- 2017.07.16
「都市鳥」のお話 2
先週に引き続き、東京をはじめとした都市部、市街地を森の代わりに住処にしている鳥たち、「都市鳥」のお話です。
先週は、東京・上野公園の周りの ビルの屋上に、ウミネコが繁殖しているという話や、カワセミが川の護岸のコンクリートにある、水抜き用のパイプに巣を作っているとか、都市で生きる鳥たちのびっくりな生態、いろいろ教えて頂きましたが、今日は、都市鳥を長年追いかけている川内さんも、首をかしげることがいま、東京で起きているというお話です。
日本野鳥の会東京 研究部長で都市鳥研究会 代表の川内博さんのお話です。
一番驚くのは猛禽類。猛禽類というのはタカやフクロウの仲間なのですが、そのなかでもタカの仲間。オオタカが去年の冬に23区で調べたところ、なんと19羽いたんです。ご存知のように猛禽類は食物連鎖のてっぺんにいるわけです。それが19羽もいると、ちょっと心配ですね。というのは、一羽の鷹を養うのに広大な自然が必要なわけです。そうすると、それを養うだけの生物がいるのだろうかということが心配です。20年前には0〜1羽しかいませんでした。タカなんていうのは冬に一回か二回見ることがあるかないかです。見つけ方にコツが有るのですが、カラスが騒いでいたらよく見るんです。そうすると、あっちの森でも、こっちの森でもカラスが騒いでいて、そういうところにオオタカがいる。それはやはり多すぎるのではないかと思います。明治神宮で月に1回探鳥会というバードウォッチングをやっているんですが、その記録をまとめると、オオタカが入ってきたのと、キジバトやムクドリが減っているのがどうも関連ありそうだということが見えてきたんです。データが無いので、はっきりしたことは言えないのですが、少なくとも我々が日頃見ている限りでは餌となる生き物が増えているという事はありません。
もうひとつ心配なのは、山の方を歩いてみると、鳥が少ない。バードウォッチングをしたければ山ではなく町へ行けと、そういう時代になっているんです。それはもしかするとタカにも現れているんじゃないかと思います。ですから、それだけ餌があるから街へやってきたんだろうけれども、そこに本当にそれだけのものがあるのかどうか。彼らは生き餌じゃないといけません。一番好きなのはおそらくハトです。二番目がムクドリです。そういうものがいるのかどうか。過剰に増えすぎて、そこの生態系が壊れてしまうのではないかという心配をしています。

オオタカの雄(冬には東京23区内の10羽以上が生息。都内でも繁殖を始めた)
〜こういう現象は日本だけではなくて、たとえば、ニューヨークのマンハッタンの高層ビルにハヤブサがいると聞きました。
有名ですね。あとはアカアシチョウゲンボウだとか、そういうハヤブサの仲間。ハヤブサの仲間は本来どういうところに営巣しているかというと、崖地のくぼみなんです。それが人工の崖である高層ビルっが適していた。ただし彼らは自然に入ってきたんじゃないんです。アメリカでも農薬の問題だとかで、ハヤブサが絶滅寸前になったんです。それでなんとか復活させようということで、たとえば怪我をしたハヤブサなんかを治療して、リハビリのためにドバトがたくさんいる街中ならいいだろうということで放したら、ものの見事に適応したというような状況なんです。これはニューヨークだけじゃなくて、シカゴでも見られていますね。
こういった現象は日本でも起きています。有名なのは大阪の関空近くのビルなんですが、そこで繁殖しています。それから福井だとか和歌山だとか、山口だとか、北九州だとか、そういうところで、やはりビルに営巣するハヤブサが見られます。その発生はいわゆるニューヨークなんかとは違って、自然にいつのまにか入ってきました。
この現象は、じつは東京では見られないんです。東京でも繁殖はしていますが、奥多摩の方の、いわゆる石切り場に大きながけができますが、そこで繁殖しています。これは昔から、そういうところで繁殖するのは全国どこでも見られていますが、関西地方でそういう現象が見られているのに、東京ではなぜ見られないのかというのはわからないんです。これはなかなか面白い。東京でも繁殖するんじゃないかっていうのは、昔から話があるんですけれども、まだその事例はないんです。
都市鳥のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!
