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21.09.09
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リボーンアート・フェスティバル2021 夏


ここは宮城県石巻市。牡鹿半島の真ん中辺り、荻浜に期間限定で現れる「リボーンアート・ダイニング」。目の前には穏やかな海と牡蠣の養殖筏。そして時刻によって表情を変える白くて大きな鹿のオブジェを眺めることができる海辺のレストランです。目の前の海で獲れた鮮魚のカルパッチョをはじめ、アート作品のような創作料理の数々をいただくことができます。

ということで今日ご紹介するのは、宮城県石巻市を中心に現在開催中“アート・音楽・食”が楽しめる総合祭「リボーンアート・フェスティバル2021-22」です。
2017年からスタートして2年に一度開催し今年で3度目。今回はコロナ禍ということで<今年の夏>と<来年の春>の2回に分けて開催されます。そこで2週に渡り「リボーンアート・フェスティバル2021 夏会期」のレポートと実行委員長、小林武史さんのインタビューをお届けします!




今回の「リボーンアート・ダイニング」を企画・運営する石巻のレストラン「四季彩食 いまむら」店主、今村正輝さんを訪ねました。

「このリボーンアート・ダイニングでは毎週末いろんなシェフに来てもらって、テーマに沿って料理で石巻を表現してもらっています。前回は自分がやらせてもらいました。その日のテーマは『牡鹿半島まるごと!いまむらアドベンチャーフルコース』。漁師さんにも協力いただいて、1皿目は漁港に集合してそのまま船に乗って30分間湾内で牡蠣棚を見たり、ここのシンボルであるwhite deerを海から撮影してもらうなどクルージングをしながら、1皿目=ワカメ・ムール貝・牡蠣を使ったうしお汁を召し上がっていただきました。2皿目は漁港に戻って参道を一緒に歩きながらアート作品を説明したり、鹿バーガーを食べながら参道を歩く。3皿目はこの浜でやっている籠漁を表現した(籠漁はイワシをエサに→カニが入り→カニが大好物なアナゴ・タコが入るという漁)のお皿、例えばアナゴの白焼きをカニのビスクで塗ってかば焼きにする料理を出させてもらいました。そして石巻で皆さんに伝えたいのが1年に1回『川開き祭り』という大きな祭りがあるのを知っていただきたくて、川開き祭りをやっちゃおうと。パレードに出る予定だったエイサー石巻の演舞や、最後は花火200発あげさせてもらいました。」

―――今村さんはそうやって石巻を知ってほしいんですよね。

「そうですね、ただ石巻を知ってもらうというより、みんないろんなことを乗り越えてきた仲間たちなので、僕らも元気を伝える、元気の発信源にしたいなと思っています。」

―――このあと企画しているものはありますか?

「石巻フードアドベンチャーという企画では、9/20(月・祝)鹿の漁師さんと鹿猟の説明を聞きながら鹿をいただく。9/23(木・祝)漁師さんと船に乗って刺し網と籠漁を体験してもらい、そこで獲れたものでBBQをしてもらう。ここダイニングでも毎週末イベントが行われるので石巻を味わってもらえればと思います。」

「石巻フードアドベンチャー」 詳しくはコチラをチェック


「リボーンアート・フェスティバル」は実行委員長の小林武史さんを中心に、たくさんの芸術家の方々、県内外のシェフ、音楽関係者、そして地元の方たちが一体となって作り上げています。そして今回小林さんが掲げたテーマが「利他と流動性」です。どんな想いが込められているのでしょうか。

―――3回目のリボーンアート・フェスティバル、新たな新型コロナウイルスという不安が加わって改めて音楽やアートの役割を問いただした準備期間だったのでは?

「本当に開催するかどうか悩みました。今回屋外の展示が多く、ホールでのLIVEも観客数を半数にしていわゆる国が指定する流れに沿った形でやりましたけど、ギリギリまで悩みましたね。ただ僕らは宮城県や石巻市の理解や背中を押してくれる力が強くて、正しく恐れて続けていけるなら続けていきましょうと。それはアーティストにとってもありがたいことでしたね。
例えばアーティストも石巻の人や自然と出会って表現に代わっていくんだけど、それは塞いで閉じこもってしまう方に対しても同じで、いろんな新しい人の流れがあって出会っていくことで次の未来を作っていく、そのように命が続いていくことの根本に「出会う」ということがあるんだと思うんです。それを集積して次の場=未来を作っていくのではないかなと。そのためにも「出会いを止めない」というのは大切だなと思いますけどね。

―――今回のテーマ「利他と流動性」に込められた想いについても是非伺いたいのですが。

震災後ここを離れる人が増えたと思うし、少なくなっていくのを僕も見てきたけれど、その分いろんな人が入ってきたり流動性があった。その出会いが他にはない化学反応を起こしていたんだと思うんです。その化学反応が何を生み出していたか、それが「利他」という感覚なのではないか。漁師さんだったら、自分がなぜ漁師を続けてきたのかが分かったという話を何人からもお聞きできたし。自分のことよりも相手のことを想うみたいなことって、実は僕らどこかで持っていますよね。大変だったけどあの震災というのはそういうのを気づかせてくれた側面があったということが、震災から10年目のテーマとして相応しいと思っていました。
今コロナ禍ってあまり決めつけられないでしょ、マニュアルがないというところに僕たち放り込まれている。その流動性の中で本質的なことを見出していける機会でもある、そういうチャンスでもあるとも思っています。実際先日やったライブは、こういう時だからできる伝え方、伝わり方があるな、と思ったし。分断はあるけれど、その分断を埋めていく・響かせていく役割として音楽やアート、食とかにあると思う。櫻井くんも最初のMCで言っていたけど、「だからこそやるからには20年後にも記憶してくれているライブにしたい」と、そういうコロナ禍での想いの持ち方もあるような、それは実感としてありますね」

五感をフルにつかって東北の土地や人柄を感じることができる「リボーンアート・フェスティバル2021 夏会期」は9月26日(日)まで開催しています。また来年の春会期は2022年4月23日(土)〜6月5日(日)予定です。
詳しくは公式サイトでチェックしてください。

来週もこの続きをお伝えします。

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