「FMフェスティバル2011 未来授業~明日の日本人たちへ~」の公開授業から、宮城県・気仙沼の牡蠣漁師、NPO「森は海の恋人」代表、畠山重篤さんの講義の模様をお送りします。
畠山さんが20年以上前から続けているのが、「森に、木を植える」活動です。
牡蠣の漁師さんが、なぜ森に木を植えるのか。
未来授業。4時間目。テーマは、「林業の再生が、復興の光。」
畠山重篤さんの講義の模様は、ビデオポッドキャストで、ノーカット・フルサイズでも配信中です。http://fes.jfn.co.jp/
【畠山重篤】
NPO法人 森は海の恋人 代表、京都大学特任教授。(牡蠣養殖業を営みながら、漁民による広葉樹の植林活動「森は海の恋人」運動を実施。94年朝日森林文化賞、2000年第6回環境水俣賞、2004年第52回日本エッセイスト・クラブ賞などを受賞)
◇「森は海の恋人、鉄は魔法使い」
復興を機に、もう一度日本という国を見つめてみよう。大きな視点で。日本は四方を海に囲まれた島国。2万1000本の川があり、日本海と太平洋に流れ込んでいる。川からは植物プランクトンが必要とする栄養が流れ、それを食べて植物プランクトンが光合成をし、酸素を出す。二酸化炭素の排出規制が叫ばれているが、この森と川と海の関係をきちんと知っておけばいい。もともと地球の大気中に酸素はなく、二酸化炭素だらけだった。それが植物プランクトンの光合成によって海から酸素が湧き、オゾン層ができ、生物が陸へ上がった。海の「大森林」の力で今の地球が出来た。海の森こそ、CO2問題の解決鍵だ。今回打撃を受けた三陸も海の恵みも、もとは隣国ロシア・アムール川の森の栄養からきている。自然は循環している。東北は大打撃を受けた。だからこそ、地球の循環を知り、大きな視座で人と地球との関わりを見直そう。森と川と海はパートナー。そこに抱かれているのが人間。復興は、この関わり方を知ることから始まる。