高橋:今週は、東日本大震災の教訓・学びを、
地域の「森」を通じて 後世に伝える取り組みをリポートします。
場所は宮城県南三陸町。
震災から10年を経て東北各地に「伝承館」が完成していますが、
この町では、「森」を活用した伝承の動きが始まったということで、
そこに込められたメッセージ、お伝えしたいと思います。





高橋:志津川湾を見下ろす山の頂上にその場所はありました。
名前は「海の見える命の森」。
もともとはうっそうとした、”荒れた森“だったのですが、
町の有志・ボランティアの方々が10年かけて手入れをして…(※景色ヒトコト)
そしてこの場所はいま、津波の犠牲になった方々の慰霊とともに、
震災の経験、そこから得た教訓を後世に伝える役割も担っていると言います。

「海の見える命の森」実行委員会・副実行委員長の
阿部寛行さん(通称・隊長)はこう説明してくれました。


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<< 現地レポートの様子 >>

阿部:この目の前に広がっている志津川湾、この眺望を見るのに、
下の国道から上がる勾配のきつい険しい森だったんですね。
その木を切り開いて、けもの道を作り階段と手すりを作るのに
1年以上かかったんです。そのひとつのきっかけになったのが、
あの震災で沖から来た津波によってたくさんの人の命が失われ
未だに200名以上の方がここに眠っていらっしゃる。
そういう見つからない方が町のどこかで手を合わせても、
もはや見つからないだろうという想いがあって、
80歳すぎのおばあさんがここまで上がってきて
全てが見渡せる場所で手を合わせて、
1日でも1秒でも早く何かしらのものが見つかってほしいと願う場所。
だから最初は慰霊の場所としてこれは開拓されました。




阿部:そしてこの森がなぜいのちの森か。
次の災害に備えてほしいという想いがわたしたちには強くあります。
例えば災害に備えるための熱源や水源とかそういうものを
どうやったら確保できるか、避難した時に自然の中で
どうやってそういうものを使って、共助の部分をここでできないか。
つまり避難所訓練できるものができないかということが構想に上がって、
水源は井戸を作る、熱源はピザ窯やかまどを作り、
体験学習としてこういうことが出来たら、いのちが永らえられる、
繋がっていくということを身をもって知ってもらうことが
命の森という名前を付けた由来となっています。
そして次の十年に入る中でこの森に桜を植えている。
エドヒガン。町にあるソメイヨシノではなく日本の小桜、
1000年以上生きている桜と同じ品種。だからここで
1000年咲き誇ってもらうために植えることを始めました。
そしてこの桜にできればここでたくさん亡くなっている、
830名以上の方の無念の思いがここに宿って、
桜の下で亡くなった沢山の人たちと生き残った私たち町民、
そして全国から集まったこの森の住人の人たちで
花見を毎年していこうと言う想いで桜を植えてきました。


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高橋:「海の見える命の森」は、
この場所だからこそできる防災減災伝承プログラムに活用されています。
今回わたしは、そのプログラムの一部を体験させてもらいまして・・・
その一つが「熱源」プログラム。避難生活での「熱源」を学べるもの。
森に建てられた小屋にピザ窯とかまどがあり、
これでピザを焼く。
プログラムはその、「燃料」を集めるところから始まります。
ということで燃料集め…「おじいさんは山へ芝刈りに」のあの芝刈りを初体験!




高橋:その芝刈りで集めた芝を使って火を炊くわけなんですが、
ここで「海の見える命の森」の阿部さん、
昔ながらの「かまど」「芝刈り」の意味を教えてくれました。


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<< 現地レポートの様子 >>


阿部:熱源プログラムのピザ窯なんですが
これも一から作りました。
ここで6枚焼けるくらいの大きさ。
こっちは俺一人が監修するかまど、別名「おくどさん」昔の人は
おくどさんでコメを炊くが大事なのは木が大事な資源だった。
ばんばん燃やすのではなく少ない木でごはんをたくのが昔は大事だった。
手の指位の細さ、これ以上太いのは絶対に入れない。
ボランティアにおしえるのは
「はじめちょろちょろ中ぱっぱ 赤子泣いてもふたとるな」、
私たちの地元では
「はじめちょろちょろにちょろちょろ、赤子泣いてもふたとるな」、
お米を炊く時の火加減。
細い木をつかってちょろちょろやれってことなんです。
にちょろちょろではじめて火蓋に泡が噴き出す。
そこで切り替えて少し火力を強めて絶対に蓋を開けない。
赤子泣いても二獲るな。
これだけの熱でできるんだということをみんな覚えてもらう。
ボーイスカウトやキャンプ好きな人は「目からうろこ」と帰っていく。
「こんな火だけでお米がたけるんだ」と、
みんな飯盒炊爨に慣れているからばんばん火力を出して
ものすごい木と炭を使って。
だから昔の「おくどさん」という意味はそこだと知ってもらうということですね。
昔の人はそうやって芝も大事に、これも大事な資源だったわけです。
それをいっぱい使わずどうやれば効率よく
少ない木でコメが炊けるかとやっていたのがそれなんです。
だからはじめちょろちょろ、にちょろちょろ、ができたんです。




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高橋:災害でガスなどインフラが使えなくなった時。
少ない燃料でどうお米を炊くか。森の中での体験を通して学ぶことができました。

そしてインフラと言えば「水」も重要ですが、
これも、防災減災伝承プログラムの一つとして盛り込まれています。


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<< 現地レポートの様子 >>



阿部:100m下からこの水道は手掘りで全部やった。
これが4m地下から出ている地下水。地下浸透水ですから。
ココ見てもらうと分かるが川がある降った雨がここにくる。
沢もきている。だからここの植生は豊か。
なのでこの沢が実はビオトープでいろんな生き物、
オニヤンマのヤゴやゲンゴロウいろいろいる。
だからここをキャンプ場にして備災教育の学校にする。
それを形にできる達成感だったり、未来に残せることを大事に。
全国から来た次代を担う若人持ち帰ってもらう、一緒に作る、
やればできるということを大事にしている。
特に都会の子は考えちゃうが災害時は四の五の考えてられない、
やればできると考えるしかない。
「備災」という言葉は、日常の中でやること。
防災も減災ではなく備災にもっていきたい。
まずあと5年で設備を整える、
ボランティアとともに作ってければと思っています。
間違いなくここで気づきをもって動き出す人も出てくる。
南三陸の力になりたいと入り口は入ってくるが、
でも出口は、これは自分のことで、
自分の地域や家族を守ることにつながるんだと。
森の住民となってたくさん吸収して持ち帰るという考え方に変わっている。
この入り口と出口の差は大きい。


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高橋:この海の見える命の森、いまもボランティアの方々によって
どんどん色んな事がスタートしています。
気になる方はFacebookご覧ください。


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【今週の番組内でのオンエア曲】
・ 年貢 for you feat.旗本ひろし、足軽先生 / レキシ
・ ロスト・スターズ / Maroon5 

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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