- 2022.09.18
秋田県 湯沢市「森作りのレシピ」_レポート!
今回は、鎮守の森のプロジェクト・植樹リーダーで
林学博士の西野文貴さんに同行取材した模様をお届けします。
場所は、東北・秋田県湯沢市。
この町に工場をもつ、アダマンド並木精密宝石という会社が取り組む森作りを、
西野さんがお手伝いしているということで
その調査に、番組もご一緒させてもらいました。
「森作りにはレシピがある」。
以前から西野さん、そんな話をしていましたが、
秋田県の森のレシピはどんなものなのでしょうか。
高橋:今日は秋田県の湯沢市に来ています!
聞こえます?蝉が鳴いていて夏の名残があります。
この番組では、東北の沿岸部に植樹をして
命を守る防潮堤作りを続けてきましたが、
森を作る原点、なぜそこにこの木たちを植えるのかを、
こちらの方と同行させていただきます。
林学博士の西野さんですよろしくお願いします。
秋田まで来ちゃいました
西野:今日は森のレシピをどう書いているのか、
植生調査を一緒にやっていただきたいなと。
なんで秋田に来たのかというと、
秋田のとある会社が森づくりをしたいということで、
並木里也子さん、通称リリーさんが
「森のレシピから一緒にやりたい」ということで一緒に来ています。

西野:今から、森のレシピを作るために
どういう植生調査するかというと、実際は鳥居の前に。
我々のプロジェクトの名前にもなっている鎮守の森を調査してみようと。
高橋:いつもこれをやられているんですね!
西野:マニアックであんまり公開していないんですけどね。
行ってみましょう。
===========
秋田県湯沢市の神社を訪れた我々。
森作りには、その土地に本来根付く植物を把握しないといけない。
そして、そんな植物たちが失われず残っている場所が
神社を取り囲む森・鎮守の森。ここを調査してレシピを作るわけです。
ということで、ひとつめの神社を訪れたのですが、
どうもこちらは、人の手で植えられた杉の森で、レシピづくりの参考にならなそう。
そこで早々に場所を移し、2つ目の神社へと向かいました。
===========

高橋:先ほど神社の植生を調査して、場所を移動してきました。
2つ目の神社は愛宕神社。登って行きましょう。植生調査は?
西野:大きい木があればなお良いですが、
日本も含めていろんなところが伐採しているので、
それよりも、地面からどんどん元に戻っている様子だとか、
それをちょっと見てきます。
周りを見ると、カエデも出てきましたし、
やっぱり常緑がないですね。

リリー:水の音が出てきました。
湧水が出ているんですね。
参道の脇に流れているのが素敵だなと思っています。
西野:調査をする前に必ず参拝をさせていただいているので、ここでも参拝をさせていただきます。
*一同参拝
西野:早速、本殿の周りをどんな木々が生えているのか含めて
歩いてみてみたいと思います。
高橋:西野さん手に何を持っているんですか?

西野:植生調査用紙を持ってきました。
ここに今から森のレシピを作るための、
目の前にある森がどういう状態なのかを
この紙にどんどん落としていこうかなと。
すごいマニアックで。森は4層構造が綺麗ですよね、
じゃあその一番高い木、次に高い木、低い木、草、
それらがどれくらいこの場所にあるのか、
どのぐらい群れているのか、どんな種類がどれくらいいるのかを、
今日はやってみようと思うんですね。
さっきの森は杉林なんですね。目の前も杉林ですが、
でもよく見たら高い木、3メートル、4メートルくらいの
トチノキだとかホオノキなどいろいろ入っています。
全然さっきと違ってミルフィーユ状じゃないですが
階層構造ができ始めているんですね。
これがいわゆる森のスタート、
潜在自然植生の最初を見ているようなものです。
まずは一番高い木が何メートルぐらいあるのかを見ていきます。
「T1」一番高い木は25メートル。
この杉の木がどれだけこの場所を覆っているかを測ります。

