- 2016.04.03
桜ウォッチャー 中西一登さん 2
先週に引き続き、桜前線を追いかけて日本列島を北上する旅人、桜ウォッチャーの中西一登さんのインタビューをお届けします。
桜前線を追いかけて旅をするために、これまで会社を5回もやめてしまったという中西さん。
実は桜って、一年を通して、日本のどこかで咲いているそうで、そんな桜に出会うため、およそ20年かけて、1300か所も足を運んできたそうです。
そんな中西さんが出会った桜の中には、公園や桜並木など、人の手で植えられたものだけでなく、山や森の中で咲く、野生の桜もたくさんあるそうです。

今の時期の山を見ると、山の自然林に混じってピンク色の桜がポツポツと咲いているのが見られることがあるんですね。これが野生の桜ですね。代表的なところではヤマザクラ、エドヒガン、オオシマザクラ、マメザクラ、高山に咲くタカネザクラ、主に北海道に分布するオオヤマザクラといったような日本には十種類の自然の桜があるといわれています。ソメイヨシノを代表とする、数百にも及ぶ栽培品種は、これらの野生の桜をかけ合わせたり、あるいは選抜したりしてできたということになってます。
例えばソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交配種であったり、あるいはシダレザクラっていう枝が垂れてる桜ですね、あれはエドヒガンの中の枝垂れの性質が強いものを選抜して栽培して作りだしたものなんですね。ですから、私たちが身近で多彩な桜を見られるのは、自然の林の中の自生種からの繋がりになるんですね。
~中西さんが見たなかで、印象に残っている自然の林のなかの桜ってありますか?
そうですね。自然林の桜って箱入り娘みたいなものだと思ってるんですよ。というのは、鳥などによって運ばれた野生の桜の種っていうのは、自然林の中ではすぐは発芽しないんですね。桜は光を好むので、光が得られるのを何年もじっと待つんです。例えば森の中で倒木があって、ぽかっと日当たりのいい場所ができたら今がチャンスだと思って芽を出すんですね。ということは周りには背の高い木々がありますから、発芽した桜というのは雨風に守られながら段々段々大きくなってくるわけですよね。
そして数年から10年くらい経つと成木となって花をつけ始める。まだそれでも低いですよ。だけど周りの森が見事に守ってくれるという点で、桜は森の箱入り娘と言えるんじゃないかなと思うんですよね。あるいは森のお姫様と言ってもいいかもしれない。
鹿児島県の伊佐市というところに奥十曽のエドヒガンという桜があるんですけれども、これは国有林の中にある樹齢約600年、高さ約28mという大きな桜なんですけど、この桜は1977年に初めて発見されたんですよ。今から40年くらい前ですね。28mっていうとビル9階建てくらいなんですよ。それがたかだか40年前に見つかった。その前の560年くらいはわからなかったっていうことなんですよ。
ここに行くには、険しい道を車でずっと行って、そこから先アップダウンの激しい山道を15分も歩いて、この先に本当に桜あるの?みたいな感じの厳しいところなんです。実際行ってみると、周りの木々から桜が頭一つ抜け出してるんですよね。その幹は11m近い、すごい太いもので、高さもビル9階建てくらいで、樹齢600年。だけど見つかったのはたかだか40年前ということなんですよね。こうした桜が、もしかしたらまだ日本の森の中に埋もれてるかもしれないんですよ。そういったことを考えると、森の奥深さっていうのを痛感させられますね。

~その奥十曽のエドヒガンはどんな花なんですか?
エドヒガンは蕾がひょうたんの形をしています。ですから地方によってはひょうたん桜という呼ばれ方をする場合もあります。花の色はソメイヨシノよりはちょっと濃いめのピンク色です。奥十曽のエドヒガンは高さ28mもの立派な木ですが、花はちっちゃくてかわいいんですよ。だからその対比っていうのもなにか桜の不思議さを感じさせるところですよね。まあ言ってみれば、600歳のおばあさんの桜を少し散らした和服姿みたいな、そんな感じなんですよね。
~花が咲くのはいつごろですか?
自然の中の桜なので変動が大きいんですが、やはり3月の下旬から4月の上旬にかけてですね。例えば千鳥ヶ淵だったら千代田区さんなんかが、いつが見頃か教えてくれるんですけど、ここは伊佐市に聞いてもわからなくて、行ってみないとわからないんです。僕は2度めで見頃に行くことができました。
~まだまだ南の方でも桜は楽しめるんですか?
平地の桜前線は北上して、東京でももう桜の季節が始まってますが、同時に標高の高いところにも昇ってきますよね。だから、例えば九州だったら阿蘇地方とか、あるいは中国地方だったら中国山地とか、そういった山の桜が見ごろを迎えます。そして北海道の真ん中の山地では6月の中下旬ぐらいまで咲きますし、知床では7月の海の日に3回見たことがあるんです。だから桜前線はそうして終点というところに着いても、まだ3ヶ月くらい活動し続けて、8月くらいまで知床を昇っていくんだと思ってますね。日本は南北に長く、高低差もあって、非常に自然が多彩だと言えると思いますね。
~中西さんはこの先、いつまで桜を追いかけるんですかね?
先程の奥十曽の桜ではないですが、森の中にはまだまだ見つかってない桜がたくさんあると思うんですね。箱入り娘さんが待ってるかもしれないんですよ。そういうひっそりと咲いてるような桜を見つけて、いつか一緒に写真を撮りたいなって思いますね。
中西さんのお話し、いかがだったでしょうか。
中西さんのウェブサイトもぜひチェックしてみてください。
気まぐれ桜旅 旅日記のページ by モバイラー中ちゃん
今回のお話はポッドキャストでもご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Sweet Soul Revue / Pizzicato Five
・明日の風 / 山崎まさよし
桜前線を追いかけて旅をするために、これまで会社を5回もやめてしまったという中西さん。
実は桜って、一年を通して、日本のどこかで咲いているそうで、そんな桜に出会うため、およそ20年かけて、1300か所も足を運んできたそうです。
そんな中西さんが出会った桜の中には、公園や桜並木など、人の手で植えられたものだけでなく、山や森の中で咲く、野生の桜もたくさんあるそうです。

