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22.06.02
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地元に賑わい取り戻す アクアイグニス仙台


今週は宮城県仙台市の沿岸部、藤塚地区に今年4月にオープンしたばかりの注目スポット「アクアイグニス仙台」のレポートです。

大きな芝生の広場を取り囲むように、温泉、カフェ、レストラン、パン屋さんにマルシェが立ち並び、回遊するように1日中楽しむことができます。

この仙台市藤塚地区は震災前、のどかな田園にかこまれた集落があり、貞山運河には多くの小型漁船が並ぶ港町の風情がある場所だったといいます。そして震災後、集団移転跡地となったこの場所に「再び人々が集える空間をつくりたい」と温泉を中心としたこの施設がオープンしました。

アクアイグニス仙台を運営するのは、仙台の建設業を営む深松建設の三代目、深松努さんです。

「震災の日、うちはここの海側で堤防を作っていて。2:46迎えて車で逃げる時、ラジオで大津波警報が出て、最初は6mのちに10mになったんだけど。地域のおじいちゃんおばあちゃんにうちの社員が逃げなきゃだめだと言ったんだけど、前回仙台に津波来たの400年前だから「大丈夫だよ」って。だからかなりの被害が出たんですこの地域。その後にがれき撤去の責任者やっててこの辺りの瓦礫も取り除いたし、かさ上げ道路も作って、現場に来るたびに何もなくなったこの地域を見て、なんとかしたいなと思っていました。
このアクアイグニスというのは三重県に本体があってそこの建設株式会社の立花社長と震災前から友達だった。その立花社長から支援に行きたいと連絡があって、食料と燃料などいっぱい支援してもらって、だから命の恩人だと思っている。そして震災2、3年後に三重でアクアイグニスをオープンさせてすごい流行っていて。で、この津波があった場所は仙台市が土地を買い取って津波跡地利活用事業というのがあって、立花くんに来てもらってどう?と聞いたら、行けるんじゃないかということで、計画書出して選んでもらったという経緯。だけど当初は、建設株式会社なのでこれ作って終わりだと思っていたんです。そしたら立花社長が「何を言ってるんだ、運営は地元でやるべきだろう。名前だけ貸すから自分でやれ」って言われて、それもそうだな〜と思って「はい」と言っちゃったのさ。だから商業施設の運営なんてはじめてで、めちゃ手探り状態。」

―――それでもやろうと突き動かされるのは、震災後の何もなくなっていくこの地区を見てきたから?

「一回地獄見ちゃったからね。それから私は「感謝報恩」で生きてて、日本中世界中から助けてもらって今の仙台があるんです。その支援に感謝して恩に報いる。ということで残りの人生過ごそうと思ってて。だからここでやるのは、ここに賑わいを取り戻したいということと、自分の子供・孫たちに良い仙台を残してあげたいというのでやっていこうと思っています。」



―――藤塚地区、地元の方の受け止め方はいかがですか?

「私もそれが一番気になって。当時のこの地区の町内会長さんが来てくれて施設案内した時、ここの温泉は「藤塚の湯」、目の前の田んぼで採れた米で閖上の佐々木酒造さんにオリジナルのお酒作ってもらって、お酒の名前を町内会長に相談して「藤の雫」にしたの。藤色のボトルで。中庭には藤棚もつくっていて。イタリアンレストランの「グリーチネ」って名前も、イタリア語で「藤の花」なの。とことん「藤塚」という名前を残したいってことを伝えたらものすごく喜んでくれて。自分たちの住んでいた場所だから、誰だって生まれ故郷は大事にしたいよね。だから町内会長さんが喜んでくれたのは一番ホッとしたね。嬉しかったな。」

―――オープンしてからの賑わいはどうですか?

「オープンしてすぐにゴールデンウイークですごく来てくれて行列になっちゃって、コーヒー飲むにも1時間かかるみたいな状況がずっと続いていたんです。で、川を挟んだ閖上地区に「かわまちてらす閖上」って商業エリアがあってコラボした。うちでかわまちてらす閖上のチラシを配ってそれを持っていけば、例えばあるお店ではソフトクリーム無料とか。そしたら相乗効果で過去最高売り上げなの両方とも。おれは最初から点ではなくてエリア全体で盛り上げましょうって話をしてて。お客さんが回遊する仕組み作って。みんな被災したところばっかりなので。昔荒浜っていう海水浴場があってガキの頃よく行っていたの。ところがあそこでたくさん亡くなっているから海水浴場はしないと。だから海側が憩いの場所だったけど今度は堤防挟んで陸側が憩いの場所になるので、今年も荒浜小学校でグランピング施設とかいっぱいできる。そういうのができたら東部全体でいろんな世代やニーズを満たしてくれる。できればスタンプラリーを作って上に水族館もあるしアウトレットもあるのでそこでスタンプ押して、全て集まったらそれぞれの施設でサービスするっていうのをやろうと言ってる。」


仙台市の藤塚地区は10mの津波に襲われたということで、温泉施設の屋上は15mあり、避難場所にもなっています。その屋上からは、仙台の街や遠くの山並みも綺麗に見えました。

「ほんとはここに松がびっしりあったんだけど全部10mの津波でもっていかれて。その松が、家を突き刺してなぎ倒して、それが何万本とあった。そこを除けないと人命救助に行けないから、それをうちらが重機で除けて、その後ろを警察・自衛隊・消防が入っていったんだ。いざという時は絶対にやらないといけないので使命感出てたねみんな。普段遺体なんて見ないからだいぶPTSDで辞めた人もいっぱいいるんだよ。でも俺は建設業やってて誇り持っているし、またきれいな仙台取り戻せてよかったと思ってるよ。」

アクアイグニス仙台の代表 深松努さんのインタビューをお届けしました。

イタリアンレストラン「グリーチネ」

ベーカリー「マリアージュ ドゥ ファリーヌ」
和食店「笠庵 賛否両論」
マルシェ「リアン」
アクアイグニス仙台は仙台駅から車で30分ほど。
地下鉄の最寄り駅からは無料のシャトルバスが出ています。

アクアイグニス仙台 公式サイト


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