- 2021.09.19
鹿猟師に学ぶ「リボーンアート・フェスティバル」_1
高橋:今週は、宮城県石巻市、そして女川町で現在開催中の
「リボーンアート・フェスティバル」にスポットを当ててお送りします。
音楽プロデューサー・小林武史さんが実行委員長を務めるこのイベント。
現代アート、音楽、そして地域の「食」も楽しめる総合芸術祭として
毎回注目を集めていますが、きょうはその中から、
牡鹿半島の「鹿」をめぐる企画についてご紹介したいと思います。
お話を伺ったのは、「フェルメント」という、鹿肉の処理施設の運営をれている
鹿猟師の小野寺望さん。
牡鹿半島にあるフェルメントにお邪魔して伺いました。

>>>>>>>>>>>>>>
高橋:すごく緑が豊かな場所で、かわいいログハウスがあってそこにお邪魔をしたら小野寺さんがコーヒーを入れてくださって。
小野寺:見た目がカフェっぽく見えるんだけど。
本業は一応猟師です。ここはハンティングを獲ってきた鹿を
お肉に変える処理場で、鹿の駆除という名目で
捕獲して解体する場所ではあるけれども、
将来的には「鹿の駆除」ということがなくなって
解体場ではなくなるのが理想。
どういうことかというと、適正に鹿の数を抑えること。
この場所は三陸独特の地形で緑が生い茂って
自然が豊かに見えますが山に入ってみると食べるものが全くないんですよ。
「緑の砂漠」と言っているんですが、広葉樹が少なくて針葉樹ばっかり。
鹿も仕方なく山から民家の近いところに降りてきて交通事故が起きたり、
食べ物がないのでしょうがないので
作物を荒らしたり庭の木をかじったりと悪さをしちゃうんですが、
悪さをしたくてやっているわけではなく、
食べるものがないから降りてくる状況。
森の再生がきっちりできていれば、
こういうことがなくなっていくと思うんですよね。
そのためにはどうしたら良いのか、
多面的にみんなでいろんなことを試しながら改善していければ良いなと。
それを含めて、すぐには変わらないでしょうけど、
ここからみんなにいろんなことを意識を持って
発信していこうという場所にしています。
高橋:鹿の猟をする方がそういうことを考えたきっかけは?
小野寺:もともとは、鹿が好きで一頭欲しくてハンティングを
始めたんです。ちょっと料理をかじっていたので友達が来たときに
フルコースで食材を集めてお料理したいと。
それでライセンスをとって始めたハンティングだったものですから、
僕の中でのテーマは鹿を一頭獲ったら美味しく最後まで調理する
、喰らい尽くすということだったんです。
ところが狩猟免許を取って5、6年経つと鹿が異常に増えて、
駆除隊が編成されて駆除をするようになっていって
すごい数の鹿を獲っていたんですね。
最初はハンターの人たちも喜んでお肉を持って帰っていたんですが、
年間て75日間も猟をしていると持って帰って食べる人も少なくなっていくしね。
そうなるとかわいそうだけど獲った鹿も穴を掘って埋めるしかなかった。
それが何年か続いちゃって。そうすると気持ちも落ち込んできちゃう。

