- 2015.08.02
コケのふしぎ4
今週は連続でお届けしてきた「コケ」のお話の最終回です。
だんだん、コケの魅力に気づいてきた方もいるかも知れませんが、今回はコケが好きで好きでしょうがない、コケマニアの方々のちょっと不思議な集まりのお話です。
先週は、コケの観察にはスマートフォンのカメラの拡大機能が便利!とか、ジャムの瓶の中で、小さなコケの植物園を作るなんてお話がありましたが、今回はこうしたコケを楽しむテクニックを編み出し、情報交換をするというコケマニアの方々による、不思議な集まりのお話です。
コケ博士・樋口さんも、もちろんその集まりのメンバー。さて、どんな集まりなんでしょうか。

日本蘚苔類学会っていう学会がありまして、約500名近くの方がいます。しかしプロの研究者は少なくて、一般のコケが好きという方がほとんどです。いつも夏休みに行なっていて、家族連れで参加する人もいます。温泉地で開催することも多くて、ちょっと他の学会は違う雰囲気かもしれません。
でも学会としてはそれだけやっているわけにもいきません。何十年も歴史がある団体としては、やはり社会貢献も考えなきゃいけないですし、あるいはコケが存在する意味みたいなものをもう少し世の中に広めたいということで、「日本の貴重なコケの森」というプロジェクトを2007年から始めました。選定委員会で条件を決めて検討して認定しているのですが、絶滅危惧種や固有種などの貴重なコケがあって、景観が美しく保たれている場所をコケの森と呼んでいて、今のところ22、3くらい指定しています。
そういうコケが生息する場所は、水や空気がきれいであることが必要で、それは人間にとっても大変貴重な場所に違いありません。だからコケの森を守るということは、私たちにとっても大事な自然を守ってかなきゃいけないということを伝えられるんではないかということで始めたんですね。その場所は学会のサイトで見ることができますので、是非一度訪れてみてください。
こんどの夏の大会が長野県の北八ヶ岳で行なわれるんですけども、そこも「日本の貴重なコケの森」のひとつです。実は私が推薦して認定された場所なのでちょっと思い入れがあります。アプローチもしやすく、自動車で行って駐車場に止めて、歩いて10分もするとコケの世界です。
この北八ヶ岳が認定されたことによって、この景色を見慣れた現地の人にもここが貴重な場所なんだと再確認してもらえたと思います。日本の貴重なコケの森に指定されたことで、じゃあこれを大事に守って伝えていこうということで、現地の4つの山小屋の主人たちが集まって北八ヶ岳コケの会をつくって、保護や色々なPRを進めています。
-最後にお伺いしたいんですが、樋口先生でもまだわからないコケの謎ってありますか?
うーん、一言で言うと謎だらけかもしれませんね。私が色々な場所に行って思うのは、なぜこのコケがここにあるのかっていうことなんです。例えば1月に南米チリのコケを見てきたんですけども、日本では見たこともない種類があるんですね。なぜ地球の裏側のこんなところにこういうコケがあって、日本にはこういうコケがあるのかっていうことは素朴な疑問です。コケは胞子で増えるので、風に乗って地球上の色んな場所に飛んで行きます。ですので、同じような種類が地球全体にあってもおかしくないんですけども、実際はそうではなくて、やはりそれぞれの地域に異なった種類があるんですよね。不思議ですね。
これはおそらく私だけが言ってることなんですけども、史上最強の生物はギンゴケです。ギンゴケっていうのは、例えばこのビル(東京 半蔵門TOKYO FM)の外に出ると恐らく道路脇にあります。そういう普通のコケなんですね。ただこのコケはこういう都市の乾燥だとか埃だとか太陽の光が直接当たるとか、非常に過酷な環境に耐えているんですね。それに南極にもあるし、ヒマラヤの高山にもあります。このように一つの種類がそういうような広い分布を持っていて、色んな過酷な環境に耐えている生き物っていうのは他にいないと思うんですよね。
最強っていうと例えば恐竜だとか、クマムシだとか言われるかもしれないんですけども、基本的に動物それから菌類というのは、植物、あるいは植物が作ったものを餌にしてるわけですね。だから自分で生きていける植物はやはり最強と言えるんではないかなと思いますね。
ちなみにクマムシを探すときは、野外でギンゴケの塊を取ってくるんですね。するとクマムシを見つけることができる。クマムシ愛好家の間では知られていることなんです。クマムシの中にも肉食系と植物を餌にするグループがあるらしくて、ギンゴケの中に住んでいるクマムシはギンゴケを食べてるらしいんですね。ですから、餌としてだけでなく、住処として、「あったかいんだからぁ~♪」(笑)水分もあるし、環境としてもすごくすごく幸せなんですね。
4回に渡ってお届けしたコケのお話し、いかがだったでしょうか。今回ご紹介した日本蘚苔類学会のサイトもぜひチェックしてみてください。
日本蘚苔類学会ウェブサイト→http://bryosoc.org/index/
【今週の番組内でのオンエア曲】
・New Morning / Alpha Rev