高橋:この杉の木がどれだけ青空を隠しているか?
西野さん:そうです。逆に言うと、
青空が20から30%くらいしか見えないと思うんですが、
その場合は80%を覆っているということになります。
こういうのを記入していきます。
次に高い木「T2」がトチノキ。次が「S」で低木ですね。
アブラチャン、カエデの中でもまるでうちわのような葉っぱをしている
ハウチワカエデ、朴葉味噌で使うホオノキも出ていますね。
ほかにもササが出ています。
そして「H」草の類はめちゃめちゃ多いです。
まずはリョウメンシダ、ウワバミソウ、フジ、ヤマイヌワラビ、
ハエドクソウ、チジミザサ、フジ、トチノキ、ハシゴシダ。
高橋:わたしには全部同じシダに見えますが、それだけたくさんの種類がいるんですね
西野さん:そう。こういう感じで調査を
どんどん繰り返していくことによって、
ここのふるさとの森はおそらくこういうもので
構成されているというのを見つけていて、
森のレシピを書いていくんですよ。
高橋:これだけ調べて、どういう苗木を植えていったらいいのかという選定に入るということですね
西野さん:そうなんです。
高橋:リリーさんは森に関する仕事ではないのに、なぜ森を作ろうと、会社の敷地に森を作ろうと思われたんですか
リリー:経営を考えるのは30年、50年先を考えてやっていました。
森づくりを知ったら、全然見える視点が変わったんですね。
100年先、300年先、それから1000年の森を作るという
植樹祭に参加したときに1000年というキーワードが出てきて、
そういったことが考えられるようになったのが
本当に私の中で大きく変化したところだと思います。
それを社員のみなさんと一緒にこれから
100年先続く森づくりをしていくことで、
想いを次につなげていくことができたらなと思っています。
高橋:どんな森になってほしいというのがありますか?
リリー:ふるさとの森というキーワードが
すごく心に残ったと思っています。
みんなの心の故郷だったり、秋田はどんどん過疎化が進んでいますが
故郷の森に帰りたくなるような、
そんな森づくりがしたいですね。
西野:植生調査だけではなくてリリーさんと話をしているのは、
これから先どんぐりを社員の方と拾って、
それを育てたり、どんぐり拾いなら子どもでも参加できるので、
そういう意味では皆が一体となって100年先、
1000年先を見ることなのかなとも思いますね。
高橋:この番組がスタートした時はどんぐり拾いからスタートしたんです。
自分で育てたどんぐりは全然苗木にならなかったんですけど、
お子さんが育てたものを植樹したら、
それは特別な場所になりますよね

西野:今日こうやって植生調査をできる場所が
まだ残されていることが日本の最後の砦というか、
ほとんどの場所が多くは切られて、
それはしょうがないことではあるんですけれども、
下から良い植生が出てきていないということが
場所によってあったりするんですね。
僕はフランスやヨルダンなどいろんなところで森作りをしているんですが、
やっぱり自然の森が残っていないんですね。
なので日本はまだラッキーと言えるくらいかもしれないですよね。
高橋:森づくりができることが日本の価値だと気づいてもらえるとね。何より楽しいしです!
西野:子どもから大人みんなでできるし、
日本人はすごいなと思うのは100年前から明治神宮の森じゃないですが、
150年先を考えて森づくりをしていたので、
ぜひみんなでふるさとの森づくりができればなと思います。
今週は、秋田県湯沢市から、地元企業の森作りと、
そのための調査の様子、お伝えしました。
先週もお伝えしましたが、
いのちの森 voice of forestは、今月をもって終了です。放送はあと1回となります。
本当に長い期間、支えてくださったリスナーのみなさん、ありがとうございました。
番組を聞いてくださっていた方
番組の感想、これまでの印象的な放送回など、メッセージお寄せください。
できるだけ紹介したいと思います。
番組webサイトのメッセージフォームからお願いします。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Hold Me Closer / エルトン・ジョン & ブリトニー・スピアーズ
・あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。/ クレイジーケンバンド
林学博士の西野文貴さんに同行取材した模様をお届けします。
場所は、東北・秋田県湯沢市。
この町に工場をもつ、アダマンド並木精密宝石という会社が取り組む森作りを、
西野さんがお手伝いしているということで
その調査に、番組もご一緒させてもらいました。
「森作りにはレシピがある」。
以前から西野さん、そんな話をしていましたが、
秋田県の森のレシピはどんなものなのでしょうか。
高橋:今日は秋田県の湯沢市に来ています!
聞こえます?蝉が鳴いていて夏の名残があります。
この番組では、東北の沿岸部に植樹をして
命を守る防潮堤作りを続けてきましたが、
森を作る原点、なぜそこにこの木たちを植えるのかを、
こちらの方と同行させていただきます。
林学博士の西野さんですよろしくお願いします。
秋田まで来ちゃいました
西野:今日は森のレシピをどう書いているのか、
植生調査を一緒にやっていただきたいなと。
なんで秋田に来たのかというと、
秋田のとある会社が森づくりをしたいということで、
並木里也子さん、通称リリーさんが
「森のレシピから一緒にやりたい」ということで一緒に来ています。

