- 2019.07.14
宮城県岩沼市「千年希望の丘」育樹 植樹祭レポート


今週は、宮城県岩沼市「千年希望の丘」で7月6日(土)に行われた鎮守の森のプロジェクトによる育樹祭&植樹祭のレポートです。千年希望の丘は、津波の被害を受けた岩沼市沿岸部の土地に6つの公園を整備、公園に小高い丘を作り、10kmに渡る「森の防潮堤」で繋ぐという取り組みです。今回の会場は、沿岸部10キロにわたる敷地の真ん中にある「長谷釜公園」と「二野倉公園」。まず午前中は、10万本の森のお手入れをする「育樹」からスタートしました

雑草を抜く説明をする西野さん。
「ここは3年前に植えたところですが、草が空いたところに入ってきています。その草を抜いていただきたいんですけれども、特に優先的に抜いていただきたい草がセイタカアワダチソウです。これは外来種で、もともとは北アメリカの原産の植物なんですけれども、観賞用できれいな花だと言うことで日本に入ってきました。でもその後、日本でたくさんはびこっています。なんでこれを優先的に抜かなければいけないのかというと、このセイタカアワダチソウは根っこからアレロパシーと言う他の植物を殺す成分を出すんですね。さらに秋になって種をつけるんですけれども約2万粒ぐらいつけるんです。その2万粒がまたどんどん増えてしまうとものすごい数になってしまうんです。なのでこのセイタカアワダチソウを優先的に抜いていただければなと思います。」


西野先生の指導を受けてやってみます。


つるも絡まっていて、なかなか大変です。
育樹作業を終えて、お昼ご飯を食べた後は、千年希望の丘・二野倉公園で、植樹作業です。毎回、本当にたくさんのボランティアの方によって行われるのですが、今回も、お子さん連れで参加している方が多かったのが印象的でした。
仙台市から来た由紀さん、翔くん

木を植える機会なんて無いので、大きくなっていくのをぜひ見てみたいですね。これからも参加して「海の近くに森ができる」大きくなっていくのを楽しみにしています。子どもはそばに木があったということを知りません。海沿いに何もないような、海しか知らないので、印象が変わってくれたらいいなって思います。
仙台から来た節野公哉さん 遥さん 櫻子さん

3年目でこれだけ大きくなっていて、今日植えたものも何年かしたらあれぐらいになるのかなと思うと感慨深いなと思います。
佐藤直子さん 元輝くん、朝陽くん

実際津波がここに来たという印を見ながら岩沼まで来て、この辺も沈んだんだよと言う話を地元の人からも聞いたりしました。災害が最近とても身近なので、またずっとできれば良いなと思いますし、来年もぜひ行きたいなと思っています。
「雑草を抜いたらアリがいっぱい出てきてびっくりしました。ムカデが出てきてびっくりしたけど、穴を掘るのもちょっと大変でした。」
「植樹で、木を植えてまたこれが成長していくんだなと思ってワクワクします。木が育って、人の命を守るから、その役に立ちたいです。」

鎮守の森のプロジェクト細川護熙理事長も自ら木を植えていました!

そして小雨のなか、元気いっぱいになれるミニライブをしてくれたLOVEさんも長靴に履き替えて植樹に参加!
実はこの日はあいにくの雨模様だったのですが、植物にとっては、恵みの雨!子どもたちも、雨ガッパ姿で一所懸命に木を植えていました。
さて、今回の植樹で用意された苗木はおよそ6000本。いままで同様、一種類ではなく、様々な植物の苗木が用意されました。これは「混植・密植」というもので、異なる樹種を同じ場所に密集するように植えると、植物同士が競い合い、時には他の木を助け、森全体が大きく成長するんです。
用意された苗木は、タブ、シイ、カシなど二十数種類なんですが、実は今回、そこに新たなメンバーが追加されました。西野さんのお話です。

今回ムラサキシキブと言う植物が新顔になっていまして、今まで常緑が多かったんですけれどもこれは落葉樹。何故かと言うと今回植えた場所は海岸からの風がちょっと強いので、その場所に強い、耐性があるだろうということで選びました。昨日近くの森の中を歩いたんですけれども、海岸から500mほど内陸に入ったところで、そこはいちど津波でいろんなものが流されてしまって松林が残った感じだったんですけれども、植物の小さな実生が出ていたんですね。赤ちゃんが出ていた。誰も植えていないのに。それがムラサキシキブでした。将来どういう森ができるだろうという予測をするのは、やはり現場に答えがあるんだなというの改めて思いました。鳥が種を運んでくるタイプの植物なので、植物といえども鳥が助けて植物が生えてきたりとか、みんなで助け合って出てきてるんだなということも思いました。

~ムラサキシキブにはどんな特徴がありますか?
ちょっとマニアックなんですけれども、葉っぱが同じ場所から次に出てきていますよね。こういうことを対生と言うんですね。一緒になって出てくるのがムラサキシキブのひとつの特徴です。もう一つは、これはもっとマニアックなんですけれども、冬芽といって次の葉っぱの準備段階が枝の先から出ているんですけれども、これは普通は殻に閉じこもっているんですね。閉じこもっていてだんだんだんだん殻が取れて葉っぱが出てくるんですけれども、このムラサキシキブは最初から葉っぱの形をしている。よく考えたら面白いなと思うんですよ。もし僕が冬芽だったらできる限り殻に閉じこもって、厳しい環境を乗り切ってから殻を破って出てきたいのに、ムラサキシキブは最初から裸の状態なんです。秋くらいなってくると紫色のきれいな実をつけるんですけれどもそれも超きれいなんです。
そしてこの夏は今後も、森作りのイベントが続きます。8月4日は岩手県山田町で植樹祭が行われます。詳しくは、鎮守の森のプロジェクトのウェブサイトをチェックしてくださいね。番組でも取材する予定です。お楽しみに!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Girl / 秦基博