【番組内でのオンエア曲】
・SIT STILL LOOK PRETTY / Daya
・Dreamers / THE CHARM PARK
先週は、東京・上野公園の周りの ビルの屋上に、ウミネコが繁殖しているという話や、カワセミが川の護岸のコンクリートにある、水抜き用のパイプに巣を作っているとか、都市で生きる鳥たちのびっくりな生態、いろいろ教えて頂きましたが、今日は、都市鳥を長年追いかけている川内さんも、首をかしげることがいま、東京で起きているというお話です。
日本野鳥の会東京 研究部長で都市鳥研究会 代表の川内博さんのお話です。
一番驚くのは猛禽類。猛禽類というのはタカやフクロウの仲間なのですが、そのなかでもタカの仲間。オオタカが去年の冬に23区で調べたところ、なんと19羽いたんです。ご存知のように猛禽類は食物連鎖のてっぺんにいるわけです。それが19羽もいると、ちょっと心配ですね。というのは、一羽の鷹を養うのに広大な自然が必要なわけです。そうすると、それを養うだけの生物がいるのだろうかということが心配です。20年前には0〜1羽しかいませんでした。タカなんていうのは冬に一回か二回見ることがあるかないかです。見つけ方にコツが有るのですが、カラスが騒いでいたらよく見るんです。そうすると、あっちの森でも、こっちの森でもカラスが騒いでいて、そういうところにオオタカがいる。それはやはり多すぎるのではないかと思います。明治神宮で月に1回探鳥会というバードウォッチングをやっているんですが、その記録をまとめると、オオタカが入ってきたのと、キジバトやムクドリが減っているのがどうも関連ありそうだということが見えてきたんです。データが無いので、はっきりしたことは言えないのですが、少なくとも我々が日頃見ている限りでは餌となる生き物が増えているという事はありません。
もうひとつ心配なのは、山の方を歩いてみると、鳥が少ない。バードウォッチングをしたければ山ではなく町へ行けと、そういう時代になっているんです。それはもしかするとタカにも現れているんじゃないかと思います。ですから、それだけ餌があるから街へやってきたんだろうけれども、そこに本当にそれだけのものがあるのかどうか。彼らは生き餌じゃないといけません。一番好きなのはおそらくハトです。二番目がムクドリです。そういうものがいるのかどうか。過剰に増えすぎて、そこの生態系が壊れてしまうのではないかという心配をしています。

オオタカの雄(冬には東京23区内の10羽以上が生息。都内でも繁殖を始めた)
〜こういう現象は日本だけではなくて、たとえば、ニューヨークのマンハッタンの高層ビルにハヤブサがいると聞きました。
有名ですね。あとはアカアシチョウゲンボウだとか、そういうハヤブサの仲間。ハヤブサの仲間は本来どういうところに営巣しているかというと、崖地のくぼみなんです。それが人工の崖である高層ビルっが適していた。ただし彼らは自然に入ってきたんじゃないんです。アメリカでも農薬の問題だとかで、ハヤブサが絶滅寸前になったんです。それでなんとか復活させようということで、たとえば怪我をしたハヤブサなんかを治療して、リハビリのためにドバトがたくさんいる街中ならいいだろうということで放したら、ものの見事に適応したというような状況なんです。これはニューヨークだけじゃなくて、シカゴでも見られていますね。
こういった現象は日本でも起きています。有名なのは大阪の関空近くのビルなんですが、そこで繁殖しています。それから福井だとか和歌山だとか、山口だとか、北九州だとか、そういうところで、やはりビルに営巣するハヤブサが見られます。その発生はいわゆるニューヨークなんかとは違って、自然にいつのまにか入ってきました。
この現象は、じつは東京では見られないんです。東京でも繁殖はしていますが、奥多摩の方の、いわゆる石切り場に大きながけができますが、そこで繁殖しています。これは昔から、そういうところで繁殖するのは全国どこでも見られていますが、関西地方でそういう現象が見られているのに、東京ではなぜ見られないのかというのはわからないんです。これはなかなか面白い。東京でも繁殖するんじゃないかっていうのは、昔から話があるんですけれども、まだその事例はないんです。
都市鳥のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!
【番組内でのオンエア曲】
・SIT STILL LOOK PRETTY / Daya
・Dreamers / THE CHARM PARK