山と水と郷、これを合わせて「山水郷」。
国土の3分の2を森林というこの国には、豊かな山水、つまり自然とそこで古くから培われてきた暮らしの知恵やコミュニティがある。
これこそが、究極のセーフティネットであり、持続可能な社会の実現に必要なもの。
今週の講師、日本総合研究所 創発戦略センター シニアアナリストの井上岳一(たけかず)さんが、2019年に発表した著書「日本列島回復論」のなかで提唱している考え方です。
いま、この国の新政権は「成長と分配の好循環」を掲げています。
これは経済成長による果実を、給付や賃金で分配することを目指すものですが、そこに山水郷という考え方を取り入れると、「分配」とは別の可能性が見えてくると言います。
未来授業4時間目。テーマは「分配ではなく、分散へ」
◆井上岳一(イノウエ・タケカズ)
(株)日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト。1994年東京大学農学部卒業。Yale大学修士(経済学)。林野庁、CassinaIXCを経て、2003年に日本総合研究所に入社。森のように多様で持続可能な社会システムの実現をめざし、官民双方の水先案内人としてインキュベーション活動に従事。共著書に『MaaS』(日経BP社)、『公共IoT』(日刊工業新聞社)、『AI自治体』(学陽書房)等がある。