・Love Someone / Jason Mraz
だんだん、コケの魅力に気づいてきた方もいるかも知れませんが、今回はコケが好きで好きでしょうがない、コケマニアの方々のちょっと不思議な集まりのお話です。
先週は、コケの観察にはスマートフォンのカメラの拡大機能が便利!とか、ジャムの瓶の中で、小さなコケの植物園を作るなんてお話がありましたが、今回はこうしたコケを楽しむテクニックを編み出し、情報交換をするというコケマニアの方々による、不思議な集まりのお話です。
コケ博士・樋口さんも、もちろんその集まりのメンバー。さて、どんな集まりなんでしょうか。

日本蘚苔類学会っていう学会がありまして、約500名近くの方がいます。しかしプロの研究者は少なくて、一般のコケが好きという方がほとんどです。いつも夏休みに行なっていて、家族連れで参加する人もいます。温泉地で開催することも多くて、ちょっと他の学会は違う雰囲気かもしれません。
でも学会としてはそれだけやっているわけにもいきません。何十年も歴史がある団体としては、やはり社会貢献も考えなきゃいけないですし、あるいはコケが存在する意味みたいなものをもう少し世の中に広めたいということで、「日本の貴重なコケの森」というプロジェクトを2007年から始めました。選定委員会で条件を決めて検討して認定しているのですが、絶滅危惧種や固有種などの貴重なコケがあって、景観が美しく保たれている場所をコケの森と呼んでいて、今のところ22、3くらい指定しています。
そういうコケが生息する場所は、水や空気がきれいであることが必要で、それは人間にとっても大変貴重な場所に違いありません。だからコケの森を守るということは、私たちにとっても大事な自然を守ってかなきゃいけないということを伝えられるんではないかということで始めたんですね。その場所は学会のサイトで見ることができますので、是非一度訪れてみてください。
こんどの夏の大会が長野県の北八ヶ岳で行なわれるんですけども、そこも「日本の貴重なコケの森」のひとつです。実は私が推薦して認定された場所なのでちょっと思い入れがあります。アプローチもしやすく、自動車で行って駐車場に止めて、歩いて10分もするとコケの世界です。
この北八ヶ岳が認定されたことによって、この景色を見慣れた現地の人にもここが貴重な場所なんだと再確認してもらえたと思います。日本の貴重なコケの森に指定されたことで、じゃあこれを大事に守って伝えていこうということで、現地の4つの山小屋の主人たちが集まって北八ヶ岳コケの会をつくって、保護や色々なPRを進めています。
-最後にお伺いしたいんですが、樋口先生でもまだわからないコケの謎ってありますか?
うーん、一言で言うと謎だらけかもしれませんね。私が色々な場所に行って思うのは、なぜこのコケがここにあるのかっていうことなんです。例えば1月に南米チリのコケを見てきたんですけども、日本では見たこともない種類があるんですね。なぜ地球の裏側のこんなところにこういうコケがあって、日本にはこういうコケがあるのかっていうことは素朴な疑問です。コケは胞子で増えるので、風に乗って地球上の色んな場所に飛んで行きます。ですので、同じような種類が地球全体にあってもおかしくないんですけども、実際はそうではなくて、やはりそれぞれの地域に異なった種類があるんですよね。不思議ですね。
これはおそらく私だけが言ってることなんですけども、史上最強の生物はギンゴケです。ギンゴケっていうのは、例えばこのビル(東京 半蔵門TOKYO FM)の外に出ると恐らく道路脇にあります。そういう普通のコケなんですね。ただこのコケはこういう都市の乾燥だとか埃だとか太陽の光が直接当たるとか、非常に過酷な環境に耐えているんですね。それに南極にもあるし、ヒマラヤの高山にもあります。このように一つの種類がそういうような広い分布を持っていて、色んな過酷な環境に耐えている生き物っていうのは他にいないと思うんですよね。
最強っていうと例えば恐竜だとか、クマムシだとか言われるかもしれないんですけども、基本的に動物それから菌類というのは、植物、あるいは植物が作ったものを餌にしてるわけですね。だから自分で生きていける植物はやはり最強と言えるんではないかなと思いますね。
ちなみにクマムシを探すときは、野外でギンゴケの塊を取ってくるんですね。するとクマムシを見つけることができる。クマムシ愛好家の間では知られていることなんです。クマムシの中にも肉食系と植物を餌にするグループがあるらしくて、ギンゴケの中に住んでいるクマムシはギンゴケを食べてるらしいんですね。ですから、餌としてだけでなく、住処として、「あったかいんだからぁ~♪」(笑)水分もあるし、環境としてもすごくすごく幸せなんですね。
4回に渡ってお届けしたコケのお話し、いかがだったでしょうか。今回ご紹介した日本蘚苔類学会のサイトもぜひチェックしてみてください。
日本蘚苔類学会ウェブサイト→http://bryosoc.org/index/
【今週の番組内でのオンエア曲】
・New Morning / Alpha Rev
・Love Someone / Jason Mraz