高橋:そうではなく、ちゃんと最後まで美味しく食べるということを知ってもらいたいという想いが?
小野寺:それはありましたね。
15年ぐらいかかってみんなの認識、意識が変わっていた。
それまで鹿は硬い、まずい、臭い、
そして汚いというイメージしかなくて、
ハンターからもらってくるお肉は山で解体するから
落ち葉がついていたり、鹿の毛がついていたり、
血がポタポタ滴るようなお肉を出されてももらった人は困りますよね。
そういったことを含めて鹿の血抜きだったり冷却、
きれいにすれば美味しく食べられると言うことができるようになったのでね。
そうしたら激変して、歯科をもらった人も
「これなら鹿もおいしいんだ」と言う声を聞くようになって。
東日本大震災の直後にみんな炊き出しに来た主婦などする人たちに、
せめてのお礼でお肉をあげようと思って、シェフにあげていたんです。
高橋:どう評価されましたか?
小野寺:わかったのは人それぞれ十人十色だと言うこと。
人それぞれに合わせたお肉の落とし方をしていかなくちゃいけないなというのがわかりました。
高橋:そんなことができるんですか?
小野寺:はい。
例えば高橋さんがフレッシュ感がバリバリで
みずみずしいお肉を好むのであれば、寝かさないで獲ってすぐ。
24時間、48時間以内で、負荷をかけず肉に重力をかけないような感じで、
血もそんなに抜かないようにしてお届けするとか。
逆に血液を見るのが嫌だという人、深みのある味が欲しい人は、
1ヵ月、1ヵ月半お肉を寝かせてなおかつ水分調整をして、
旨味だけを残す。イメージで言うと魚の干物みたいな感じです。
でもちゃんとみずみずしい。
水分は最後まで抜けないから焼けばみずみずしさが残ってくる。
そういうお肉にしたりとか。
高橋:震災後に全国のシェフの方に渡したからわかった賜物ですね!
小野寺:結構大きいですよ。
教えてもらったことが。最先端の方法だったり、
そういったものも聞けるじゃないですか。

高橋:小野寺さんがさばいた鹿を食べてみたい方がたくさんいらっしゃると思うんですが、リボーンアートフェスティバルでも食べることはできますか?
小野寺:フードアドベンチャーという企画が9月20日にあります。
僕がハンティングをする場所にみんなをアテンドして鹿の道を歩きます。
鹿の食痕や寝た跡など痕跡を探りながら、
1時間近く森の中を散策して食材を採取して、
フェルメントに戻ってきます。
その数日前に鹿を捕獲してくる予定なので、
それの解体をしてお肉にして。
なおかつ別個の鹿肉でフルコースを振舞います。
フルコースは仙台のシェフが来てくれます。俺も料理できますので。
高橋:小野寺さんは解体もされるしお料理もできるんですね!
小野寺:もともと料理人崩れですから。
だからお肉もフルコースを振る舞うために自分でハンティングをして。
日本人って野生のものや自然のもの、天然のものをよしとするでしょう。
アワビだのウニだのマグロだの。
でもお肉だけは〇〇牛のA5ランクとかどうでも良いことに
こだわっていたんですよね。
フレンチでずっとやっているとそういうのが鼻で笑うくらい
恥ずかしい事だったので。フランスではマルカッサンとか
シュブルイユとか最高級のものを、
11月になればパリから郊外に食べに行くのが最高の贅沢だったのが
日本では間逆でゲテモノ扱いだった。
だから腹が立っていてそういうことにも風穴を
開けなかったということも正直あるんです。

高橋:小野田さんはフレンチのシェフだったんですね
小野寺:なんちゃってですよ(笑)
それで作りたいと思ったら、
もてなすためには食材集めから始めなくちゃいけないと思って、
25年くらい前からそれをやって。
石も山から拾ってきて流木を拾ってテーブル設計から始めて、
いろんなことをやりながら。もてなすことに一生懸命やっていましたよ。
>>>>>>>>>>>>>>

