先日 4月3日に、この番組とも園の深い作家で環境活動家、CWニコルさんがこの世を去りました。
日本の里山を愛し、長野県・黒姫山麓での森づくりをはじめ、半世紀以上、この国で、森林の再生に力を尽くしてきた方です。
番組では、2012年・東日本大震災の翌年から、ニコルさんの活動を継続的に取材して、その声に、耳を傾け続けてきました。
そこで今日は、番組でこれまでに紹介してきた、ニコルさんの言葉を改めてお届けします。
ニコルさんが語ってきたメッセージを皆さんと一緒に、もういちど、しっかり受け止めていきたいと思います。


CWニコルさんは、イギリス・ウェールズ出身。初来日は1962年。この時は、空手の修行でやってきたのだそうです。
その後、環境活動家、作家として幾度も来日を重ねる中、あることがきっかけで、長野県の黒姫山麓に移住することになりました。
2012年の取材で、ニコルさんはその当時をこう振り返っています。

今年で日本に来て50年です。32年前に長野の黒姫に住みついたころに鉄砲の免許を取って、猟師と山を歩きました。以前から日本は世界一美しい国だと思っていたんです。でも、30年前に山の奥に入ったら、恐ろしい光景があったんです。原生林が無残に切られ、トラックの通る林道では不法投棄のごみがあり、悩みました。28年前、私が生まれたイギリスのウェールズで、森の公園を作っているから見てと、政府から公園を見てくれという手紙がきたんです。私は想像できませんでした。その場所は47の石炭炭鉱があり、谷間は荒れ地になって、川は死んで、子供の私はすごく怒りを感じたんです。だからこの国は嫌だと地元を捨てたんですね。しかし28年前に帰国したら、谷間に緑が再生して、川に鮭やカワウソが戻ってきていた。どうしてか。それは汗と愛情の結果です。子どもたちが荒れ地に昔あった木々を植えたんです。そこはいまヨーロッパで一番大きなアーバンフォレストです。3万ヘクタールの森となりました。それをみて、日本に戻った僕は何をできるか考えました。そして、黒姫の藪になっていた土地を譲ってもらい、森を作り始めました。その森は今ユネスコの未来遺産になっています。絶滅危惧種32種類が復活しました。美しく若い森です。

こうして蘇った長野県黒姫の森、名前は、「アファンの森」。
ニコルさんの生まれ故郷、ウェールズの「アファン・アルゴード森林公園」にちなんで名づけたものです。
2002年、このアファンの森を拠点にした財団法人を設立。以降、森づくりや教育など様々な活動に取り組んでいきます。そして2011年の東日本大震災のあとは、宮城県東松島市の支援に乗り出しました。それが、森づくりのノウハウを生かした「森の学校」作りです。

震災のあと、心が痛みましたね。それで思ったのが、自然と時間、汗、愛情があればどんな傷でも治ります。東松島の方々が森を見たら安らぎになると、単純に思ったんです。そのあとで、学校を移転するから手伝ってと言われて、我々は見に行きました。そしてこの場所で、この場所の可能性をものすごく感じました。私は森を見て、自然を見て、昔が想像できるんですね。縄文時代から人がここに住んでいました、間違いない。きっとここはきれいな小川が流れていた原生林でした、いろんな動物がいて、どんな津波や台風が来てもここは安全な場所だったんですね。だから人が住んで、森を切り開いて田んぼを作った。年輪を見てみると、ここの木を植えてから、30年くらいは放置してたんですね。いろんな理由があるのはわかる。でも日本はだんだん自然音痴になって、自然から離れた文化を作っているんです。それは間違いですよ。この国を理解はできなくても愛することが必要です。だから学校は、もちろん文部省が決める教育はやらなくちゃいけない。でももっと奥が深いものがあると私は信じています。私も子供がいますし、孫が5人いる。じいさん、お父さんとしてね、子供たちが学校に行っている間は幸せで、安全だという気持ちがなければ、働けないんですね。いつも子供のことが気になっていたら、良い仕事はできない。だからここで、森と相談して、川と相談して、風と相談して、地元と相談して、わからないことがあったらエキスパートの意見を聞いて、美しい景色の中で学校を作るとやっぱり良いことです。私はこの仕事を手伝ってと言わて、僕が何ができるかと思ったんです。この72年自然と付き合って、いろんな文化と付き合って、でも日本がいちばん長い。神々がこの赤鬼を日本に行けと言ってきたのはこのためだと思います。これから学校づくりは、本当に命をかけて良い学校、エデンの園のような場所を作ります。もう神々は理解してくれましたから、本当に皆さん、本当にお願いします。ありがとうございます。

こうして、宮城県東松島市と一緒に「森の学校」づくりに取り組みはじめたC.W.ニコルさん。森づくりに関して、一貫してこだわっていたのが、「多様性」です。

例えばこの杉の木の枝は、4分の3の高さまで死んでいますね。どうして死んでいるか、光が届かず光合成ができずに死んじゃうんです。だから下まで光を通さなくちゃいけないんです。約10%の光が地面まで入ると、地面も緑になって、微生物が元気になって、木々が育ちますね。原生林は何万年も何百万年も自然がほっといて、だんだんといろんな自然が自分たちで議論して工夫して、1つの大きなシステムを作っている。元気な大木があって、首にかかっている年寄りの木々もあって、小さな木々もある。そこに一緒に暮らしている生物もいっぱいあるんです。この森はは大体杉だけですね。全部同じ年齢で混みすぎているから、多様性豊かにするために光を通さなくてはいけない。それで微生物も元気になります。そうすると木々が元気になる。風が通るという事は蝶や鳥も飛べるんです。種も入ってくるし、いろんな他の生き物が入れるようになってくる。それが多様性です。バイオダイバーシティー。だから森の中に入ると、森、川、海、一生懸命生きているものを見ると、生きる勇気が出てくるんです。だからここは素晴らしい。海もある、川もある。僕はここの学校は、5年、10年、20年、もう同じところだと思えない位美しくなると思います。日本一になるんじゃなくて、世界一の学校になると、本当に思います。

ニコルさんと東松島の人たちが取り組んだ「森の学校」は2017年に市立・宮野森小学校として完成しました。
こちらは杉や、ヒノキ5000本を使った木造校舎。そして学校の裏にはアファンの森財団と地元の方が協力して整備した「復興の森」があり、子どもたちは森からさまざまな学びを受けているといいます。

来週も、ニコルさんのメッセージ、お伝えしたいと思います。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・うちで踊ろう / 星野源
・Lean On Me / Bill Withers

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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