今の時期の山を見ると、山の自然林に混じってピンク色の桜がポツポツと咲いているのが見られることがあるんですね。これが野生の桜ですね。代表的なところではヤマザクラ、エドヒガン、オオシマザクラ、マメザクラ、高山に咲くタカネザクラ、主に北海道に分布するオオヤマザクラといったような日本には十種類の自然の桜があるといわれています。ソメイヨシノを代表とする、数百にも及ぶ栽培品種は、これらの野生の桜をかけ合わせたり、あるいは選抜したりしてできたということになってます。
例えばソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交配種であったり、あるいはシダレザクラっていう枝が垂れてる桜ですね、あれはエドヒガンの中の枝垂れの性質が強いものを選抜して栽培して作りだしたものなんですね。ですから、私たちが身近で多彩な桜を見られるのは、自然の林の中の自生種からの繋がりになるんですね。
~中西さんが見たなかで、印象に残っている自然の林のなかの桜ってありますか?
そうですね。自然林の桜って箱入り娘みたいなものだと思ってるんですよ。というのは、鳥などによって運ばれた野生の桜の種っていうのは、自然林の中ではすぐは発芽しないんですね。桜は光を好むので、光が得られるのを何年もじっと待つんです。例えば森の中で倒木があって、ぽかっと日当たりのいい場所ができたら今がチャンスだと思って芽を出すんですね。ということは周りには背の高い木々がありますから、発芽した桜というのは雨風に守られながら段々段々大きくなってくるわけですよね。
そして数年から10年くらい経つと成木となって花をつけ始める。まだそれでも低いですよ。だけど周りの森が見事に守ってくれるという点で、桜は森の箱入り娘と言えるんじゃないかなと思うんですよね。あるいは森のお姫様と言ってもいいかもしれない。
鹿児島県の伊佐市というところに奥十曽のエドヒガンという桜があるんですけれども、これは国有林の中にある樹齢約600年、高さ約28mという大きな桜なんですけど、この桜は1977年に初めて発見されたんですよ。今から40年くらい前ですね。28mっていうとビル9階建てくらいなんですよ。それがたかだか40年前に見つかった。その前の560年くらいはわからなかったっていうことなんですよ。
ここに行くには、険しい道を車でずっと行って、そこから先アップダウンの激しい山道を15分も歩いて、この先に本当に桜あるの?みたいな感じの厳しいところなんです。実際行ってみると、周りの木々から桜が頭一つ抜け出してるんですよね。その幹は11m近い、すごい太いもので、高さもビル9階建てくらいで、樹齢600年。だけど見つかったのはたかだか40年前ということなんですよね。こうした桜が、もしかしたらまだ日本の森の中に埋もれてるかもしれないんですよ。そういったことを考えると、森の奥深さっていうのを痛感させられますね。

~その奥十曽のエドヒガンはどんな花なんですか?
エドヒガンは蕾がひょうたんの形をしています。ですから地方によってはひょうたん桜という呼ばれ方をする場合もあります。花の色はソメイヨシノよりはちょっと濃いめのピンク色です。奥十曽のエドヒガンは高さ28mもの立派な木ですが、花はちっちゃくてかわいいんですよ。だからその対比っていうのもなにか桜の不思議さを感じさせるところですよね。まあ言ってみれば、600歳のおばあさんの桜を少し散らした和服姿みたいな、そんな感じなんですよね。
~花が咲くのはいつごろですか?
自然の中の桜なので変動が大きいんですが、やはり3月の下旬から4月の上旬にかけてですね。例えば千鳥ヶ淵だったら千代田区さんなんかが、いつが見頃か教えてくれるんですけど、ここは伊佐市に聞いてもわからなくて、行ってみないとわからないんです。僕は2度めで見頃に行くことができました。
~まだまだ南の方でも桜は楽しめるんですか?
平地の桜前線は北上して、東京でももう桜の季節が始まってますが、同時に標高の高いところにも昇ってきますよね。だから、例えば九州だったら阿蘇地方とか、あるいは中国地方だったら中国山地とか、そういった山の桜が見ごろを迎えます。そして北海道の真ん中の山地では6月の中下旬ぐらいまで咲きますし、知床では7月の海の日に3回見たことがあるんです。だから桜前線はそうして終点というところに着いても、まだ3ヶ月くらい活動し続けて、8月くらいまで知床を昇っていくんだと思ってますね。日本は南北に長く、高低差もあって、非常に自然が多彩だと言えると思いますね。
~中西さんはこの先、いつまで桜を追いかけるんですかね?
先程の奥十曽の桜ではないですが、森の中にはまだまだ見つかってない桜がたくさんあると思うんですね。箱入り娘さんが待ってるかもしれないんですよ。そういうひっそりと咲いてるような桜を見つけて、いつか一緒に写真を撮りたいなって思いますね。
中西さんのお話し、いかがだったでしょうか。
中西さんのウェブサイトもぜひチェックしてみてください。
気まぐれ桜旅 旅日記のページ by モバイラー中ちゃん
今回のお話はポッドキャストでもご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Sweet Soul Revue / Pizzicato Five
・明日の風 / 山崎まさよし