高橋:宮城県石巻市・女川町で開催中の リボーンアートフェスティバルの中から、
牡鹿半島の「フェルメント」を運営する鹿猟師・小野寺望さんのお話、
お聴きいただきました。
来週も、続きをお届けします。
お話に出てきたワークショップは
【9月20日(月・祝)】
「FERMENTO体験入門 〜牡鹿で食猟師がおこなっていること〜」
時間:10:30 – 14:30 場所:FERMENTO(小積エリア内)
~詳しくは「リボーンアートフェスティバル」のサイトをチェックしてください。
★「リボーンアートフェスティバル」Twitter
★「リボーンアートフェスティバル」Instagram
★「リボーンアートフェスティバル」Facebook
【今週の番組内でのオンエア曲】
・ Kiss Of Life / シャーデー
・ Sundance / EGO-WRAPPIN'
「リボーンアート・フェスティバル」にスポットを当ててお送りします。
音楽プロデューサー・小林武史さんが実行委員長を務めるこのイベント。
現代アート、音楽、そして地域の「食」も楽しめる総合芸術祭として
毎回注目を集めていますが、きょうはその中から、
牡鹿半島の「鹿」をめぐる企画についてご紹介したいと思います。
お話を伺ったのは、「フェルメント」という、鹿肉の処理施設の運営をれている
鹿猟師の小野寺望さん。
牡鹿半島にあるフェルメントにお邪魔して伺いました。

>>>>>>>>>>>>>>
高橋:すごく緑が豊かな場所で、かわいいログハウスがあってそこにお邪魔をしたら小野寺さんがコーヒーを入れてくださって。
小野寺:見た目がカフェっぽく見えるんだけど。
本業は一応猟師です。ここはハンティングを獲ってきた鹿を
お肉に変える処理場で、鹿の駆除という名目で
捕獲して解体する場所ではあるけれども、
将来的には「鹿の駆除」ということがなくなって
解体場ではなくなるのが理想。
どういうことかというと、適正に鹿の数を抑えること。
この場所は三陸独特の地形で緑が生い茂って
自然が豊かに見えますが山に入ってみると食べるものが全くないんですよ。
「緑の砂漠」と言っているんですが、広葉樹が少なくて針葉樹ばっかり。
鹿も仕方なく山から民家の近いところに降りてきて交通事故が起きたり、
食べ物がないのでしょうがないので
作物を荒らしたり庭の木をかじったりと悪さをしちゃうんですが、
悪さをしたくてやっているわけではなく、
食べるものがないから降りてくる状況。
森の再生がきっちりできていれば、
こういうことがなくなっていくと思うんですよね。
そのためにはどうしたら良いのか、
多面的にみんなでいろんなことを試しながら改善していければ良いなと。
それを含めて、すぐには変わらないでしょうけど、
ここからみんなにいろんなことを意識を持って
発信していこうという場所にしています。
高橋:鹿の猟をする方がそういうことを考えたきっかけは?
小野寺:もともとは、鹿が好きで一頭欲しくてハンティングを
始めたんです。ちょっと料理をかじっていたので友達が来たときに
フルコースで食材を集めてお料理したいと。
それでライセンスをとって始めたハンティングだったものですから、
僕の中でのテーマは鹿を一頭獲ったら美味しく最後まで調理する
、喰らい尽くすということだったんです。
ところが狩猟免許を取って5、6年経つと鹿が異常に増えて、
駆除隊が編成されて駆除をするようになっていって
すごい数の鹿を獲っていたんですね。
最初はハンターの人たちも喜んでお肉を持って帰っていたんですが、
年間て75日間も猟をしていると持って帰って食べる人も少なくなっていくしね。
そうなるとかわいそうだけど獲った鹿も穴を掘って埋めるしかなかった。
それが何年か続いちゃって。そうすると気持ちも落ち込んできちゃう。

