。なのでまだ眠っている間に摘むと良いブドウが獲れるみたいで。
本当に楽しいんですよ、夜中に集まってゆっくりと朝焼けになって、完全に昇ったところでシェフが用意した朝食をみんなで畑を見ながら食べるという。しかも自分が収穫したブドウからワインが出来るなんてワイン好きの方からしたら特別ですよね。」
少し登ると志津川湾も眺められます
代表の佐々木道彦さんはもともと山形出身。震災のときは静岡の大手楽器メーカーに勤めていました。
「私は大阪生まれで、山形で育ちました。高校卒業以来ずっと東北を離れていて、震災の時に地元に何かできないかという思いで震災から3年後の2014年に、一旦家族と共に仙台に移住しました。その中でたまたまワイングラスを作る仕事をして、ワインの力というか可能性に気づいたんです。ワインはまず地域のことが語られるお酒で、地元のものとの相性も語れるし、コミュニケーションも活発になって皆さん笑顔で楽しまれる。ワインて人々をつなぐ力がある。それでワイナリーをやりたいと漠然と思っていました。そんな中、南三陸町でワインプロジェクトが2017年からスタートしてその事業を推進する地域おこし協力隊の募集があって、南三陸は海山里の食が豊富で、あとは循環を大切にする町づくりを行っているのでこの場所を気に入って、地域おこし協力隊として参加したのがきっかけです。しかもワイナリーを作るなら海が見えるワイナリーを作りたかったので、ここは70m先が海なので醸造していても海が見える場所。海を見ながらワインを楽しめるのも気に入っています。」
―――地のものとワインを合わせるマリアージュの提案
「美味しいワインを作るのは当然なんですけど、町のいろんな産業と連携して新しい食文化を作りたいと思っています。当然牡蠣漁師さんと一緒に志津川湾のクルーズで漁場見学するようなこともはじめたし、生産の現場にいって漁師さんの話を海の上で聴いて、ワイナリー戻ってきたらその漁師さんが育てた海のものとワインを味わっていただくとか。山の方では豚を放牧している生産者さんもいて「イバリコ豚」といって山の中を駆け巡っているので脂身まで甘くて美味しい豚肉。歌津の方ではワカメの茎の部分をエサにして食べている「ワカメ羊」が、臭みがなくてこれも美味しい。生産者の話を聞いたらまたこの生産者と会いたい。そうやって南三陸のファンを増やして何度もリピートしてきてくれることで南三陸に食を通した賑わいができると嬉しいなと思っています。」
―――もちろんワインはお買い求めてお家で楽しめますが、やっぱりここへきてその旬のものとワインを合わせるというのを味わってほしいですね。
「そうですね、私も日々楽しんでいます。ここは銀鮭養殖発祥の地でもあって、うちのシェフも銀鮭の漁師として地元に戻ってきたシェフなので銀鮭も逸品ですし、今だとアナゴも獲れますし、冬は寒鱈も美味しいし、年間通して食の楽しみが尽きない場所ですね。」
―――おススメの飲み方は?
「シャルドネ(白)には、南三陸の牡蠣があいますね。マスカットベリー(赤)は軽めの肉料理や、しょうゆ味のお料理、例えば甘辛醤油煮のホタテや牡蠣にもバツグンに合うと思います!」
南三陸のお土産も充実!「牡蠣のバターパテ」は絶品だったのでスタッフ一同お土産に購入しました。
◆南三陸ワイナリーの公式サイト