先週に引き続き、地球全体をフィールドに撮影を続ける自然写真家・高砂淳二さんのインタビューです。
高砂さんが出されたばかりの写真集『LIGHT ON LIFE』。こちらには、世界各地の様々な生き物たちの、めったに見られない一瞬一瞬が切り取られています。
きょうは、高砂さんが出会った生きものの中で、特に「生命の不思議さ」を感じたお話、伺います!


~高砂さんは小学館から写真集「LIGHT ON LIFE」を発売されたばかりですが、本当にきれいな写真集で、全部希少な瞬間を捉えていますよね。高砂さんはこの写真集のなかで、これは貴重な瞬間だったと思う写真はありますか?
たとえばコスタリカの森に行った時、夜に雨が降り出すと出てくるカエルがいるということで、夜の森を歩いていたんです。そうしてしばらく歩いていたら、葉の裏側にひっそりと、爪の先くらいの小さな顔を持つ「ガラスガエル」という半透明のカエルがいたんです。腕もあるし、手もあるんですけど、あまり見えないですよね。これはもう透明に近いんですよ。それで「ガラスガエル」とよばれているんです。これが葉っぱの裏で2匹が重なって交尾してるんですね。夜の雨の森のなかで、あっちでもこっちでもそういう営みがあるんだなあと思ったり、顔の可愛さもあったし、2匹で重なって幸せそうにしている表情をしていて、それを出すにはやっぱり正面から見てもらいたいなと思って撮ったんです。


~他の写真でも、ナマケモノが餌を食べている可愛い写真ですとか、カメラ目線の、まるで高砂さんに優しい目線を送っているような写真が多いなっていう印象があるんですが、そんな写真を撮るための工夫はされたりするんですか?
向こうがこっちに興味を持ってくれたらいいなっていうのが、僕が一番思っていることで、そういうときの顔っていうのは、人もそうですけど、目が輝いていて、それでその生き物の中身が輝いている感じになるとぼくは思うんですよね。ですから、僕は「命の輝き」を撮りたいので、なるべく、「わあ、なに?」みたいに、そういう気持ちになってこっちを向いている瞬間を撮りたい。あとは、撮影していて、結構声をかけるんですよね。「おーい、元気か?」とか、そうするとふっと向いてくれたり。もちろん向こうは、「元気だよ」って応えるつもりで向いているわけではないんですけど、「なんだ?なんだ?」みたいな感じで向いてくれるので、そういう表情を撮ったりしますね。そうすると、自然と正面の顔が多くなるんです。

~高砂さんの写真を見ていると、高砂さんが動物に向けている愛情がそのまま伝わってくる感じがしますね。
それは多分あると思います。ぼくも「うわ、かわいい!」とか、「すごい!」って思いながら撮っていますから。やっぱりこちらが愛情を持つと愛情が移りますからね。

~高砂さんが森のなかで撮影をされて、改めて「生き物ってすごいな、不思議だな。」と思う瞬間ってありますか?
この写真集にも1枚、ハキリアリの写真が出てますが、ハキリアリっていうのは、木の上に登って自分の何十倍もあるような葉を切ってきて、それをせっせと下に運んで、さらに地面をずっと何十メートルも運んで、自分の巣に持っていくんですよね。それがまたすごい数!ズラッと巣から木の上までつながっているんですよ。何十メートルも続いていて、地面にちゃんと道ができているんです。たぶん何十年も使っているんじゃないですかね。そうやって延々と葉っぱを切って運んで、それを使って巣のなかでキノコを栽培して食べているんです。不思議ですよね。農業をやっているんです。

~この写真はどちらで撮らてたのですか?
コスタリカですね。なんか全体でひとつの生命体みたいに見えるというか、たとえば僕ら人間のお腹のなかにもいろんな菌が住んでいて、それで働きが整って自分というものができているわけじゃないですか。だから、考えようによっては、ハキリアリも、みんなで「これが僕だよ」って言っている感じですよね。アリがこういうことをして、ひとつの生命体のようだというかね。もっと視点を広くしていくと、こういういろんな生命があって、生き物があって、植物があって、それでひとつの地球号みたいなものができているなという感じがしますよね。

生きものは、突然変異で今までにない特徴や能力を獲得して、そうしたものが自然淘汰の中で生き残って、生き残って生き残って・・・と繰り返した結果、いまの不思議な能力にたどり着いたと言われます。ただ高砂さんは、「あまりに不思議すぎて、それだけでは説明できないですよね」ともおっしゃっていました。例えば、高砂さんは、写真集の中から、一羽の蝶々のお話をしてくれました。

自然の不思議さって昆虫なんかにもあるんですね。たとえば蝶の羽の模様とかですね。この写真集にもひとつ載っていますが、フクロウチョウという蝶がいて、それは羽の先端のほうはヘビの顔そっくりで、根元の方はフクロウの目にそっくりなんですよ。しかもその目が立体的に見えるようになっているんです。質感もテカテカしているように見えますが、じつはそうではなくて、わざわざそういう模様になっているんです。僕もギリギリ近くで見るまではテカテカしていて盛り上がっていると思っていたんです。でも全然そうではないんです。どうやってこうなったんだろうと思います。本当に不思議ですよね。



今回のお話、いかがだったでしょうか。来週も引き続き高砂さんのインタビューをお届けします!


「LIGHT on LIFE」(小学館)

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Lipstick / Nulbarich
・サリー / 大橋トリオ

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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