高橋:そうではなく、ちゃんと最後まで美味しく食べるということを知ってもらいたいという想いが?
小野寺:それはありましたね。
15年ぐらいかかってみんなの認識、意識が変わっていた。
それまで鹿は硬い、まずい、臭い、
そして汚いというイメージしかなくて、
ハンターからもらってくるお肉は山で解体するから
落ち葉がついていたり、鹿の毛がついていたり、
血がポタポタ滴るようなお肉を出されてももらった人は困りますよね。
そういったことを含めて鹿の血抜きだったり冷却、
きれいにすれば美味しく食べられると言うことができるようになったのでね。
そうしたら激変して、歯科をもらった人も
「これなら鹿もおいしいんだ」と言う声を聞くようになって。
東日本大震災の直後にみんな炊き出しに来た主婦などする人たちに、
せめてのお礼でお肉をあげようと思って、シェフにあげていたんです。
高橋:どう評価されましたか?
小野寺:わかったのは人それぞれ十人十色だと言うこと。
人それぞれに合わせたお肉の落とし方をしていかなくちゃいけないなというのがわかりました。
高橋:そんなことができるんですか?
小野寺:はい。
例えば高橋さんがフレッシュ感がバリバリで
みずみずしいお肉を好むのであれば、寝かさないで獲ってすぐ。
24時間、48時間以内で、負荷をかけず肉に重力をかけないような感じで、
血もそんなに抜かないようにしてお届けするとか。
逆に血液を見るのが嫌だという人、深みのある味が欲しい人は、
1ヵ月、1ヵ月半お肉を寝かせてなおかつ水分調整をして、
旨味だけを残す。イメージで言うと魚の干物みたいな感じです。
でもちゃんとみずみずしい。
水分は最後まで抜けないから焼けばみずみずしさが残ってくる。
そういうお肉にしたりとか。
高橋:震災後に全国のシェフの方に渡したからわかった賜物ですね!
小野寺:結構大きいですよ。
教えてもらったことが。最先端の方法だったり、
そういったものも聞けるじゃないですか。

高橋:小野寺さんがさばいた鹿を食べてみたい方がたくさんいらっしゃると思うんですが、リボーンアートフェスティバルでも食べることはできますか?
小野寺:フードアドベンチャーという企画が9月20日にあります。
僕がハンティングをする場所にみんなをアテンドして鹿の道を歩きます。
鹿の食痕や寝た跡など痕跡を探りながら、
1時間近く森の中を散策して食材を採取して、
フェルメントに戻ってきます。
その数日前に鹿を捕獲してくる予定なので、
それの解体をしてお肉にして。
なおかつ別個の鹿肉でフルコースを振舞います。
フルコースは仙台のシェフが来てくれます。俺も料理できますので。
高橋:小野寺さんは解体もされるしお料理もできるんですね!
小野寺:もともと料理人崩れですから。
だからお肉もフルコースを振る舞うために自分でハンティングをして。
日本人って野生のものや自然のもの、天然のものをよしとするでしょう。
アワビだのウニだのマグロだの。
でもお肉だけは〇〇牛のA5ランクとかどうでも良いことに
こだわっていたんですよね。
フレンチでずっとやっているとそういうのが鼻で笑うくらい
恥ずかしい事だったので。フランスではマルカッサンとか
シュブルイユとか最高級のものを、
11月になればパリから郊外に食べに行くのが最高の贅沢だったのが
日本では間逆でゲテモノ扱いだった。
だから腹が立っていてそういうことにも風穴を
開けなかったということも正直あるんです。

高橋:小野田さんはフレンチのシェフだったんですね
小野寺:なんちゃってですよ(笑)
それで作りたいと思ったら、
もてなすためには食材集めから始めなくちゃいけないと思って、
25年くらい前からそれをやって。
石も山から拾ってきて流木を拾ってテーブル設計から始めて、
いろんなことをやりながら。もてなすことに一生懸命やっていましたよ。
>>>>>>>>>>>>>>

高橋:宮城県石巻市・女川町で開催中の リボーンアートフェスティバルの中から、
牡鹿半島の「フェルメント」を運営する鹿猟師・小野寺望さんのお話、
お聴きいただきました。
来週も、続きをお届けします。
お話に出てきたワークショップは
【9月20日(月・祝)】
「FERMENTO体験入門 〜牡鹿で食猟師がおこなっていること〜」
時間:10:30 – 14:30 場所:FERMENTO(小積エリア内)
~詳しくは「リボーンアートフェスティバル」のサイトをチェックしてください。
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【今週の番組内でのオンエア曲】
・ Kiss Of Life / シャーデー
・ Sundance / EGO-WRAPPIN'