宮城のワインで宮城の特産品を応援! 秋保ワイナリー
今週のHand in Handは宮城県、秋保温泉郷に震災後オープンした「秋保ワイナリー」のレポートです。
仙台駅から車で30分。仙台の秋保温泉エリアにある秋保ワイナリーは2ヘクタールの広さにブドウ畑がずら〜と並び、エリア内には醸造所、ワインや地元の食材が楽しめるショップ、レストランもあり、創業わずか5年目にして年間4万人が訪れる人気観光スポットに成長しています。
まずはその畑をオーナーの毛利さんに案内していただきました。
「うちで一番多く植えられている赤品種はメルローで、白だとピノ・グリというフランスのアルザス原産のブドウや、ゲブルツも多く植えられています。今2ヘクタールに16品種7000本ありますね。
赤も白も最初は緑色しているんですけれども、赤品種に関してはベレーゾーンといって徐々に色が入り始めて、ここから糖度が上がっていく段階で10月収穫の予定、白は9月末収穫の予定ですね。」
―――今年の出来はどうですか?
「今年はちょうどぶどう畑を始めて7年目なんですけれども、今までで一番いいです。量も畑のほぼ全体から収穫ができるようになるので、やっと自分たちの畑で作ったぶどうのワインを大きなタンクで仕込んで、皆様にも飲んでいただけるようになるかなと思います。」
まだ成熟中のピノ・グリをいただくと、すごく酸っぱい!これから一か月半くらいかけて糖度が20度近くに上がってくるそうです。果物のぶどうって大体糖度が15から16度なのでそれより甘くなるんだそう。毛利さんいわく、「牡蠣にレモン代わりに果汁をかけたりすると美味しい」とのこと!
東北の食とワインのマリアージュを提案する、この秋保ワイナリー。オーナーの毛利親房さん、もともとはワインとは全く無縁のお仕事をされていました。しかもワイン1杯で酔ってしまうほどお酒も弱い・・・ そんな毛利さんがなぜ、秋保でワイナリーを立ち上げることになったのか。その原動力となったのは、2011年の東日本大震災でした。
「私はもともと建築の設計事務所に勤めていて、自分が担当した建物が被災沿岸部にあったりするので、自分の会社で設計した建物の被災調査をするんですけど。女川に「湯ぽっぽ」という温泉施設があって、僕はそれに関わっていたので震災後調査に行った時に、設計した建物がないどころか、町が壊滅していたのを見て、なんとかしないとここから復興ってできないなと思ったのがあります。建築って本当に自然の前では弱いんだなと感じました。そしていろんな復興会議にも出ていて、そこで初めて漁師さんとか被災した農家さんとかとお会いするきっかけがあって、宮城県に唯一あったワイナリーが津波で流されて、社長さんも亡くなって、宮城県のワイン産業が途絶えてしまったので、我々の提案としてはワイン産業を復活させるということと、ワインって食との結びつきがとても強いので、ワインと食のマリアージュを通して生産者の応援をしようという提案をして、また担い手を育成してワイナリーを県内で増やしていこうと。それで今度はワインツーリズムという、観光とうまくタイアップしてたくさんの方に東北に足を運んでいただいて、東北の食を知って頂きたいということで、ワイナリーを立ち上げたんです。」
―――そのワイナリーを秋保で始めようと思ったのはどうしてですか?
「運命的な出会いもあったんですね。たまたま土地を探していて、秋保のガラス作家さんの知り合いのところに帰りによって、「実はぶどうを植えたいんだ」という話をしたら、この場所を教えてくれたんです。ここは27〜28年前は県のタバコ試験場のタバコ畑があったんですけど、20年間も耕作放棄地になっていて。だから開墾するところからスタートしています。ただ場所はすごく良かったですね。ぶどうを育てるための日当たりと風と水はけもいいですし、ここは秋保石という凝灰岩の産地なんですね。今もまだ現役で採石をしているところがあります。昔は鉄道もあって全国に建物の基礎の原材として出荷していたんですね。その凝灰岩がぶどう畑の北側の山にもたくさんあって、その凝灰岩がある地層で育ったブドウというのは、海外でもそうなんですけど、ミネラル感のあるワインができると言われているんです。自社のぶどうのワインを飲んでいただいたソムリエの方には、ミネラル感が強いというので、赤はいい意味でボディがしっかりして硬さがあったり、白の場合は魚介と合うとよく言われているので、色々マリアージュを楽しみたいなと思ってます。」
「具体的なマリアージュとしては、南三陸の志津川湾にワインを沈めて海中熟成したワインも作ったんですね。そのワインと、やっぱりその海域で育った牡蠣とのマリアージュは抜群に良かったです。あと南三陸のりんごを使ったシードルと牡蠣のベアリングもすごいいいですね。シードルは日本では最近少し流行ってきましたけど、ヨーロッパでは魚介とシードルと言ったら鉄板のベアリングなので、僕らもそういうのをどんどん広めていきたいなと思っています。赤ワインで言うとブランド牛としてすごく品質も高くて美味しい仙台牛や、軽めのワインだと仙台の牛タンとか、そういったのもすごく合うと思います。また、宮城県でチーズを作っていらっしゃる生産者もいるんですけど、チーズとの相性も良いですし、人によってはお新香とワインという組み合わせを楽しんでいる方もいらしたり。今年の僕の一つの目標は、お寿司とワインなんです。厳密に言うとお寿司と日本酒とワイン。今、日本酒の蔵元さんと一緒にそういったことの準備を進めています。」
ワインの力で販路が回復しない宮城の特産品を応援したいと、自身でワイナリーの設立を決意した毛利さん。今では自治体、生産者、飲食店、酒蔵などと連携した、食をテーマにしたツーリズム
『テロワージュ東北』に取組んでいます。この「テロワージュ東北」については、来週詳しくお伝えします!
★★★ 今週のお土産プレゼント ★★★
三陸の魚介にぴったりのシードル『秋保クラフトシードル』を2本セットにして3名様にプレゼントします!ホヤ、牡蠣、ホタテ、わかめなどと相性抜群の辛口シードルです。
ご希望の方は番組ホームページからご応募ください。番組の感想やメッセージもお待ちしています。
秋保ワイナリー 公式サイト http://akiuwinery.co.jp/