西野:今から、森のレシピを作るために
どういう植生調査するかというと、実際は鳥居の前に。
我々のプロジェクトの名前にもなっている鎮守の森を調査してみようと。
高橋:いつもこれをやられているんですね!
西野:マニアックであんまり公開していないんですけどね。
行ってみましょう。
===========
秋田県湯沢市の神社を訪れた我々。
森作りには、その土地に本来根付く植物を把握しないといけない。
そして、そんな植物たちが失われず残っている場所が
神社を取り囲む森・鎮守の森。ここを調査してレシピを作るわけです。
ということで、ひとつめの神社を訪れたのですが、
どうもこちらは、人の手で植えられた杉の森で、レシピづくりの参考にならなそう。
そこで早々に場所を移し、2つ目の神社へと向かいました。
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高橋:先ほど神社の植生を調査して、場所を移動してきました。
2つ目の神社は愛宕神社。登って行きましょう。植生調査は?
西野:大きい木があればなお良いですが、
日本も含めていろんなところが伐採しているので、
それよりも、地面からどんどん元に戻っている様子だとか、
それをちょっと見てきます。
周りを見ると、カエデも出てきましたし、
やっぱり常緑がないですね。

リリー:水の音が出てきました。
湧水が出ているんですね。
参道の脇に流れているのが素敵だなと思っています。
西野:調査をする前に必ず参拝をさせていただいているので、ここでも参拝をさせていただきます。
*一同参拝
西野:早速、本殿の周りをどんな木々が生えているのか含めて
歩いてみてみたいと思います。
高橋:西野さん手に何を持っているんですか?

西野:植生調査用紙を持ってきました。
ここに今から森のレシピを作るための、
目の前にある森がどういう状態なのかを
この紙にどんどん落としていこうかなと。
すごいマニアックで。森は4層構造が綺麗ですよね、
じゃあその一番高い木、次に高い木、低い木、草、
それらがどれくらいこの場所にあるのか、
どのぐらい群れているのか、どんな種類がどれくらいいるのかを、
今日はやってみようと思うんですね。
さっきの森は杉林なんですね。目の前も杉林ですが、
でもよく見たら高い木、3メートル、4メートルくらいの
トチノキだとかホオノキなどいろいろ入っています。
全然さっきと違ってミルフィーユ状じゃないですが
階層構造ができ始めているんですね。
これがいわゆる森のスタート、
潜在自然植生の最初を見ているようなものです。
まずは一番高い木が何メートルぐらいあるのかを見ていきます。
「T1」一番高い木は25メートル。
この杉の木がどれだけこの場所を覆っているかを測ります。

