大島渚さんが監督としてデビューしたのは1959年のこと。
終戦から15年近くが過ぎ、高度成長が本格化していた時代でした。
今ではマイナスになることがある経済成長率も、1960年代は毎年10%前後の数字が続いていきます。
一方、その陰には、貧困に苦しんだり、世の中のひずみに、強く違和感を感じる人々がいました。
未来授業3時間目、テーマは「鬱屈したこの時代に観てほしい大島渚作品」
◆樋口尚文 1962年生まれ 映画評論家、映画監督。著作に『秋吉久美子 調書』(秋吉久美子共著・筑摩書房)、『実相寺昭雄 才気の伽藍――鬼才映画監督の生涯と作品』(アルファベータブックス)、『万華鏡の女――女優ひし美ゆり子』(ひし美ゆり子共著・筑摩書房)、『黒澤明の映画術』(筑摩書房)、『「砂の器」と「日本沈没」――70年代日本の超大作映画』(筑摩書房)、『大島渚のすべて』(キネマ旬報社)など。監督作に『インターミッション』『葬式の名人』。『大島渚全映画秘蔵資料集成』を近日刊行予定。