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『建築と時代の関係性』

『“地図と拳”を通じて、2023年をみる』 小説家 小川哲さん   第3回未来授業 Vol.2413
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今週の講師、小川哲さんによる小説、『地図と拳』の舞台になっているのは、日本の傀儡国家・満州国に誕生する、空想上の都市です。およそ100年前。ロシア革命によりソ連が誕生し、日本でも共産主義の影響力が増しつつありました。その防波堤として、そして資源確保のために生まれたのが、満州国でした。それまでの国土の2倍以上という大地を手にした日本は、30万人近い移民を送り込み、農地の開拓や資源の開発を目指します。
その宣伝のため、新たな夢の象徴として、狭い日本では作ることができなかったインフラが整備されました。
広い道路と街路樹で構成された都市に、都市間を結ぶ豪華な高速鉄道、そして今に残る壮大なスケールの公共建築です。こうした建築は、長い時を超え、今も当時の様子を伝えています。小説を書くということは、建物を建てることに似ているという小川さんに、建築を通じて何が見えてくるのか、伺いました。

未来授業3時間目、テーマは『建築と時代の関係性』。


◆小川哲(おがわさとし)1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。『ゲームの王国』(2017年)が第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。『地図と拳』(2022年)で第168回直木賞、第13回山田風太郎賞を受賞