高橋:この杉の木がどれだけ青空を隠しているか?
西野さん:そうです。逆に言うと、
青空が20から30%くらいしか見えないと思うんですが、
その場合は80%を覆っているということになります。
こういうのを記入していきます。
次に高い木「T2」がトチノキ。次が「S」で低木ですね。
アブラチャン、カエデの中でもまるでうちわのような葉っぱをしている
ハウチワカエデ、朴葉味噌で使うホオノキも出ていますね。
ほかにもササが出ています。
そして「H」草の類はめちゃめちゃ多いです。
まずはリョウメンシダ、ウワバミソウ、フジ、ヤマイヌワラビ、
ハエドクソウ、チジミザサ、フジ、トチノキ、ハシゴシダ。
高橋:わたしには全部同じシダに見えますが、それだけたくさんの種類がいるんですね
西野さん:そう。こういう感じで調査を
どんどん繰り返していくことによって、
ここのふるさとの森はおそらくこういうもので
構成されているというのを見つけていて、
森のレシピを書いていくんですよ。
高橋:これだけ調べて、どういう苗木を植えていったらいいのかという選定に入るということですね
西野さん:そうなんです。
高橋:リリーさんは森に関する仕事ではないのに、なぜ森を作ろうと、会社の敷地に森を作ろうと思われたんですか
リリー:経営を考えるのは30年、50年先を考えてやっていました。
森づくりを知ったら、全然見える視点が変わったんですね。
100年先、300年先、それから1000年の森を作るという
植樹祭に参加したときに1000年というキーワードが出てきて、
そういったことが考えられるようになったのが
本当に私の中で大きく変化したところだと思います。
それを社員のみなさんと一緒にこれから
100年先続く森づくりをしていくことで、
想いを次につなげていくことができたらなと思っています。
高橋:どんな森になってほしいというのがありますか?
リリー:ふるさとの森というキーワードが
すごく心に残ったと思っています。
みんなの心の故郷だったり、秋田はどんどん過疎化が進んでいますが
故郷の森に帰りたくなるような、
そんな森づくりがしたいですね。
西野:植生調査だけではなくてリリーさんと話をしているのは、
これから先どんぐりを社員の方と拾って、
それを育てたり、どんぐり拾いなら子どもでも参加できるので、
そういう意味では皆が一体となって100年先、
1000年先を見ることなのかなとも思いますね。
高橋:この番組がスタートした時はどんぐり拾いからスタートしたんです。
自分で育てたどんぐりは全然苗木にならなかったんですけど、
お子さんが育てたものを植樹したら、
それは特別な場所になりますよね

西野:今日こうやって植生調査をできる場所が
まだ残されていることが日本の最後の砦というか、
ほとんどの場所が多くは切られて、
それはしょうがないことではあるんですけれども、
下から良い植生が出てきていないということが
場所によってあったりするんですね。
僕はフランスやヨルダンなどいろんなところで森作りをしているんですが、
やっぱり自然の森が残っていないんですね。
なので日本はまだラッキーと言えるくらいかもしれないですよね。
高橋:森づくりができることが日本の価値だと気づいてもらえるとね。何より楽しいしです!
西野:子どもから大人みんなでできるし、
日本人はすごいなと思うのは100年前から明治神宮の森じゃないですが、
150年先を考えて森づくりをしていたので、
ぜひみんなでふるさとの森づくりができればなと思います。
今週は、秋田県湯沢市から、地元企業の森作りと、
そのための調査の様子、お伝えしました。
先週もお伝えしましたが、
いのちの森 voice of forestは、今月をもって終了です。放送はあと1回となります。
本当に長い期間、支えてくださったリスナーのみなさん、ありがとうございました。
番組を聞いてくださっていた方
番組の感想、これまでの印象的な放送回など、メッセージお寄せください。
できるだけ紹介したいと思います。
番組webサイトのメッセージフォームからお願いします。
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Hold Me Closer / エルトン・ジョン & ブリトニー・スピアーズ
・あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。/ クレイジーケンバンド